「男の子のための生理教室」など、男女分け隔てなく子どもたちに性を教える医師夫婦の性教育ユニット・アクロストン。

「食べ物の話題と同じように、家族で性について話すきっかけ作りができたら」—。そう話すアクロストンのおふたりが主催の生理ワークショップに潜入。

活動を始めたきっかけについても話を聞いた。

性教育の本がオシャレじゃない

活動を始めたきっかけは?

ふたりの子どもを育てているアクロストンのおふたり。当初は、我が子に性教育をしようと関連書籍を読んでいたが、ピンとくるものが見つからなかった。

「どれも教科書的な絵本が多くて、とにかく可愛くないし、おしゃれじゃなかった。そんな時にこの本に出会いました」

たまたま本屋さんで見つけたのが、ドイツの書籍を翻訳した「みんなこうなるの? おとなになるためのベストアンサー 71のQ&A」。

現在は絶版になっているが、これまで見てきた本よりデザイン性も高く、こういう世界観で性教育をしたいと感じた。

ご自宅の本棚にはふたりが集めていった性教育本が並んでいる。(Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box)

ところが、自分の子どもたちに教える必要はなかった。本棚に性教育の本を並べていくうちに、知らない間に子どもたち自ら学んでいたのだ。

「息子は『おれたちロケット少年』(男の子向け性教育本)を10回以上読んでるんじゃないかな。そうだよね?」

「うん、読んだ」

「お姉ちゃんはどれが好きだっけ?」

「私は『好きな人ができたら、どうする?』が今は好き」

大人が身構えて教えなくても、機会があれば子どもたちは自ら学んでいく。しかし、その環境を作り出せないママ友や学校関係者から「どうやって教えたらいいかわからない」という声が寄せられた。

ふたりは、「アクロストン」としてワークショップをはじめた。

小学校に呼ばれて授業するときは、教科書に則った内容で座学とロールプレイングを行う。

リレーションシップを学ぶロールプレイングでは、セリフの一部が穴あきになった台本を生徒に手渡し、セリフを考えながら演じてもらう。

ロールプレイングのテーマは恋人間の「デートDV」、外見を茶化すような「ルッキズム」、「生理」などだ。

小学4年生用。女の子が経血でズボンを汚してしまったとき、どう対応してあげるかなどを考え、みんなの前で演技をする。

生理用品を触りながら子どもたちが語り合う

ふたりがワークショップを行う際に大事にしているのは「子どもたちが自ら手を動かし、自ら考えること。私たちは答えを提示せず、子どもたちの考えを自由に発言できる環境を作ること」。

今回ランドリーボックスが取材したワークショップには、10歳の子どもたち6名が参加していた。女の子4人と男の子2人だ。

この6人の子どもたちは、以前開かれたカラダの仕組みを学ぶワークショップにも参加している。2回目となる今回、生理用品を手に取り、生理を学ぶ会だ。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

会場の机には、カラフルな毛糸やビーズと、1回目のワークショップで子どもたちが自ら作成した、子宮と卵巣のイラストが描かれた画用紙が並べられている。

前回のワークショップで作成したもの(Photo by アクロストン)

自分たちで作った子宮の上に毛糸で子宮内膜を乗せていく。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box
Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

経血が出てくる状況も解説する。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

カラフルなイラストや小物にも理由がある。座学で話を聞くだけでは子どもたちは飽きてしまうから。

「ワークショップではいろんな素材を用意します。ふわふわした触感のものを並べて置くだけで、みんな『なにこれ?』と興味を持って触ってくれる」

手を動かすだけでなく、対話をしながらワークショップは進行する。「生理痛ってどんなのか知ってる?」とたずねると、「眠いって言ってる」「しんどいって言ってる」など子どもたちなりのいろんな答えが返ってきた。

そして、カラダの仕組みだけでなく、痛み止め、低容量ピルなど対処法についても教える。

アクロストンさんの説明に興味津々の様子。(Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box)
低用量ピルについて説明する様子(Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box)

タンポン、月経カップ。使い方わかるかな?

次は生理用品について。紙ナプキン、タンポン、布ナプキン、月経カップ、吸収型サニタリーショーツ。みんな何これ?と言いながら、自分なりにパンツにナプキンをつけたり、初めて見るものは説明書を読んで試してみる。

まずは好きなサニタリーパンツを選んで

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

紙ナプキンからスタート!

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

生理ナプキンのつけ方に悪戦苦闘する男の子。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

こうやって…この辺に付けたらいいのかな。ペタペタする…。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

向かいの女の子は早くも完成。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

もうひとりの男の子も苦戦中。とっても丁寧に包装を剥がしている。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

みんなで見守る。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

もちろん捨て方も教わる。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

布ナプキン、タンポン、月経カップーー「ほら触ってみて」アクロストンさんがみんなに声をかけると、好奇心いっぱいに子どもたちが生理用品を触っていく。

初めて触る布ナプキン。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

次はタンポンに挑戦。「聞いたことはあるけれど実際に触るのは初めて」という子も多い。

まずはみんなで説明書をじっくり読んでみる。さて使い方わかるかな?

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

これがタンポンか…。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

こうやって出てくるのか。触るとだんだん楽しくなってくる。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

どこに入れるんだ?画用紙を使って挿入を試す。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

正しい装着位置はこう。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

タンポンの取り出し方も伝える。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

次は月経カップ。これは難題。説明書をじっくり読んでチャレンジ。

こういう仕組みだということはわかった。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

でもどうやって、これ入れるの…!?

折るのかな?

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

こうやって折るんだ……!次第に折り方をマスターしていく子どもたち

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

次は、新しいプロダクトとして注目を集めている吸収型サニタリーショーツ。お母さんたちも興味津々。

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

お母さんもセックスしたの?子どもが聞いてきたらどうする?

アクロストンさんが、ワークショップをするにあたり気をつけているのが伝え方だ。

「年齢にもよりますが、まだ性の自覚がない子どもも多い。ただ生まれてきた性別に違和感を感じている子もいるかもしれないので『女の子はこう、男の子はこう』ではなく、この体を持って生まれてきた人には生理があるという説明をしています」

Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box

そして、ワークショップには親も参加する。

「保護者の方にも体感してもらうことで、家庭でどう話せばいいかを見てもらいたい。ワークショップ中に子どもたちが親に話を振ったりすることもあるんです。

セックスがテーマの回では『お母さんもセックスしたの?』と聞いている子がいましたが、「そうよ。だからあなたが生まれてきたのよ」とお母さんが答えていました。性について話すきっかけが生まれた瞬間が見れてうれしかったです」

昨年の11月からスタートしたワークショップだが、回を重ねるたびに内容はどんどんブラッシュアップされている。

「子どもたちの反応は毎回違います」ワークショップをするたびに、子どもたちの発想に驚かされることも多い。

「赤ちゃんが生まれてくる説明をする際に、用意したイラストでは、赤ちゃんの頭を下にしていました。

でも参加していた子が『私は逆子で帝王切開だった』と話してくれて、だったら、子どもたちが赤ちゃんの向きを自分で変えれるようにしようとイラストを変更しました。

話す際も、それまでは『こうやって生まれてくるんだよ』と話していましたが、それからは、どうやって生まれてきたか知ってる?と聞くようになりました」

ワークショップに参加した家族に話を聞くと「家庭できちんと性についても話せるようにしたい」という意見が多くあがった。

お父さんが娘を連れて参加している家族もいた。「月経カップは子どもでも使えるんですか?」初めて見る生理用品について、子どもと一緒に親も学んでいた。

どうやって入れるんだろ?お父さんの手を使って月経カップを実践してみる女の子。(Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box)

絵本やボードゲーム。日常の中に性教育を

これからもこうした活動を続けていくふたりだが、より広く伝えられる方法も検討している。

「性教育は一部の人が知っていたらいいものではありません。全ての人が知っている必要があります。ですから学校など、誰もが来られる場所で開きたいと思っています」

そして、ワークショップ以外にも絵本やボードゲームなど、誰もが楽しみながら学べるコンテンツ作りにも力を入れていきたいと話す。

「性に触れられる環境をどう作るか。あらたまって性教育をするのではなく、家にあるボードゲームや書籍の中に性教育コンテンツがあるのが理想です。食事と変わらず、日常にあることですよね?大人も一緒に楽しめるものを作りたいです」

大人・子ども、男性・女性。分け隔てなく性に触れる環境を作る。

「生理についてのワークショップも、参加してくれた男の子は楽しそうでした。男の子もきっかけさえあれば知りたいと思っている。その機会が与えられていないだけなんです」

まずは自分と相手を「知る」きっかけを、家庭や社会の中で作っていく必要がある。

「子どもが被害に遭わないようにという視点で参加してくださる方も多いですが、加害者にならないようにという願いも込めています。気づかぬうちに誰かを傷つけてしまう可能性がある。そんな目線をそれぞれが養っていけたらと思っています」

最後に参加していた男の子にどの生理用品が一番良かった?と聞いてみた。

「タンポン!!!!!」

使い勝手というよりは、明らかにロケットを飛ばす的な楽しさを覚えていたようだが、笑顔で「タンポン」と言える環境が、私たちの未来を変えていくのかもしれない。

子どもたちは月経カップを積み重ねるのが楽しいらしい。(Photo by Misa Nishimoto / Laundry Box)

アクロストン×ランドリーボックスの「子ども向け生理教室」開催決定!!!!

ランドリーボックスでは、アクロストンと共にワークショップを開催します。ワークショプは、子どもたちに実際に生理用品を触ってもらい、対話しながら進行するため少人数制となります。小学1年生から3年生を対象としたワークショップと、小学校4年生から中学3年生までを対象としたワークショップの2回開催になります。

workshop1 小学1年生から3年生を対象としたワークショップ

「いのちがうまれるしくみのはなし」

・日時:12月22日(日)13時〜14時
・場所:デジタルハリウッドSTUDIO 吉祥寺 https://school.dhw.co.jp/school/kichijoji/
・定員:10名(お子さまの人数)
・対象年齢:小学校1年生〜3年生
・内容:月経(生理)のしくみ射精のしくみ/生殖行動としてのセックスについて/受精について/受精卵が胎児になりうまれてくるまで/体外受精について
・参加費用:1,500円(お土産付き)

参加のお申し込みはこちらから。ご応募お待ちしています。

workshop 2 小学校4年生から中学3年生を対象としたワークショップ

「いのちがうまれるしくみのはなし&せいり・こころとからだの変化のはなし」

・日時:12月22日(日)15時〜16時30分
・場所:デジタルハリウッドSTUDIO 吉祥寺 https://school.dhw.co.jp/school/kichijoji/
・定員:10名(お子さまの人数)
・対象年齢:小学校4年生〜中学3年生
・内容:月経(生理)時の心と体の変化/生理痛について/様々な生理用品について/体の性別と心の性別について
・参加費用:1,500円(お土産付き)

参加のお申し込みはこちらから。ご応募お待ちしています。

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