収入が少ないことを要因に生理用品を買えない「生理の貧困(period poverty)」という課題に、世界で最も早く取り組んだのがスコットランドだ。2020年2月には生理用品無料化を義務付ける法案を決議し、同年11月には本法案を制定した。

スコットランドに限らず、世界各国で「生理の貧困」に取り組む人や団体が存在する。もちろん日本も例外ではない。そんな世界各地の「生理の貧困」への取り組みを紹介する。

スコットランドは「生理用品を必要としているすべての人」を対象に生理用品無償化

Photo by Sara Tsukada / Laundry Box

2017年に世界で初めて生理用品の無料化事業を試験導入したスコットランド。その後本格実施に踏み切り小学生から大学生を対象に生理用品を無料で提供してきたが、ついに生理用品無料化を義務付ける法案が2020年11月に制定された

これにより、「生理用品を必要としているすべての人」が学校や大学といった公共施設で生理用品を無料で手に入れることができるようになった。こうした法案が制定されるのは、スコットランドが世界で初めてだ。無料提供を徹底させる役割は、各地の自治体や教育機関が担っているという。

イングランドでは教育機関での生理用品の無料配布を開始

Photo by Sara Tsukada / Laundry Box

スコットランドと同じくイギリスを構成する4つの国のひとつであるイングランドでは、教育省が率いる計画で、イングランド全土の国公立小学校、中学校、カレッジ(日本でいう高校や専門学校のような位置づけの学校)の生徒、学生を対象に2020年1月より「教育機関での生理用品の無料配布」が正式に始まった。

既に2019年時点でNHS(国民保健サービス)が運営するすべての医療機関を対象に患者の要望に応じて生理用品を無料配布することが義務化されていたが、その対象を教育機関まで拡げたかたちとなり、学生の「生理の貧困」対策への取り組みが進められている。

各教育機関は、政府から1年分の資金を受け取り、提携する販売業者からナプキン、タンポン、月経カップなどさまざまな種類の生理用品を購入し、配布は校内の共用スペースで行う。

これはFtM(Female to Maleの略で、身体の性が女性だが男性として生きることを望む人)などの女子トイレを使用しない人でも、生理のあるすべての人が生理用品を受け取れるようにするための配慮によるものだという。

フランスでは中等教育以上の生徒・学生、受刑者、生活困難者と路上生活者たちを対象に生理用品の提供が開始

Marguerite & Cieが提供している生理用品の配布機。

フランスではおよそ170万人の女性が「生理の貧困」状態にあると言われ、中学生や高校生、大学生などにとっても生理用品にかかる費用が大きな負担となっていたことを受け、2015年にフェミニスト団体とその署名活動により生理用品の消費税が従来の20%から5.5%に下がり、2016年には「生活必需品」に名を連ね

2020年3月には政府が生理用品の無料配布を発表し、実際に9月から実験的に中等教育以上の生徒・学生、受刑者、生活困難者と路上生活者たちを対象に生理用品の提供が開始した。31の高校で試験的に設置し、良い結果が得られた場合には同圏内の他465校にも設置をすることが検討されている。

それ以前にもパリ市の10は2019年に区内の公立中学5校のトイレに生理用品の無料配布機を設置することを決めており、オーガニックの生理用品を配布することで環境への配慮も目指している。

日本国内でも「生理の貧困」に取り組む動きが

Photo by Heather Miller on Unsplash

日本において生理用品は消費税10%の課税対象となっており、軽減税率8%は適用されていない。前出の各国・地域に比べると「生理の貧困」に対する動きはまだ少ないように思えるが、国内でも「生理の貧困」に取り組む人々が増えてきた。ランドリーボックスでも過去に取り上げたことのある活動をまとめていくつか紹介する。

公共施設のトイレに生理用品を無償で置ける環境に!キャンペーン

署名発起当時当時高校3年生のまるさんは、日本の公共施設のトイレに生理用品が置かれ、無償で利用できる社会の実現を目指すための署名活動を開始した。

手始めに自身が通う高校の職員会議に「学校のトイレに生理用品を置いてほしい」と要望を出し、試験的に設置することが決まったという。

署名ページ:「日本の公共機関のトイレに生理用品を無償で置ける環境にしよう!

生理用品を軽減税率対象に!キャンペーン

消費税10%が課税されている生理用品を少なくとも軽減税率対象の8%に引き下げることを目的に、インターネットで署名を集める活動だ。

署名発起人の谷口歩実さんは、祖母の若いころは月末にお金がなくなると「ジャム入りのパンか生理用品で選ばなきゃいけなかった」というエピソードに衝撃を受け「生理の貧困」について関心を持ったそう。

2020年10月、谷口さんは集まった39,663の署名を提出。「署名提出はゴールではなくスタートなので、これからも生理フレンドリーな社会の実現に向けて活動していきます」とコメントを投稿した。

日本語署名ページ:https://www.change.org/p/19334609

English Petition:https://www.change.org/p/19388652

生理用品が買えず学校に行けないアフリカの女学生に200万枚のナプキンを届けた大王製紙

写真提供=大王製紙

『エリエール』ブランドを抱える大王製紙は2018年10月、世界の女性たちの生理に伴う不安・不快を取り除くことを目指すプロジェクト「ハートサポート」を立ち上げ

SNSを使ったアクション数に合わせて生理用品を届ける企画を開始、すぐに多くの賛同者が集まり、支援上限200万件分の生理用ナプキンをキベラなどにある孤児・貧困児童の通う学校や医療施設に贈った。

2年目は生理用ナプキンではなく「下着」「石鹸」「トイレットペーパー」など生理に近いものから支援を行った。3年目を迎えた2020年は支援先をアフリカザンビアに変更し、2021年1月頃から現地の支援を開始する予定だ。

BBCによると上で紹介した国や地域のほかにも、アメリカの12州やケニヤ、カナダ、オーストラリア、インド、コロンビア、マレーシア、ニカラグア、ジャマイカ、ナイジェリア、ウガンダ、レバノン、トリニダード・トバゴなど、多くの国が生理用品の税率を引き下げたり、廃止している。

生理用品無償化に向けて動く世界の生理事情の動向は2021年もウォッチ必須だ。

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