みなさんは、タンポンを股にいれて、下着をはかずに直接ズボンを履き、全力ダッシュをしたことがあるだろうか。

今にも落ちそうなタンポン。 

雨なのか汗なのか涙なのか、もうわからない。 

早く下着を手に入れないと、終わる。

これは、ゴールデンウィークのとある日、田舎でおきた失敗談である。

足を負傷、急きょ温泉へ

その日は山を登る予定だった。しかし当日になってみると、雨は強いし霧も濃い。

これはやめたほうがよさそう…ということで、断念。

調べてみると、わりと近くにハイキングできそうな場所がある。

それなら、そこを歩いて、遅くならないうちに宿へ帰ろう。そう計画を変更した。

ハイキングへいく準備をはじめたものの、私には少し気がかりなことがあった。

普段から黄体ホルモン錠剤を服用しているのだが、この旅行の1ヶ月ほど前から不正出血……いや、もはや軽い日の生理と言っていいレベルの出血が、地味にずっと続いていた。

量は多くないものの、不安定な時期はたまにドッと増える日がある。

いつもは吸水ショーツを履いているけど、旅行中ということもあって、洗濯の手間は増やしたくないし、持っていく荷物は増やしたくない。

今の予定だと、宿に帰る時間は遅くならなさそうなので、その日は「ショーツ型ナプキン+シンクロフィット」で乗り切ることにした。ショーツ型ナプキンはオムツのような形をした使い捨てナプキン、シンクロフィットはナプキンと併用して股にはさむアイテムだ。

ショーツ型ナプキンは、取り替えなくても6〜8時間はいける。

朝の量の感じなら、途中でシンクロフィットだけ替えれば充分そうだ。

そう見積もって、シンクロフィットの替えをひとつだけ持って、いざ出発。

出発時、辺りは本降り。でもハイキングコースに着く頃には雨はやんでいた。途中でコーヒーを淹れ、休憩をし、自然を眺めながらハイキングコースをただひたすら歩く。

途中でトイレにも寄って、シンクロフィットを交換。ここまでは、平和だった。

このあと、想定外のことがおきる。

履いてきた登山靴が、絶妙に合わないのだ。数ヶ月前に買ったばかりで、前は問題なかったのに、その日の靴下の厚さのせいなのか、右足がなんともいえず痛い。

靴の中にバンダナを突っ込んで厚みを足しても、痛みは増すばかり。かばうように歩くから、想像の倍のスピードで疲れていく。

パートナーと相談し、無理して歩き続けると、このあとの旅行に響くね、という話になり、近くのバス停まで引き返すことにした。とはいえ田舎。宿へ向かうバスの時間まであと数時間ある。

どう時間をつぶそう…Google Mapで探すと、もう少し歩いたら温泉施設があることを発見。

他に観光するような場所はないし、ふたりともお風呂は大好き。

よし、ここで時間をつぶそう!

ただ、私は出血中。湯船は遠慮して、タンポンをつけてシャワーだけ浴びさせてもらおう。

温泉施設に向かう途中にスーパーがあったので、そこに立ち寄りタンポンを購入。

これで準備万端!……と、このときは思っていた。

個室ひとつのトイレで、タンポンと格闘

温泉に到着。受付で事情を説明して、タンポンをつけてシャワーを浴びていいかと聞くと、承諾いただけた。タオルもなかったので、タオルを購入。

よし、これでゆっくりできる。

パートナーに「またあとでねー」と手を振り、いざ女湯へ。

脱衣所に荷物を置き、ジャケットを脱いで見回すと、トイレのマークを発見。

タンポンをつけて入ろうと決めたものの、トライするのは5年以上ぶり。以前試したときは、挿入に手こずり、その1回しか使わなかった。つまり苦手意識がある。

箱ごと抱えてトイレに向かうと、個室はひとつ。

まあ、どうにかなるだろう。

楽観的に考え、いざ開封。

履くショーツをずらし、シンクロフィットを捨て、まずは深呼吸。

タンポンの説明書は読まずに、とりあえず右手でタンポンを股につっこんでみた。

血が苦手なので、天井を見つめながら。

これくらいかな、というところでそのまま右手でアプリケーターを押す。

「ん?」

「……え、今、私、何を持ってるの?」

「これアプリケ……あれ、これ引っぱっていい筒?え?なにこれ?」

頭の中が大混乱。おそるおそる股をのぞくと──

全然、入っていなかった。なんなら、半分くらい股から出ていた。

こうなると、股に感じる違和感もすごい。

奥まで入れれば無感覚ゾーンがあると知っていたので、浅いのはわかる。

わかるけど、変なところでタンポンの挿入を止めたまま、アプリケーターだけ押していたらしく、もう何がなんだかわからない状態になっていた。

数年前もまったく同じ失敗をした…。

「だめだ。説明書を読んで、冷静になってやろう」

と決意した、その瞬間。トイレに誰かが入ってきた気配。

個室はひとつしかないので、やばい、早く出なきゃ!と焦る。

そうだ、受付の横にもトイレがあった。あそこの方が広いはず。

急いでタンポンを抜き、ショーツ型ナプキンをいったん履いて、個室を出る。そしてそそくさと服を着て、受付のトイレへ向かった。

説明書を読んだけど、筒って、どの筒?

私の読みは当たった。受付のトイレは、個室が3つ。しかも広々していた。

よかった、ここで落ち着いてタンポンを入れられる!

今度はちゃんと、入れる前に説明書を読む。

筒を持った指が膣口につくまで入れる。 筒を持つ指はカラダにつけたまま、逆の手で青い筒を押す。 筒を持つ指と、青い筒を押す指が重なるまで押しきる。 筒を持つ指で、そのまま抜き取る。ヒモは取り出しに使うので、外に出しておく。

ソフィ 公式HPより

よし、今度こそ!

利き手の右手で持ち手を持って、その指が膣口につくまで入れた。

その指はそのままで、左手の指で青い筒を押した。

右手と左手の指が重なった。完璧!

で、最後。

「筒を持つ指でそのまま抜き取る」

筒を持つ指?えっと、右手も左手も今筒さわっているよね?

あ、これかな?

左手でひっぱったら、アプリケーターが戻ってきた。

「え、挿入した分、戻ってきたけど?」

ソフィ 公式HPより

ここでタンポンの仕組みを画像で紹介。タンポンは、大きく分けて挿入用と押し出し用の2つのアプリケーター部分がある。私はただ、押し出し用のアプリケーターをひっぱり、元の場所に戻しただけなのだが、そのときはそれをひっぱったらタンポンだけが身体に残り、アプリケーターだけ抜き取れると思っていた。

でもそうではなかったので、そのとき自分が何を抜いたのか、そして何を抜けばいいのかが分からず大混乱。

そうこうしているうちに、股に違和感を感じるようになって、焦ってこれも抜いてしまった。

1つめのトイレの1本と合わせて、すでに2本を無駄にしてしまった。

タンポンを上手く入れられない、そして誰か来るかもしれないという焦りなのか、お風呂にも入っていないのに、下を向くと、汗がぽたぽた垂れはじめた。

「大丈夫、落ち着いたら出来る」

そう信じて、もう一度、説明書を読む。

息を吐いて、リラックスして、挿入。

右手と左手の指が重なるところまではスムーズにいけた。

そして冷静になると、「筒を持つ指」というのは、押し出し用の部分ではなくて、持ち手の筒(挿入部分)だと理解して、引っぱった。

するん!

股から飛び出す、ヒモ。

やった!!!入った!!!

この時点で、合計20分ほどトイレで格闘していた。

最大のミスをやらかしたことに気が付いた

焦りと汗で、すでに茹でダコ状態。さっさとシャワーを浴びて、休憩所で休もう。

脱衣所に戻り、服を脱ぎ、浴室にIN。

人はまばらだったものの、1番入口に近い洗面台が空いていたので、そこに座る。

すると座った瞬間から、股にものすごい違和感を感じた。慣れていないから? 

いいや、とりあえず洗おう。

違和感を打ち消すように、身体を洗い始める。汗でシャンプーが泡立たないので二度洗い。

そうしているうちに、尿意もあってか、タンポンがどんどん押し出されてくる気がした。

え、これ、ちゃんと入ってる?

たぶん入ってはいたのだと思う。でも頭の中は「タンポンがずり落ちていく」映像でいっぱいだ。やばい、早く洗ってあがろう。

あがったあとの段取りを、頭の中でシミュレーションする。

身体を拭いて、トイレに行って、タンポンをすぐ抜いて、下着にナプキンをつけて──

……あれ。

下着に、ナプキン…?

絶望的なことに気がついた。

替えの、パンツが、ない。

ショーツ型ナプキンは、使い捨てだ。履いてきた1枚は、脱いだ時点で役目を終えている。シンクロフィットも使い切った。

タンポンのことしか頭になかったので、さっきスーパーで買ったのはタンポンだけ。

今、私はズボンしか持っていない。

つまり、このままだと、もう降りてきていそうなタンポンの上に、直接ズボンを履くことになる。

いろんな選択肢を考えた。でも結論は一択だった。

店で買うしかない。

雨の中、タンポンを求めて猛ダッシュ

歩いて5分ほどの場所にコンビニがあることは、来る時に把握していた。

身体を拭き、脱衣所に戻る。

私は覚悟を決めた。

ずり落ちそうなタンポンの上に、ズボンを直接履いた。

幸い誰も周りにいなかったけど、この状況を見られたら恥ずかしすぎるので、普段の5倍のスピードで着替えた気がする。

髪は乾かさず、必要最低限のものを持ち、受付を通り過ぎ、靴箱へ一目散に向かった。

こういうときに限って登山靴。焦って靴紐がうまく結べない。履くための体勢のせいなのか、タンポンがもっと飛び出ているような気がした。

外に出ると、また小雨が。

だだっ広い駐車場を越え、道路を渡ればコンビニがある。

あと5分我慢できたら、下着が手に入る!

そう自分に言い聞かせて、傘をさし、走り出した。

雨は降っているし、合わない登山靴で足は痛いし、うまく走れない。

でも、もしここで漏れたら、お気に入りの薄緑色の登山ズボンに血がにじんでしまう。

さっき身体を洗ったはずなのに、雨なのか汗なのか涙なのか、全身が濡れている気がする。

あと少し

あと少し

がんばれ私!!!!

あと少しなのに、途中の道路で赤信号にひっかかる。待っている間、意味があるのかわからないけど、股に力をいれて漏れないようにしたりもしてみた。

そして信号が青に変わり、再びダッシュ。

体感10分、コンビニに到着した。

下着とナプキンを買うつもりだったけど、ショーツ型ナプキンを発見。それを掴んで、急いで購入。

ここからは時間が勝負だ。

店を出て、来た道をまた走り出す。

早く、トイレに、行きたいーーー。

今度は運良く青信号だったので、一気に交差点を渡り、全速力で走り、温泉に帰還。

登山靴の紐を急いでほどき、さっきタンポンと格闘したあの受付のトイレにまた戻ってきた。

ズボンを脱ぎ、おそるおそるズボンを見ると、血は漏れていなかった。

というか実際は、タンポンはずりおちていなかったようだ。

違和感のあったタンポンを外し、コンビニで購入したショーツ型ナプキンを着用。

ふわっふわ。包まれている安心感。

このときほど、コンビニ、そしてショーツ型ナプキンに感謝を感じたことはない。

本当は、もう一度シャワーを浴びたかった。

でもそしたら、またタンポンと格闘しなきゃいけない。

そんな余裕はもう残されていなかった。

ドライヤーをお借りして、濡れた髪を乾かし、冷風を全身に浴び、火照った身体をひたすらクールダウンさせた。

「ショーツ型ナプキン脱いだら、替えがないとノーパン」

当たり前の事実を、私はもう二度と忘れないだろう。

タンポンに敗北した私だからわかる勘違いと攻略方法

冷静になった今なら、敗因がわかる。自分なりに入れ方をかみくだいてみる。

  1. 利き手で、タンポンの持ち手部分(1)を持つ
  2. (1)を、膣口につくまで挿入する
  3. 逆の手で、押し出す部分(2)を押す
  4. 持ち手の指(1)と押す指(2)が重なるまで、しっかり押しきる
  5. そのあと持ち手(1)を引くと、挿入部分(3)が出てきて、吸収体だけが中に残る

まず私がしくじったのは、4。重なるまで押しきらなかったから、浅くて違和感になった。押したつもりだったけど、少しびびって浅かったのかもしれない。

もうひとつは5。頭の中で「アプリケーター=押し出す部分」とずっと誤った認識をしていた。でも、アプリケーターは「挿入する筒から押し出す筒」までの全部を指す。

だから抜くときに、押し出す筒を引っぱって、「あれ? 戻ってきたんだけど!?」という迷宮に迷い込んだのだ。

図解で見れば、なんてことはない。持ち手と挿入部分はつながっている。

でも、いざ血が出てきそうな状況で、異物を身体に入れるとき、本当にあっているのか!?と不安になる人は少なくないはず。

いつもは使わなくても、今後もしかしたら使わなきゃいけないタイミングがくるかもしれない。いざというときは、どうかこの記事を思い出してほしい。

最後は、「持ち手をひっぱる」こと。

私のアホみたいなエピソードが、タンポンに悩む誰かの参考になったら、この失敗も報われます。

性教育パペットを使った解説動画も、ぜひご覧ください。

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