更年期とは、閉経を迎える頃のおよそ50歳前後の10年間ほどを指す。
体温計などで有名なオムロンが、更年期と女性の高血圧に関する調査を実施した。今回はその調査結果を紹介する。
また、閉経後の高血圧については以下の記事で解説しています。
閉経後に気をつけたい病気。女性ホルモンの変化で身体には何が起きる?(医師監修)
更年期に高血圧になりやすい理由
一般に高血圧は、血液量が増加したり、動脈硬化などで血管壁が固くなるなど、血流への抵抗性が高まることで起こる。高血圧はサイレントキラーといわれるように、自覚症状がないままに進行し、日本人の死亡原因の 2位・3位を占める、心疾患や脳血管疾患の引き金となる。
更年期の女性が高血圧になりやすくなるのは、女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が大きく関わっている。若いころ低血圧だったという人でも高血圧になる可能性が増えるため注意が必要である。
引用:オムロン ヘルスケア株式会社 プレスリリース
3人に1人が、女性も更年期以降、高血圧になりやすいことを知らない
調査では、50代〜60代の高血圧と診断されている女性518名に調査をしたところ、約33%の人が「更年期に血圧が上昇する場合がある」ことを知らないことが分かったという(※調査1)。
若い頃に低血圧だったから大丈夫だと思わずに、健康診断の活用とともに家庭での血圧測定を行うなど、高血圧の予防を心がけることが必要である。
男性は30代後半から、女性は40歳以降から高血圧と診断される人が多い
また、50代〜60代の男女1,036人に「血圧が高い、高血圧の可能性があると気づいた・言われ始めた」年齢を聞いたところ、男性は30代後半から、女性は40歳以降から高血圧を指摘されることが多いことが分かったという(※調査1)。
高血圧の診断基準は、診察室で測定した最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上、またはその両方の場合が「高血圧」と設定されている。
では、どれくらいの女性が家庭での血圧測定を行っているのだろうか。
30代から血圧測定をしている女性は、わずか13.2%
家庭用血圧計を購入し、自宅で血圧を測り始めた女性は、30代では13.2%と低い結果に。高血圧の可能性があると言われ始めた40歳以降から測定をしている人は、35.4%と約2.7倍と大幅に増加した。そのきっかけは「健康診断で高血圧と診断された」が25.4%、「医師から勧められた」が24.0%、「高血圧の治療で必要だとおもった」が21.2%などだった(※調査2)。
高血圧は症状がない場合が多く気づきにくいが、脳卒中や心不全などリスクの高い疾病を引き起こすとも言われており、早期発見・早期治療が重要である。40代から高血圧を指摘される割合が高くなることを考えると、30代のうちから家庭で血圧を測定する習慣をもつことが重要といわれている(引用:オムロン ヘルスケア株式会社 プレスリリース)。
産婦人科医師のコメント
女性ホルモンであるエストロゲンは、血管を拡張させる働きがあり、若い女性の血圧は男性よりも低いことが多いです。しかし、閉経を迎える更年期になるとエストロゲンの分泌量が減り、血液中のコレステロールや血糖が増加し、血管の老化(動脈硬化)が始まります。
更年期は自律神経も乱れやすく、血圧も乱高下します。若いうちから血圧測定を習慣化することで、更年期以降の健康も維持することが可能になります。ぜひ日頃から血圧に注目してください。(対馬ルリ子先生/医療法人社団 ウィミンズ・ウェルネス/女性ライフクリニック銀座・新宿伊勢丹 理事長/産婦人科医師、医学博士)