生理によって、わたしたちの身体と心にはさまざまな不調が起こる。また、その影響は日常生活に及び、支障をきたしていることも多い。
しかし、生理に関する不調で医療機関を受診する人は約3割にとどまっている。
各企業や各研究機関が、生理のある人たちを対象にして生理に関する実態調査を行った。今回は、その調査結果をいくつかご紹介する。
生理前、身体の不調を感じたことがある人は約7割
「ルナルナ」は昨年にかけて、アプリ上で約1万人の女性を対象に、生理前の身体と心の不調の程度に関する調査を行った。すると、過去1年間のうちほとんど毎回の生理の1〜2週間前に、身体症状が「あった」「とても強くあった」と回答した人は、全体の約7割に達した。
《主な身体症状》
・乳房の痛みやはり
・腹部がはる感じ
・腹痛
・頭痛
・関節痛
・筋肉痛
・身体がむくんだ感じ
・体重増加
・便秘 etc…
また、身体症状以外の症状で頻度が高かったのが、「過眠」「疲れやすさ」「イライラ」「食欲増進」で、全体の約5〜6割にのぼった。
では、このような症状は日常生活にどのような影響を及ぼしているのか。
仕事の能率と家事に支障があったと回答した人は約6割、また、家族との関係に支障があったと感じている人も約半数近くいることが分かった。
注)図1、2
※第1回調査及び第2回目調査の両方に参加された10,606人を対象として分析しています。
※過去3年間に診断/治療した病気として「うつ病やその他心の病気」を選択した方は本集計から除いています。
※参考:『ルナルナ』プレスリリース
生理に関する異常症状がある・あった人は、約半数
生理前に限らず、生理期間中や生理後も不調や異常が身体にみられることがある。
2018年に、日本医療政策機構が約2000人の女性たちを対象に行ったインターネット調査「働く女性の健康増進に関する調査」によると、約半数以上が生理に関する異常症状があったと回答した。
《主な異常症状》
・生理周期が不規則のため次にくる生理の予測がつかない
・生理周期が短い(24日以内)
・生理周期が長い(39日以上)
・経血量が少ない
・経血量が多い etc…
参考:日本医療政策機構
また生理痛に関しては、厚生労働省の委託事業「働く女性の身体と心を考える委員会」が2004年に実施した調査によると、対象者1,906人のうち約7割が生理痛を感じていることが明らかになっている。
その中でも、生理痛が「かなりひどい(薬を服用しても会社を休むほど)」、「ひどい(薬を服用すれば仕事ができる程度)」と回答した人は、約3割。毎回何らかの対処をしなければ、日常生活や仕事をこなすことが困難だと分かる。
生理中に不調を感じても、一人で我慢する女性が多い
生理に関連した症状が日常生活に支障をきたすことが分かったが、実際、それらを医療機関などに相談する女性は多くない。
2018年、バイエル薬品株式会社が20~39歳の生理のある女性たち1,035名を対象に行った調査によると、医療機関への受診経験は約3割にとどまることが分かった。日常生活への影響度が重度、中度と回答した女性でも、医療機関の受診経験はそれぞれ52.4%、44.2%にとどまっている。
生理前・生理中に身体と心の不調を感じ、それらが日常生活に影響を及ぼしていることが多い一方で、医療機関を受診するなどの対策をとっている人は少ないことが分かった。
今回の各調査によって明らかとなった、生理のある女性たちの多くが一人で我慢するという実態に今後どのように社会と個人が向き合っていくべきか。
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