乳がん検診は「痛い」というイメージを持つ人も少なくない。乳がん検診を敬遠する要因のひとつになっていると言われている。そんな現状が、もしかしたら変わるかもしれない。
乳がん検診には、視触診、乳房X線(マンモグラフィ)検査、超音波検査といった種類があるが、現在のところ乳房X線(マンモグラフィ)が主流となっている。
このたび、東京大学発のベンチャー企業・株式会社 Lily MedTechが、乳房用リング型超音波画像診断装置「COCOLY(ココリー)」の国内販売を開始したことを発表した。
COCOLY(ココリー)は、乳がんの検査ができるベット型の検査装置。同社は、2021年4月28日に医療機器製造販売認証を取得済みとのこと。
乳がん検診で一般的なマンモグラフィ検査の問題点
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によると、乳がん検診で一般的な乳房X線検査(マンモグラフィ)は、X線被ばくのリスクや痛みをともなうだけでなく、乳腺と腫瘍の判別が困難という課題があったという。
また、乳腺が発達した乳腺比率の高い人の場合は、より正確な診断を行うためにエコー(超音波)検査を併用することも多く、受診者にかかる負担の軽減も求められていた。
株式会社Lily MedTechは、こうした課題を解決するため、2015年から超音波で診断が可能な装置の開発に取り組んできたという。
乳房用リング型超音波画像診断装置「COCOLY(ココリー)」の特徴
今回販売される乳房用リング型超音波画像診断装置「COCOLY(ココリー)」は、受診者がベッドの上でうつぶせになり、ベッド中央にある穴に乳房を片側ずつ挿入することで、乳房を撮像するしくみ。
また、同装置で採用されている散乱像再構成技術「リングエコー撮像法」は、2012年から東京大学大学院工学系および医学系研究科で研究されていた技術だという。
多くの人々の健康を支えるがん検診。受診者の負担が軽減される、こうした技術の発展が、検診のあり方を変えていくかもしれない。