「コンドームの使用を男性が決める」率が世界でもっとも高い国はどこ？（調査結果）

「Clue」とKinsey Instituteは2017年、198カ国における現代カップルの性生活と新テクノロジーの関係性について共同で調査をおこない、反響を呼んだ。

この最強コンビが再びタッグを組んだのは、女性の視点からみたコンドームの使用についての「史上最大規模かつ最も国際的な」調査。世界200カ国から95,000件のデータを収集したこの調査によって、女性のコンドームに対する意識と避妊の意思決定に影響する要素のあれこれが浮き彫りになった。

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予想を超えて多かった、女性主体のコンドーム使用

コンドームを使用する際の意思決定について、世界全体で以下の結果が明らかになった。

約5人に1人の女性が「パートナーではなく自分が使用を決めている」と回答
約3分の1の女性が「パートナーと一緒に使用を決める」と回答
全体のわずか5％の女性が「パートナーが使用を決めている」と回答

避妊や性病予防のために男性側が装着するコンドームが、必ずしも男性だけが主導権を持って意思決定しているのではないことが明らかに。実際には、多くのカップルが双方の合意に基づいて使用を決めていることがわかった。

中でもコンドームの使用を「パートナーと一緒に決めている」と回答した女性の割合が最も多かったのがブラジルやチリ、コスタリカやドミニカ共和国などの国々だった。

若い女性ほど「一緒に決めている」

年齢別に見てみると、若い女性ほど挿入をともなう性行為に際して主体的にコンドーム使用の意思決定をできている割合が低いことがわかる。

調査では年齢が上がるごとに女性がコンドーム使用の決定において主体性を増していく様子が見て取れる。45〜54歳の回答者グループでは「わたしが決める（27.18%）」だったのに比べ、最若年層の14〜17歳の回答者グループでは「わたしが決める」（14.60%）という結果になった。

しかし最若年のこのグループでは「相手と一緒に決める」と回答した割合が他の年齢グループと比べて最も多く（78.82%）、どちらか片方が主導して決めるのではなく、カップル間でコンドームに関するコミュニケーションがうまく取れているためだと読み解くこともできる。

ひと際目立つ、日本の「男性主導のコンドーム使用」

同調査では、日本におけるコンドーム使用の意思決定について「パートナーが決めている」と回答した女性の割合が世界で最も高かったことが紹介されている。

世界の平均5％に対し、通常時にパートナーがコンドーム使用を決めると回答した日本人女性の割合は21％にのぼり、さまざまなリスクをともなう生理中の性行為をするカップルにおいては、14%の女性がコンドーム使用をパートナーが決めると回答した。

映画などでも見られるように、日本ではコンドーム着用を女性が男性に「頼むもの」という認識があるのかもしれない。また、着用で男性側の快感が薄れるという認識から「つけて」と言うことによってムードが壊れることを危惧し、言い出せない女性も少なくないだろう。

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「男性がする避妊道具」というコンドーム観を変えていく

同調査は今回の結果を受けて、女性のコンドームに対するエンゲージメントが相対的に低い背景には、今までコンドームはその使用方法から「男性がする避妊」であるという認識が広く浸透し、教育や研究の場でも当然のように男性目線で語られることが多かった社会のあり方を指摘している。

HIVの感染予防啓発の場面でも、男性同士の性行為におけるコンドームの使用ばかりが注目され、ヘテロセクシャルカップルの女性がコンドーム使用に対して持つ主体性についての議論は十分にされてこなかった。

コンドームは、ジェンダーを問わず性行為をおこなうすべての人にとって性感染症やHIVの感染リスクを減少させることができる唯一の手段だ。だからこそ、安全で健康な生活には男性だけでなく女性が主体的にコンドーム使用の意思決定をすることが欠かせない。

普段からカップル間で使用について話し合うだけでなく、女性もカラダや好みに合ったコンドームを見つけ、200％安全に楽しく自分だけのコンドーム哲学を構築していきたい。

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調査の概要

“This is the largest and most internationally diverse study examining the effect of menstruation on current sexual practices and the use of condoms.”
ーーステファニー・サンダース（Kinsey Instituteシニア研究員）