10月11日「国際ガールズ・デー」は、女の子の権利やエンパワーメントを広く社会に呼びかける日。2011年、国際NGOプラン・インターナショナルの「Because I Am a Girl(女の子だから)」キャンペーンを起源に、国連によって定められた。

世界で女の子だから受けているさまざまな制約があるという現状にあらためて向き合って考えたいと思う。たとえば、貧困や文化的しきたりなどを理由に10代前半で結婚を余儀なくされている女の子たちが多くいる(日本ユニセフ協会によると、世界の女性の5人に1人が児童婚を経験)。

また、経済的理由から生理用品が買えず、学校に通えなくなる女の子たちが世界中にいることも悲しい現実だ。5年前に別のメディアでウガンダの現状とプラン・インターナショナルの取り組みを伝える記事を書いたとき、女の子を取りまく衝撃的な現状を知った。

ウガンダでは生理についての理解が乏しいばかりか、生理中の女性に差別的な印象を持つ傾向にあり10代の女の子にとっては、大きなストレスとなっている。月経が始まった女の子たちの約11%が性差別やいじめが原因で学校を中途退学するという。

日本の生理をとりまく環境は、少しずつではあるが進んでいると感じている。まだまだ時間がかかりそうだが、大手生理用品メーカーが#NoBagForMe のメッセージを発表したことは注目すべきトピックだと捉えている。

「生理の貧困」は世界的イシュー

ランドリーボックスでは、世界で「生理の貧困」の解決に向けて取り組む人たちをたびたび紹介してきた。

フランスやイギリスでの進歩には目を見張るものがあるし、それを後押しするための活動を続けている人たちの思いに、心が打たれる。

そしてこの「生理の貧困」は、日本も例外ではない。この問題に谷口歩実さんが着目し、声をあげ、生理用品を軽減税率対象にしようという署名活動を行っている。

「高くて買えない」の声

月経カップや吸収型ショーツなど、生理期間を少しでも楽に過ごすための選択肢として、ランドリーボックスでは、最新の生理用品を記事やEコマースなどで紹介している。最新のフェムテックの動向を取り上げることもある。

そんななか「便利なのはわかるけど、5000円のショーツなんて高くて買えない」「フェムテックの盛り上がりを見ると疎外感を感じる」といったコメントを目にすることがある。

本当にその通りだと思う。いくら快適になるといっても、気軽に試すにはハードルが高い。

なぜ高いのか

では、なぜ最新の生理用品は高いのか?

それには身体に関わるテクノロジーに膨大な開発資金が必要である点があげられる。

医療的な要素も含まれるが、継続的に取られた女性の身体データが少ない。抱える悩みや体質は人によって多種多様で、みなが同じではない。そのため多くのデータベースが必要となり、収集の時間とコストも膨大になってしまう。

身に付けるものや体内に挿入するものであればとくに、まずは安全なものでなければならない。時間と労力と資金が膨大にかかるため1つあたりの単価がどうしても高くなってしまうのだ。

Photo by Reproductive Health Supplies Coalition on Unsplas

高いから売れない。売れないと、事業をたたまなくてはならない。せっかく女性の生きやすさのためにとりくむ方たちが、その目標を手放してしまったら……。と考えると胸が痛い。

しかし月経カップは発展途上国で、ナプキンが買えない女性たちが使い始めたことが話題となり、世界に広がった。のちに日本でも購入できるようになったのだ。これはひとつの希望と考えている。

フェムテックの発展に必要なこと

フェムテック業界が発展していくためには、テクノロジーの進歩と同時に、商品を購入する人が増えていかなければならない。同時に生理用品の税率引き下げをはじめとする国の資金補助や、投資家からの支援も必要不可欠であるように思う。

社会は、生理をタブー視している場合ではない。

私にできることはあるだろうか?とも考えた。たとえ「高くて買えない」と言われてしまっても、プロダクトの魅力や開発に取り組む方たちの思いを伝えていくこと。女性に限らず生理への理解促進にはたらきかけることも必要。傲慢かもしれないが、専門メディアで発信している自分は、少なからずその役目を担っていると考えている。

社会、政治、テクノロジー、メディア——これらはすべて地続きで、私たちは同時に前に進む必要がある。

今は「高くて買えない」ものだとしても、将来的に生理用品を必要とするすべての女性がアクセスしやすいプロダクトに発展していくという希望を捨てたくはない。

私には3歳の娘がいる。彼女が初潮をむかえる数年後は、今よりも生理へのタブーが薄まって、生理日を快適に過ごせる便利なアイテムが若い子でも購入しやすく、使いやすいものになっていてほしい。それが女の子の権利を守ることでもあるし、エンパワーメントのひとつだと思うから。

ランドリーボックスでは、「生理の貧困」に関する国内外の情報を集めています。自治体や教育機関、企業、団体などが取り組んでいる施策、無料配布が行われている地域など情報をお持ちの方はぜひ、こちらのフォームにご記入ください。

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