女性の働き方やライフスタイルがさまざまでも、女性の命やキャリア形成、そして健康的に暮らしていくためには婦人科系疾患について正しい知識をもち、婦人科検診を受けられる機会が必須である。
6月22日、働く女性に知ってほしい検診とその知識のアップデートを目指すセミナーがオンラインにて開催された。なお、同イベントはウェルネス・コミュニケーションズ株式会社と株式会社ファムメディコの共同で企業の人事や健康管理担当者向けに開催されたもので、当日は株式会社ファムメディコ取締役・佐々木彩華氏と、クレアージュ東京レディースドッククリニックの婦人科顧問で婦人科専門医・上坊敏子氏が講演を行った。
この記事では、働く女性の健康問題とそれを取り巻く状況、そして婦人科検診の1つではあるものの、認知度が低いとされている経腟超音波(経腟エコー)検査について紹介したい。
働く女性が抱える特有の健康課題
イベントでは最初に、株式会社ファムメディコ(以下、ファムメディコとする)の取締役・佐々木彩華氏が、働く女性が置かれている状況について講演を行った。
ファムメディコの調査によると、PMSや月経痛、月経過多などの月経随伴症状を抱える人の6割以上が「仕事や生活に支障が出ている」と回答したにも関わらず、そのうちの9割はいつも通り仕事をしていることが明らかになったという。
婦人科系疾患は、女性にとって非常に身近な問題だ。しかし、子宮や卵巣の病気を調べるための婦人科検査の認知度は低い実態がある。
そのひとつが、経腟超音波(経腟エコー)検査である。
経腟超音波(経腟エコー)検査とは?
経膣超音波(経腟エコー)検査とは、婦人科で行う超音波検査の1つで、子宮や卵巣などを観察するための検査。
腟の中に「プローブ」と呼ばれる細い棒を入れ、プローブの先から出る超音波が子宮や卵巣に反射した画像をモニターに映して、子宮や卵巣の様子を確かめていく。ファムメディコによると、放射線を使う検査ではないため放射線被ばくの心配のない安全な検査であるとしている。
知る機会と受けられる機会のどちらも不足している、経腟超音波(経腟エコー)検査
経腟超音波(経腟エコー)検査は、婦人科において、専用の診察台に座り、腟の中や子宮・卵巣の状態をみる「内診」と共に婦人科の基本的な検査である。しかし、その内容や受診するメリット等はまだあまり知られていない。
ファムメディコの調査によると、58.9%の人が「経腟超音波(経腟エコー)検査を知らない(聞いたことがない/名前を知っている程度/検査を受けたことがあるがこの検査で何がわかるのか知らない)」と回答したという。
また、経腟超音波(経腟エコー)検査に関する補助も未整備な現状がある。
例えば、経腟超音波(経腟エコー)検査は自治体の子宮がん検診では導入されておらず、企業健診でも補助の対象にしていない企業が多い。
そのため、ファムメディコが行った調査で「経腟超音波(経腟エコー)検査を補助を受けて受けられていますか?」という質問をした際に「補助を受けて受診した」という人はわずか9.1%だったという。
経腟超音波(経腟エコー)検査で分かる病気や受診のメリット
婦人科専門医の上坊敏子氏は、イベントにて経腟超音波(経腟エコー)検査によって分かる病気とメリットを以下のように説明した。
経腟超音波(経腟エコー)検査で見つけられる代表的な病気
・小さな子宮筋腫、卵巣嚢腫、卵巣腫瘍
・子宮腺筋症、子宮体がん、卵巣がん、子宮内膜ポリープ
など
経腟超音波(経腟エコー)検査のメリット
・子宮筋腫と子宮腺筋症の鑑別が可能
・内診では分からない子宮内膜の厚さが分かる
・卵巣腫瘍の性状や筋腫核の位置の診断が可能
・内診の限界を補完できる
・検診という短い時間の検査での見落としを減らせる
・客観的なデータを残せる
・モニターに映る画像で、受診者に説明できる
一方、上坊氏は経腟超音波(経腟エコー)検査のデメリットも以下の点で説明した。
経腟超音波(経腟エコー)検査のデメリット
・子宮や卵巣の可動性は分からない
・圧痛の有無や部位が分からない
・内診なら簡単に診断できる子宮頸がんを診断できない
・機器の突然の故障がありうる
こうしたデメリットはあるものの、上坊氏はメリットの方が大きいと説明し、イベントは締めくくられた。
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経腟超音波(経腟エコー)検査は、内診では診断できない子宮・卵巣の小さな異常を発見できる検査。
今回のようなセミナーを通じて、企業健診への導入を図る企業が増えることを期待したいが、ランドリーボックスでも婦人科系疾患や女性の健康のために必要な検査について詳しく伝えていく。