「生理用品を軽減税率対象に!」キャンペーンに取り組む任意団体#みんなの生理は、3月4日に、国内における生理の貧困、実態調査の結果を公開した。

調査は日本在住の若者の生理用品の入手状況、生理による機会損失の現状を明らかにすることを目的にオンラインアンケートで実施された。「日本国内の高校、短期大学、四年制大学、大学院、専門・専修学校などに在籍していて、過去1年間で生理を経験した人」(n=671、3月2日時点)を対象に行われ、期限を設けず継続中とのこと。

金銭的な理由で生理用品でないものを使った若者は約3割

画像=#みんなの生理

調査結果からは、過去1年で生理用品を入手するためにほかのものを我慢するなど、金銭的理由で生理用品の入手に苦労したことがある若者の割合は20.1%で、約5人に1人の割合で存在することが明らかになった。

また、過去1年で金銭的な理由で生理用品ではないものを使ったと答えた割合は27.1%で、生理用品を交換する頻度を減らしたと答えた割合は37.0%だった。

自由記述欄においても「生理用品が全体的に高く、もう少し安くしてもらえたらその分をほかの生活費に回せる」「月経困難症の診療代と薬代合わせて約2000円を年3回支払うのは、母子家庭で学費を自分で払っている大学生には経済的に厳しい」と生理の経済的負担を訴える声が多く寄せられたという。

生理が約5割の若者の学校活動へ影響

過去1年で、生理を理由に学校を欠席・早退・遅刻した若者の割合は48.7%、部活や体育など運動を含む活動を休んだ割合は47.4%にのぼった。

重要なイベントや大会などへの参加を諦めた割合は20.0%と、生理によって学校活動への参加が十分にできていない現状が明らかになった。

主な原因として、生理痛など生理による体調不良があげられている。生理痛や生理による体調不良を軽減するのに有効とされるピルについては、「服用したい・服用している」という声が自由記述欄で多く寄せられたという。

しかし「収入減のためピルを買うことができない」「低用量ピルを飲み始めたら、親から偏見を持たれた」という声もあり、金銭的負担や偏見によってピルの入手が困難であるという実態も判明した。

新型コロナウイルスも生理用品入手へ影響を及ぼしている

「新型コロナウイルスの影響で、生理用品を入手するのに苦労したことがある」と答えた若者の割合は24.6%に及んだ。理由として最も多かった回答が「品薄で入手困難だったから」で、「収入が減ったから」「他の支出が増えたから」と続いた。

ほかにも、外出の自粛で買い物に行く機会が制限されたという回答や、時短営業要請でドラッグストアが営業しておらず生理用品を入手できなかったという回答もあった。

生理のタブー視と情報の不足による困難の声も

自由記述欄には生理を隠す風潮に対する苦しみの声が多く寄せられたという。

「生理休暇を抵抗なく使えるような地盤が整って欲しい」「体調が悪いときでも生理であることを隠して男性と同じように研究活動せざるを得ず、身体への負担が大きい」といった仕事や学業における生理休暇制度使用のための基盤作りに関しての不満も寄せられている。

また、生理に関する情報が不足していることで適切なケアにアクセスできていない現状も明らかになった。

「低用量ピルの服用に関して分からないことが多い」「生理痛が重いのか比較対象がなくわからなかった」など自身の情報不足もあれば、「出血量が多いので病院に行きたいのですが、親の理解が得られず行けていません」という親世代の情報不足のパターンも存在することがわかった。

世界の「生理の貧困」対策

日本では生理用品は軽減税率の対象にもなっていないが、世界では「生理の貧困」対策が進んでいる。

イギリスのイングランドでは、2020年1月より「教育機関での生理用品の無料配布」が正式に始まり、2020年11月にはスコットランドで生理用品無料化を義務付ける法案が制定された。

フランスでは、2020年3月に政府が生理用品の無料配布を発表し、実際に9月から実験的配布が始まっている。

また隣国、韓国でも生理の貧困対策が進んでいる。韓国の国家行政機関である女性家族部は2016年「保健衛生物品」サポート事業を開始した。対象は基礎生活保障受給者(極貧層)、法廷次上位階層(低所得階層)、ひとり親家族支援対象者のうち、満11~18歳の女性青少年。1人当たり年間13万2千ウォン(約1万2千円)を生理用品購入費として支援している。

さらに、韓国で最も人口の多い広域自治体の韓国の京畿道(キョンギド)は、2021年から満11~18歳のすべての女性青少年を対象として、1人当たり年13万2千ウォン(約1万2千円)ずつ生理用品の購入費を支援することを2020年9月に発表している。

ニュージーランドでは2020年に、生理用品の無料提供を15の学校で試験導入した。2021年6月からは、すべての学校で提供する方針を発表したばかりだ。

ランドリーボックスでは、今後も「生理の貧困」に対する世界の動き、日本における「生理の貧困」についても取材していく。

ランドリーボックスでは、「生理の貧困」に関する国内外の情報を集めています。自治体や教育機関、企業、団体などが取り組んでいる施策、無料配布が行われている地域など情報をお持ちの方はぜひ、こちらのフォームにご記入ください。

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