いまや日常生活の大切なあれこれに密接に関わっており、またそれらを管理するために欠かせない存在である、テクノロジー。

生理管理アプリ「Clue」とセクシュアリティ研究所のKinsey Instituteが共同で、「テクノロジーとセクシュアリティ」に関する世界最大規模の国際調査を198ヵ国を対象に行いました。

この調査には主に恋愛やセックスなどといった項目が設問として設けられ、多くの人がパートナーと出会うためだけでなく、性に関する知識を深めたり、自分のセクシャル・ウェルネスを把握したり、パートナーとの性的関係を改善するためにテクノロジーを利用していることが明らかになりました。

15ヵ国語で行われたこの調査の回答者数は、なんと14万人。

膨大なデータから見えてきた、世界各国における現代世界を生きる若者の「セクシュアリティ×テクノロジー」についての現状と分析を、抜粋してお届けします。

「アプリで性行為に関する情報を得る」男女で大きな差

回答者全体では、約18%の人が「アプリを使ってセックスについて情報を得たことがある」と回答しました。男女差が顕著で、男性が27%だったのに対し女性は18%に留まりました。

Kinsey Instituteはこの調査結果に関して「若い男性が性に関する悩みを持ったとき、友達や近しい人に相談するのではなく(匿名性の高い)他の方法で性の情報を入手させているのは社会におけるマスキュリニティ(男性性)規範が原因なのではないか」と分析しています。

男性とは常に強くあるべきで、弱さを見せず、性に関しても無知をさらけ出さない、などといった規範がこの男女差に影響しているのかもしれません。

国別に見ると、回答者の数が一番多かったのはお隣・中国(32%)。反対に一番少なかったのはオランダ(12%)、シンガポール(11%)となりました。

共に4歳から性教育が始まり、性の情報にはじまり対人関係の築きかたや人権、社会との関わり方など人としての教育を熱心におこなうシンガポールオランダでは、アプリで秘密裏に調べる以外の解決方法がたくさん存在しているのかもしれません。

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関係性の改善に使われるテクノロジー、ポジティブな見方がほとんど

アプリを使って性に関する情報を得ることの目的に関する設問では、12%の回答者が「性的関係の改善のため」と答えました。また「アプリを使って関係性を改善することは無意味だ/良くない」と回答した人の割合は1%に満たない結果となりました。

ほとんどの回答者がポジティブな見方を示している点について、Kinsey Instituteは「情報を得るというシンプルな行動や、コミュニケーションにつながる糸口をつくることによって、人と人との関係性を改善できる可能性があることを表しており、これは人間生活そのものの向上につながる」とコメントしています。

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LGBTQ+コミュニティでより高い、マッチングアプリの利用

マッチングアプリの利用率を属性別に見た場合、セクシャル・マイノリティ/ジェンダー・マイノリティであると自認している人たちが最も高い結果となりました。

<マッチングアプリ利用率>

・バイ/パンセクシャル:44%

・ホモセクシャル:49%

・クィア:55%

・ヘテロセクシャル:28%

この結果に対してKinsey Instituteは、「ロマンテックまたはセクシャルな関係を望むマイノリティの人々にとって、テクノロジーが時として実際の対人コミュニケーションよりもずっと安全で安心感のある環境として受け取られている事実を反映しているのではないか」と分析しています。

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テクノロジーが私生活に及ぼす影響についてはこれまで多くの報告がされてきましたが、今回の結果は、世界中の人が自分自身のためだけでなく、パートナーのよりよい体験のためにテクノロジーを利用しているという、ポジティブなストーリーを伝えることができました。

テクノロジーが人々の性的関係に与える影響を調査することによって、これらのテクノロジーがどのように使用されているか、どのようなポジティブな結果をもたらしているか、そしてどのように改善すべきかをより良く理解することができると思います。

ーーアマンダ・ゲッセルマン / Kinsey Institute研究員

調査詳細

・対象:18歳以上の、ロマンティック/セクシャルだと自認する回答者

・参加者:自認男性(2500人)、クィア/ノンバイナリー(2100人)、自認女性(13万4000人)

・実施年:2017年6月・調査のフルレポートはこちら

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