フランスで2026年10月1日から、月経カップと吸水ショーツ(月経ショーツ)の購入費用を公的医療保険が払い戻す制度が始まった。
フランス政府の行政情報サイトによると、対象は26歳未満のすべての被保険者で6割が払い戻される。所得の条件はない。
また、低所得者向けの補足医療保険「C2S (Complémentaire santé solidaire /連帯補足医療保険)」を受けている人は年齢条件なく、全額が払い戻し対象となる。政府の発表では、約670万人が対象になる見込みだ。
対象の生理用品は?

- 対象になる製品:月経カップと吸水ショーツ。タンポンやナプキン、おりものシートなど使い捨ての製品は対象外
- 払い戻しの割合:26歳未満は6割。残りは、加入していれば補足医療保険(mutuelle)が負担する場合がある。C2Sを受けている人は全額(100%)
- 上限数:1年に2点まで。最初に買った日から1年ごとに数える
- 対象になる購入場所:薬局で買ったものに限る
フランスの医薬品情報サイトVIDALによれば、価格には上限が決められていて、吸水ショーツは1枚19ユーロ(約3,200円)、月経カップは1個15.80ユーロ(約2,700円)まで。また、処方箋がなくても薬局で受け取れるという。
対象商品は「国のリストに載った製品」のみ

どの製品でも払い戻されるわけではない。対象になるのは、国が定めた基準を満たし、販売元が製品の区分ごとに識別コードを取った製品だけだ。
基準は、フランスの食品環境労働衛生安全庁(ANSES)の意見を聞いたうえで、省令で決められた。行政情報サイトが紹介している基準としては以下のようなものがある。
- 吸水ショーツ:肌に触れる製品に有害物質が含まれていないことを示す認証「エコテックス スタンダード100」のクラスIまたはクラスIIを取っていること。吸収できる量が12mlを超えること
- 月経カップ:EUの環境ラベル「EUエコラベル」を取っているか、体に触れる医療機器の安全性を確かめる国際規格(ISO 10993-1)に沿った試験を受けていること。容量は「20ml以下」と「20〜30ml」の2つの区分がある
保健省が公開している識別コードの一覧(9月28日時点)には、7社が掲載されている。
なぜ保険適用に?

この制度は2023年末に成立した「2024年社会保障財政法」の第40条で決まっていた。政令が出たのは2026年4月、細かいルールを決めた省令は8月で、決定から開始までに2年以上かかったことになる。
保健省は「生理の貧困」を、お金が足りないために生理用品を手に入れにくい状態で、特に若い人や生活が苦しい人がぶつかりやすいものだと説明している。生理の貧困は、健康だけでなく、人づきあいや学校生活、仕事にも直接影響するという。
政府が4月16日に出した発表は、この制度の目的として次の3つを挙げている。
- 若い女性や生活が苦しい人に特に重くのしかかる生理の貧困をなくすこと
- 毎月どうしてもかかる出費を減らし、家計を助けること
- 長く使えて環境にやさしく、健康にも害のない、繰り返し使える生理用品を広めること
政府の発表は、制度が決まった時点から、現場で支援をしている人や団体、医療者、議員から大きな期待が寄せられていたとも書いている。
2026年4月の発表の中で、保健大臣のステファニー・リスト氏は「生理の貧困は避けられない運命ではない。私たちが断固として立ち向かうべき不正義だ」とコメントしている。
男女平等担当大臣のオロール・ベルジェ氏は「どんな女性も少女も、体を清潔に保つことをあきらめざるを得ない状況に置かれるべきではない。これは健康と尊厳の問題だ」と述べた。
そのうえで、女性の身体をめぐるタブー、つまり恥ずかしさや誤った情報、生理用品を手に入れにくくしている壁を取り除くことは自分たちの責任だとしている。
フランスは以前から生理の貧困への対策を進めてきた。
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日本では?

日本では、生理用品は公的医療保険の対象になっていない。生理の貧困への対策としては、自治体による無料配布や、国の交付金を使ってNPOなどが相談支援の中で生理用品を渡す取り組みが行われている。
今回のフランスの制度は、配布とは別の方法として、自分に合った繰り返し使える生理用品を選んで買う費用を、保険の仕組みで支えるところに特徴がある。
月経カップや吸水ショーツは長く使えるが、1つあたりの値段は使い捨ての生理用品より高い。その最初の出費を、公的なお金で支える仕組みだ。
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生理用品を「個人が自分で何とかするもの」ではなく、「社会で支えるもの」として扱う。フランスの制度は、その考え方を具体的なかたちにしたものだ。
今後、どう広がっていくのか注目したい。














