先日放送されたNHKの情報番組で「処女」について取り上げられ、SNSでも話題になりました。
私はその番組をリアルタイムでは見ることができなかったのですが、その後にSNSに流れてきた情報で、私と同世代の男性タレントが、「初めてのセックスは絶対に好きな人じゃないとダメ」という言葉を発し、賛否両論になったと知りました。
確かにアラフィフの私の世代では、そういった価値観が当たり前だったような気がします。しかし、本当に「初めては好きな人」じゃないとダメなのでしょうか?
実際にその価値観に縛られ続けてきた私が、自分の経験について綴ってみたいと思います。
本当に「セックスは好きな人とじゃないとダメ」なのか?

48歳まで処女だった私ですが、それまでの間に初体験をする機会は、数回巡ってきました。しかしタイミングが合わなかったり、「最初は好きな人とじゃないとダメ」という思い込みが邪魔をして、その機会をたびたび逃してきました。
機会がありながらもさまざまな理由からできず、48歳のとき女性向け風俗、いわゆる“プロ”に依頼をして初めて性体験をしました。
くわしくは初回のコラムをご覧ください。
48歳まで「処女」だった私が、男性経験がないことで悩む人に伝えたいこと
「最初は好きな人とじゃないとダメ」という意思を持つこと自体は悪いことではないと思います。むしろ「自分は好きな人としたい」という意思を大事にすることは、自分自身を大切にすることにもつながり、とても良いことだと思います。しかし、その言葉が「本当はしたい」という本心を縛りつけてしまうことがある、と私は感じています。よく「好きな人とじゃないと後悔する」と言いますが、初めての相手はその人自身が決めることであり、他人があれこれ言うことではないと思うのです。
私が48歳で経験した最初の相手は好きな人ではありませんでした。それまでは「好きな人としなくてはいけない」と思っていましたが、そうこうしているうちにあっという間に50歳に手が届く年齢になってしまいました。
私が「好きな人じゃなくてもいいから、セックスをしたい」と思えたのが48歳だったのです。
2回目のセックスで「M」という性癖に気づいた

結果的に「好きな人ではない人」と最初のセックスをしましたが、私は何ひとつ後悔はありません。むしろ心の中にあった「まだ処女なんだ」というコンプレックスから解き放たれ、男性に対する心の壁も取れ、セックスが楽しいと思えています。
そしてセックスを楽しむために、さまざまな男性と出会うようになりました。
その中でも印象的だったのは、以前もコラムで書いたことのあるSっ気の強い男性。私がプレイとしてのMの傾向があると知ったのは、その彼とセックスをしたことでした。
実はそのセックスは、初めての性体験から2週間後で私にとっては2回目だったのです。2回目で自分の性癖を知ってしまうというインパクトの強い経験をしたのでした。
残念ながら、その人とは一度きりの逢瀬で終わってしまいましたが、それ以来、プレイとして自分をいじめてくれる男性を探していくようになりました。
セックスが優しい男性に、初めは「期待ハズレ」と思ったけれど……

長く続く相手を見つけられない中で知り合ったのが、甘いルックスのKという男性。Kは30代前半で、当時49歳だった私とはかなり年の離れた人でした。
彼は「自分はSだ」と言っていたので、そういうプレイができると期待していましたが、会ってみたら私を優しく大切に扱うタイプ。期待外れだったものの、私はその彼の優しさにどんどんハマっていってしまったのです。
これまで多くの男性と出会ってセックスもしてきた私が、プレイが好みではなかったのに、なぜK氏にハマっていったのでしょうか?それはこれまでの男性にはない魅力が彼にはあったからなのです。
彼に惹かれていった一番大きかった要素は、最初のキスから後戯まで、とにかく私を大切に扱ってくれたことです。
K氏はセックスが始まると、「痛くない?」「こうされるのは嫌じゃない?」「嫌だったら言って」と細かく私に確認をしてくれるのです。聞くときも私の顔を覗き込んで、表情をいつも確認していました。
身体への触り方もソフトタッチ。ふわっと優しく愛おしそうに撫でてくれると、私の身体を女性として大事に触ってくれている気がしてとても安心したのを覚えています。
彼とのセックスで一番好きだったのは、挿入中に目を合わせてくれてキスをしてくれること。そうしてくれるだけで、「この人と繋がっているのだ」という想いが溢れてきて、興奮も高まり、心も暖かくなっていくので、とにかくその時間が一番好きでした。
最後に彼がフィニッシュした後も、「大丈夫?痛くなかった?」と目を合わせて必ず聞いてくれ、そして「気持ちよかったよ」と頭を優しく撫でてくれることも大好きでした。
セックスの後に彼の腕枕でうとうとと眠りにつく時間は、私にとっては本当に至福のときでした。
新たな出会いで、セックスの価値観が変わることもある

K氏と出会うまでは「少し乱暴に扱われるプレイが好き」だと思っていた私。
しかし、K氏と身体を重ねるたびにその優しさや温かさに触れ、「女性として大切に扱われることの安心感」を知ったのです。自分のこれまでのセックスの価値観が変わっていくのを感じました。
「自分は、いじめられるセックスも、大切にされるセックスも好きなのだ」
と、彼に出会ったことで認識することができたのです。
彼のことを好きになっていく私でしたが、彼はそうではなかったようです。会うと甘い時間を過ごせても、気持ちを確認すると「お付き合いする気はない」と言われ振られてしまいました。
半年間は関係が続いたものの、結局は相手からの連絡が途絶えて自然消滅。そんな出会いも経験しながら、今も自分と「身体も心も相性のいい」相手を探しています。
セックスから始まる関係も悪くない。自分の気持ちを大切にして

私は、最初は全く好きではなかったK氏とセックスをしたことにより、好きという感情が現れていきました。つまり、「好きじゃない人とセックスをして、相手を好きになった」のです。
とくに女性は、身体を重ねることで相手への愛着を持つ人が多いと言います。身体の関係が先なのは、世間一般でいう“常識”では順番が違うのかもしれません。でも、セックスから始まる関係も、悪くはないのではないでしょうか?
48歳まで処女だった私が思うのは、あまり「XX歳までセックスすべき」や「好きな人とじゃないとセックスはしてはダメ」と思い込まずに、「自分のしたいタイミングで、したい人としたらいい」ということです。そして、それに年齢の上限はないと感じています。
結局、誰といつ最初のセックスをするのかは、自分で決めることであり、その結果を受け入れる覚悟ができたときにすればいいことなのです。他人があれこれ言うことではないと思います。
もちろん、その行為には責任が伴うのですから、自立した大人に限った話です。
人の恋愛や性体験はとても多様なものです。自分の心と身体のことですから、メディアや他人の価値観に振り回されることなく自分の心の声に向き合って、その思いを大切にしてくださいね。
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ランドリーボックスでは、「処女」という言葉の違和感や考え方について掘り下げています。
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