第1回のコラムでは、医師や看護師たちにもなかなか理解してもらえなかったつらい生理痛について綴り、自分の症状に合った病院探しの旅に母と出る…というところまでお話をしました。今回は、それからちょっと先のお話で、今の私を形成するうえですごく大事な部分に触れてお話したいと思います。

「思春期外来」との出会い

母はいろいろな病院をネットで探してくれました。そこで出会ったのが「思春期外来」という看板を掲げている婦人科でした。医師は男性で、生理や性についてオープンに話すスタンスにとても好感をもちました。診察で初めて「君は月経困難症なんだよ、つらいねえ。僕たち男は、君たちの痛みがわからないからどうにかしてあげたいのさ」と言われました。

「やはり普通じゃなかった!ほらね!」と思うとともに、自分が困っているこの状態に「月経困難症」という“名前”を付けてもらえたことに、とても救われた気持ちになりました。

そこで処方されたのはピルでした。私にはピルと言えば避妊目的のものでは…?というイメージがありましたが、月経困難症を緩和する効果もあるとのこと。「いろいろな種類があるから、合うか合わないか長い目で見ていこうね」と言われました。

このとき、周りでピルを飲んでいる友達がほぼいなかったため、自分が珍しいことをしているという気持ちがありました。しかし、生理が少しでも楽になるんだったら何でもいいや、という気持ちで2~3種類ほど試しました。

実際、ピルを飲んでから、少し症状が改善されたこともありました。しかし依然PMSがひどく、併設されているカウンセリングにも通い始めました。生理が近づくと気分が大変落ち込んでしまうため、精神安定剤も併せて処方してもらっていました。

Photo by Yohei Ono / Laundry Box

「やっぱりね」子宮腺筋症と子宮内膜症を発症

高校生から大学生の間はなんとかピルと痛み止め(ときには座薬)でしのぎました。しかし、24歳くらいのときにまた、耐えられない腹痛に加えて腰痛や吐き気も出てきてしまいました。経血量も多く、具合が悪くなる期間が長くなっていきました。その状況に「納得できない」「このまま生活するのは耐えられない。改善できる方法はないか?」という気持ちが強くなり、また別の病院に行きました。

そして初めて言われたのが、「子宮腺筋症」「子宮内膜症」という病名。説明を聞いたときはショックでしたが、このときも「やっぱりね」という気持ちになりました。自分の痛みには「月経困難症」、つまり「月経が大変な人」というだけでは解決しきれない何かがあるとずっと思っていたからです。

さっそく母が「子宮腺筋症」「子宮内膜症」というワードをネットで検索し、それについて論文を出している医師に直接コンタクトを取ってくれたのです。これが私が今も、お世話になっている医師との出会いでした。

《私がここまでにしてきた生理への対処》

・とにかく体を温める

・腹痛がきたら風呂につかる

・痛み止め薬を早めに飲む

・座薬を使う(中学生の時から)

・生理用おむつを履く

・経血が多い不快感で眠りが浅いため、タンポンとおむつをして不快感をやわらげる(夜中に交換もする)

・ヨガに通う

・整体に通う

さまざまな薬やアイテムを試すなかで出会った、ミレーナ

このとき私は24歳。10年近く生理に苦しめられてきて、これから私は自分の子宮とどう付き合っていけばいいのかと悩んでいました。10代の時に看護師さんに言われた「大人になるにつれ楽になるよ」という言葉も私には当てはまらなかったとわかりました。

そんなとき、別のご病気で子宮を全摘出された方を紹介していただき、私は自分の抱えきれない子宮への嫌悪感や、恐怖について話を聞いてもらう機会がありました。当時の私には、「子宮を摘出する」という選択肢が頭のどこかにあったのかもしれません。彼女に話を聞いてもらったことで、一旦その考えはなくなりましたが。

母が探してくれた医師に、私の思いを洗いざらい話しました。そこで最初に提案されたのが「ディナゲスト」というホルモン薬。この薬は中高年以上の人が服用していることが多く、20代で飲んでいる人はあまりいないとのことでした。それでも私は少しでもこの生理の苦しみから逃れたいという気持ちで「ディナゲスト」の服用をはじめました。

しかし、1カ月ほどディナゲストを試してみたところ、副作用の抑うつ症状・不眠が強く出てしまったのです。ベッドから起きるのもやっとの状態で、生活に支障をきたしてしまいました。

「またダメだった」という思いで医師にディナゲストの失敗を伝えたとき、初めて「ミレーナ」の存在を聞かされたのです。

「生理を5年間、子宮に器具を入れて生理の回数を減らす」という医師の言葉に、私は驚きました。最初は、器具を体内に入れることや人間の体のはたらきを止めてしまうことに対する不安もありましたが、医師の説明を受け、ミレーナの使用をお願いしようと決意したのです。

連載「生理で死にたいなんておおげさ?〜HONEBONEエミリと生理〜」第3回に続く。

<MV>

HONEBONE / 生きるの疲れた

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