画像=Laundry Box

フェムテックとは?

Female(女性)× Technology(テクノロジー)をかけ合わせた造語で、生物学的女性の健康課題をテクノロジーで解決するヘルスケアのジャンルです。

「生理」「更年期」「婦人科系疾患」「不妊・妊よう性」「出産・育児」「セクシャルウェルネス」などのカテゴリがあり、それぞれの問題をタブー視せず、前向きに解決するためのサービスやアイテムが数多くあります。フェムテックの市場規模は、2025年には5兆円規模に成長するといわれています。

グローバル有力市場調査会社Market Research Future調べ

コロナ禍は女性の心身の健康だけでなく、財政状況にも大きな影響を及ぼしています。妊娠中や産後の女性は、心身のケアを必要としていますが、パンデミックの状況下では満足なサポートを得るのが困難です。今回は妊産婦の経済的負担を軽減しながら、ケアに尽力しているアメリカのフェムテック企業をご紹介します。

女性へのケアは重要な課題

これまで、ランドリーボックスではコロナ禍における女性を取り巻く環境の変化を取り上げてきました。女性の割合が高い非正規雇用労働者やシングルマザーの困窮コロナ禍の出産で多数の母親が孤独感を感じていることなど、母親に対するケアの重要性が顕在化しています。

現在、妊娠中や産後の女性は、厳重な感染対策、陣痛中のマスク着用、入院中の訪問者の制限、ビデオ会議ツールでのパートナーの立ち会いなど、これまでにない負担を強いられています。

アメリカでは、コロナ禍以前から問題視されていた有色人種の妊産婦の健康格差が今後さらに深まることが懸念されています。アメリカ疾病予防管理センターは、アメリカン・インディアン/アラスカ・ネイティブおよび黒人女性が、妊娠に関連した原因で死亡する可能性が白人女性に比べて2~3倍高いと発表しています。妊娠関連の合併症や早産の割合も高く、専門的なケアへのアクセスが必要な状況です。

また、アメリカのシンクタンクのセンター・フォー・アメリカン・プログレスの調査結果では、有色人種の女性は白人女性に比べて家計を支えているが、コロナ禍で経済的なダメージを受けやすい非正規雇用労働者が多く、元々あった健康格差が深刻化しているため、有色人種の女性全般に支援の介入が重要であると述べています。

低価格で妊産婦をサポートするフェムテック企業

フェムテックは、医療やヘルスケアに潜むジェンダーバイアスをなくすためにさまざまな女性の健康課題を解決していますが、最近では、有色人種の女性たちが直面する健康格差を是正するために取り組む企業が出てきています。

1. 黒人女性のニーズに合わせた妊娠・産後のサポートを行うMae

Maeは、「ドゥーラ」と呼ばれる産前後の母親に寄り添う助産師のマッチングを行っており、15分間の無料相談や低価格のオンライン相談、対面ケアを気軽に受けられるようになっています。

黒人女性の起業家が立ち上げたこのサービスでは、黒人女性のケア水準を向上させることと、大規模に消費者に届けることを使命としており、ドゥーラのサポートによって健康リスクを抑えられる仮説をもとにコミュニティ運営をしています。

https://www.instagram.com/p/CP-4oB1NsQd/?utm_source=ig_web_copy_link

2. 包括的なバーチャル・マタニティ・ケアを提供するBabyscripts

Babyscriptsは、産婦人科と提携するビジネスモデルで、妊娠中の患者と医師をシステムやデータでつなげた遠隔患者モニタリングサービスなどを提供しています。
2021年5月にBabyscriptsは、アジアのコミュニティの健康格差を是正するために作られたヒューストンのHOPE Clinicと提携し、コロナ禍で健康の公平性が更に必要になったマイノリティや低所得の女性に向けたデジタル教育と遠隔患者モニタリングを開始しました

HOPE Clinicは、患者の支払い能力に関わらず、すべての人に医療サービスを提供し、特に保険に加入していない人、英語力の低い人、低所得者のサポートをしています。

https://twitter.com/Babyscripts/status/1427286241985323012?s=20

3. 自宅でのケアとテクノロジーを駆使したケアを提供するCayaba Care

Cayaba Careは、十分なサービスを受けていないマイノリティ女性のために、低コストまたは自己負担なしで妊娠中の相談や育児や産後のフォローアップをオンラインで受けられるサービスを提供しています。
Cayaba Careが活動を始めたフィラデルフィアは、黒人女性が全出産数の43%を占める一方で、妊産婦の死亡率の73%も占めており、フェムテックによる課題解決が期待されています。

画像=Cayaba Careサイトより

包括的なフェムテックの可能性

出産は一般的に祝福されますが、不妊治療や妊娠中に生じる心身の課題はオープンに語りづらく、解決できる場へのアクセスが充分に開かれていません。

今後もしばらく続きそうなコロナ禍で、妊活、妊娠、出産、子育てをする人々を孤立させず、オンラインでサポートすることは全世界共通の課題です。

日本でもオンラインで妊活・妊娠・子どもの健康について相談できるサービスがあるので、お困りの人は選択肢のひとつとしてチェックしてみてください。

参考:通院による感染リスクが心配……。自宅でできる厳選「オンライン診療サービス」まとめ

今回ご紹介したアメリカのフェムテック企業は、先進国でありながら有色人種の妊産婦の死亡率と罹患率が高いという重大な課題を解決しようとするもので、いずれも保険に加入していない人にもアクセスしやすいサービスです。

「フェムテックは高額なものが多い」という意見を目にすることがありますが、フェムテックも多様化しヘルスケアにおけるジェンダーギャップから、女性間にある経済格差も関係する健康格差に着目し進化しています。

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