Photo by Yohei Ono / Laundry Box

ミュージシャンという、人から見られる仕事をしていますが、一方で「人から体型を見られたくない」という矛盾した気持ちを抱えています。

今回は体型コンプレックスを持つことになった私の過去と、現状たどり着いた体型維持の方法をお話します。

同じ悩みをもつ誰かの参考になれば嬉しいです。

「ガタイがいい」自分の体型が嫌いだった

幼い頃、私は自分の体型が嫌いでした。同年代の子たちに比べて、肩幅や身長など、身体が大きかったのです。「背が高いから」という理由で、小学校の頃はサッカーのキーパーに選ばれました。

兄とケンカをすると、最終的に「デブ」と言われるのがお約束。

実際には「太っている」わけではなかったと思うのですが、「なんかデカい」「ガタイがいい」という体型だったと思います。

大学時代は、人生で一番太っていました。

フットサルサークルに入った私。運動をしたあとに、ラーメン、パスタなどで大量のカロリーを摂取していました。そうするとどんどん体つきがよくなるのは当たり前。

しかし、実は当時は自分が太っているだなんて思ってはいなかったのです。それまでの人生を通して「なんかデカい」状態だったので、特に気づかなかったのです。

数年後に写真を見返したときに、「こんなに太っていたんだ!」とびっくりしたほどです。

そしてそれは子宮の病気を患いだんだんと痩せ始めていたときでした。

「痩せている自分」が好き。鏡に映る細い足を眺めていた

大学を卒業してから、私は子宮腺筋症子宮内膜症という病気にかかりました。薬が体に合わず、同時にメンタルにも影響をきたし、ご飯も食べられなくなってしまったのです。大学時代と比べると11kgも落ち、一時は身長に対して「痩せすぎ」レベルの体重まで痩せてしまいました。

このとき、鏡に映った自分の顔をみて『骸骨』という曲を作ったほど。

「骸骨」というくらいだから、「健康的な身体」とは言い難いはずなのですが、恐ろしいことに私は「痩せている」自分が好きでたまりませんでした。病気が原因でしたが、細い自分が好きで、鏡を見ては細くなった足を眺めていました。

久しぶりに会う友人から「すごく痩せたね」と言われて舞い上がっていたし、気分がよかったのです。痩せると、背骨や尾てい骨が出て寝るのがつらいのですが、そんなエピソードですらも得意げに人に話していました。

今ならはっきりと言えます。あのときの私は心を病んでいたのだ、と。

それまでの人生で培われてきた体型へのコンプレックスから、「痩せている私」に捉われていたのではないかと、今なら思います。

その後、病気への対処法が見つかり、徐々に体型は戻り、現在に至ります。

写真=本人提供

体型コンプレックスを持ちながら、人に見られる仕事をすること

正直なところ、今でも体型へのコンプレックスは、なくなりません。ミュージシャンという表舞台に立つ仕事として、やはり体型を気にせざるをえない。

今夏公開された、私が主演を務める映画『リスタート』でも、アイドル衣装と学生服を着たときは、「脚を隠してほしい」と品川ヒロシ監督にお願いをしました。

もともと食べることが大好きな私。ですが、体質的には太りやすく、1日3食食べると太ってしまい、顔に出やすいので、ライブやイベント前などは気にかけています。当日の写真を見返して、「うわ…太った」と思うこともあります。

自分たちで選んで出している写真はまだマシなのですが、ライブやイベントなどでお客さんが撮ってSNSなどにUPしてくれた写真はリアルな姿を如実に映し出していると感じてしまい、いつもSNSで自分の写真を見るのが怖いのです。

食べた分だけしっかり体につく体質なので、量と回数をコントロールしています。思うように食べられないことで腹が立つこともあります。

だからでしょうか。YouTubeで大食い動画を見るのが好きなんです。動画を見ると少し思うように食べられないストレスが軽減される気がします。動画の中の人が私の代わりにハイカロリーなものをたくさん食べてくれている気持ちになるから。

他人に自分の体型を見られたくない、という気持ちがあるのですが、人から見られる仕事をしている矛盾にいつも困っています。

もしかしたら、私は自分に求める体型への基準が厳しいのかもしれません。

もしかしたら、私はまだ「痩せていた過去の私」に捉われているのかもしれません。

たどり着いた方法は「プロに頼る」

しかし、やはり健康的に体型を維持することはミュージシャンである私がきちんと向き合わなければいけない課題のひとつだと思っています。

いろいろなダイエット方法を自分で試してきましたが、現状たどり着いた方法は「プロに頼る」こと。

私は専門のトレーナーに指導してもらいながら、時々ファスティングをしています。腸内を空っぽにすることで、普段の蓄積物がデトックスされて肌もきれいになるそうです。

メールでのコンサルティングとはいえ、トレーナーさんにつきっきりの管理をしてもらうので、もちろんそれなりの費用がかかりますし、ファスティングに必要なハーブ類も安くありません。

ですが、自己流でのファスティングは過食症、拒食症、生理不順などのさまざまな危険性があると聞きます。健康的に体型を維持するための投資と捉え、専門家の指導のもとファスティングやトレーニングをすることが、私には必要だと考えています。

また、むくみやすい体質のため、「水をたくさん飲む」ことも意識しています。1日2Lを目安に飲んでいます。

このように体型維持について語りましたが、書いてみて思ったことは「そもそも自分に自信がないから、維持しようとしているのがやっと」ということ。

あるがままの私を認め、私の体型を好きになることができれば、自信が持てるのかもしれません。

読者のみなさんになにか言える立場ではないのですが、自分が自分らしくいられるように、一緒に頑張りましょう。

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