東京都多摩市では、3月17日から、防災備蓄用の生理用品(1664枚)を、多摩市立小・中学校26校のトイレに設置を開始した。経済的理由や家庭の事情で生理用品を手に入れづらい児童・生徒を支援するための取り組みだ。読売新聞オンラインが報じている。
多摩市立多摩第二小学校のホームページでは、下記のように案内されている。
昨今、新型コロナウイルスの影響等による経済的な理由で生理用品を買うことができない女性に対する支援が課題となっているところです。昨年、英スコットランドでは、生理用品の無料提供を定める法律が成立し、フランス、ニュージーランド等でも同様の動きが広がるなど、世界的に支援策が講じられている状況にあります。このような状況に鑑み、多摩市においては防災用備蓄分の生理用品を更新時期に合わせて提供することとなりましたので、必要があればご遠慮なく、お子様を通じてもしくは保護者の方から直接、養護教諭までご連絡ください。
多摩市立多摩第二小学校ホームページより
東京都の自治体で生理用品の配布相次ぐ
東京都ではこれまで、豊島区、北区、足立区で、災害備蓄用の生理用品配布を決定した。
東京都豊島区は、3月9日付で公明党豊島区議団からの緊急要望を受け、区内施設(男女平等推進センター、豊島区民社会福祉協議会、本庁舎4階「女性相談」)にて、生理用品を配布することを決定した。配布量は730パック、21,900個。詳細はこちらの記事にて。
また3月16日、東京都北区も災害備蓄用の生理用品を配布することが明らかに。北区議会議員の山崎たい子氏は、自身のTwitterで下記のように投稿している。詳細は区のホームページ等で案内されるとのこと。
それに続き、足立区でも生理用品の無料配布が決定。
配布期間は3月22日〜26日まで、足立区内の複数の施設で行われ、1家庭につき原則1パック(昼用28個/夜用15個)の計500パックを配布予定で、無くなり次第終了としている。詳細はこちらの記事にて。
継続的な支援を目指す、兵庫県明石市
また兵庫県明石市では、2021年4月から市内の学校などに生理用品を無料配布することを決定。朝日新聞デジタルによると、明石市は「今年度の消耗品購入の予算の残りを生理用ナプキンの購入に充て、足りなければ補正予算を組んで継続する。特に必要な子どもには市が責任をもって対応する」としている。
「生理の貧困」は当事者が声をあげにくい
「生理の貧困(Period Poverty)」とは、生理用品を購入するお金がない、または購入できない環境下にあること。日本国内でようやく認知が広がってきた。
「生理用品を軽減税率対象に!」キャンペーンに取り組む任意団体#みんなの生理は、3月4日に、国内における生理の貧困、実態調査の結果を公開した。金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者の割合は20.1%で、約5人に1人の割合で存在することが明らかになった。
NHKの情報番組「おはよう日本」で取り上げられたことを皮切りに、多くのメディアが同調査の結果を報じた。これにより日本でも生理の貧困が課題であること、深刻な状況下に追い込まれている人がいることが明らかになった。
ライターのヒオカさんは、「生理の貧困」経験者を取材。ネグレクトや母親の家出など、複雑な家庭の事情で生理用品を入手できないケースがあることを取り上げている。生理の貧困は、当事者が声を上げづらいことも、深刻化していく要因でもあることがわかってきた。
無償化やバウチャー券の配布など。生理の貧困をサポートする世界の動き
諸外国では数年前から、活動家や任意団体、そして行政が生理の貧困に取り組んできた。そうした成果が、具体的な施策となり、昨年から実施され始めている。
イギリスのイングランドでは、2020年1月より「教育機関での生理用品の無料配布」が正式に始まり、2020年11月にはスコットランドで生理用品無料化を義務付ける法案が制定された。
フランスでは、2020年3月に政府が生理用品の無料配布を発表し、実際に9月から実験的配布が始まっている。
また隣国、韓国でも生理の貧困対策が進んでいる。
ニュージーランドでは2020年に、生理用品の無料提供を15の学校で試験導入した。2021年6月からは、すべての学校で提供する方針を発表した。
生理は1回きりで終わらない。継続的な支援が必要
日本でもようやく認知が広がってきた「生理の貧困」。いくつかの自治体が災害備蓄用の生理用品の入れ替え分を配布するなど、すぐに実施できる取り組みから、徐々に動き始めている。しかし諸外国に比べるとまだ議論は始まったばかりだ。
こうした自治体での動きが全国に広がっていくこと。また、毎月やってくる月経に必要な「継続的な支援」について今後は議論が進むことを願っている。
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ランドリーボックスでは、「生理の貧困」に関する国内外の情報を集めています。自治体や教育機関、企業、団体などが取り組んでいる施策、無料配布が行われている地域など情報をお持ちの方はぜひ、こちらのフォームにご記入ください。