韓国にて、7月6日より、全国12地域の公共施設で生理用品を無料で受け取れる試験事業「公共生理用品(みんなの生理ナプキン)」が始まった。
韓国ではこれまでも、年齢や所得で対象を絞って生理用品の購入費を補助するバウチャー制度はあった。しかし、所得や年齢を問わず、生理用品を必要とする人なら誰でも利用できる公共サービスとしては、初めての取り組みだ。
韓国の約500カ所に生理用品を試験設置
事業を担うのは、韓国で女性・家族・青少年政策などを所管する政府機関「性平等家族部」だ。
同部が7月2日に発表したリリースによると、試験地域はソウル・広津区/恩平区、京畿・光明市/水原市、忠南・舒川郡、大田・中区、全北・井邑市、全南・木浦市、光州・北区、慶北・亀尾市、慶南・居昌郡、済州・済州市の計12自治体。
住民センター、図書館、青少年施設など、アクセスしやすい公共施設およそ500カ所を中心に、生理用品とディスペンサー(給紙機)が設置される。
配布されるのは、「公共生理ナプキン」「みんなの生理ナプキン」と印字された包装に中型2枚を入れたパック。
ディスペンサーは計700台で、手動式300台が6日から先行設置され、電源とIoT機能を備えた自動式400台は品質・安全検査を経て20日から順次設置される。
自動式には、必要な分だけ取れるよう「ボタンを一度押すと20秒待つ」設計や、視覚障害のある人に配慮した音声・点字案内も盛り込まれている。
利用できる施設は、性平等家族部や各自治体のサイトで確認でき、将来的には地図から近くの設置施設と在庫を探せるサービスへの拡張も予定されている。
韓国の生理ナプキンの価格高騰と生理の貧困
この事業は、突然生まれたものではない。
韓国では以前から、生理用品の価格負担と「生理の貧困(생리 빈곤)」が社会的な課題として議論されてきた。
2016年には、生理用品を買えずに靴の中敷きで代用していたという10代の女性の存在が報じられ、生理用品へのアクセスが社会問題であることが可視化された。
これを一つの契機に、韓国では9〜24歳の低所得世帯の若者を対象に、月あたりの購入費を補助する生理用品バウチャー支援が実施されてきた。今回の無料配布が始まった後も、このバウチャー制度は継続される予定だ。
2026年3月の閣議で、政府は年齢・所得を問わず必要な人に生理用品を無償提供する方針を打ち出し、4月には運営に参加する自治体を公募した。
その後、5月28日の「世界月経の日」に合わせて食品医薬品安全処と連携、安全性が確認された許可製品を配布する体制を整えた。
そして6月に試験地域12カ所を選定し、今回の試験事業開始に至っている。
予算は、2026年の試験事業に国費でおよそ32億ウォン(約3億円)を計上。今年は全額を国費でまかない、2027年の本格事業からは国と自治体が費用を分担する形での全国展開を目指すとしている。
民間でも、生理用品を手頃な価格で提供する動きが広がっている。韓国ダイソーは製紙メーカー・깨끗한나라と組んで、10枚入り1,000ウォン(約100円)の「PURE 깨끗한 생리대」を発売。
大型スーパーでも99ウォン台の商品が登場するなど、公共・民間の両面から「生理用品の値段を下げる」取り組みが同時に進んでいる。
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生理は、月に一度、望むと望まざるとにかかわらずやってくる。
にもかかわらず、その備えにかかる費用や負担は、これまで長く「個人が黙って引き受けるもの」とされてきた。誰もが公共施設で当たり前に生理用品を手にできる。今回の試験事業は、その前提を問い直す一歩だと言える。
こうした発想は、世界で少しずつ形になってきている。
スコットランドは2022年、公共施設や薬局などで誰もが生理用品を無料で受け取れる仕組みを世界で初めて整え、ニュージーランドやフランスなども学校や大学を中心に無償化を進めてきた。
試験運用の中で、見えてくる課題もあるかもしれない。日本でも、生理の負担を個人の問題にしない仕組みをどうつくるか、考えるヒントになりそうだ。














