人の顔色をうかがい、空気を読みすぎてママ同士の関係に悩みやすいHSP(*)のお話を前回しました。
今回は、子育てママの一番身近なパートナーである夫に、HSPの私が「こう接してもらえると嬉しいな」と思っていることついてお話したいと思います。
ただ受け入れてくれるだけ、が嬉しい
HSPは外からの情報をまるで細かい網ですくうかのようにキャッチしています。音や光を五感で感じ、頭で深く処理するため、いろんな情報が一気に入ってくるとパニックになりやすいのです。
感情の振れ幅も大きいので、まるで1日の中で四季があるかのごとく、朝から暗いニュースで悲しくなったかと思えば、庭に咲いた花に心が癒やされ、友人からの嬉しい知らせに心を躍らせます。
子育て中はホルモンバランスが崩れやすい時期。気持ちのアップダウンを制御するのが難しくなり、刺激に振り回されて疲れやすくなっています。
私の場合、そんなときに助かったのはパートナーである夫がいつも「常温」だったこと。私の話を聞いてもいつも通りで、怒るわけでもアドバイスするわけでもなく「そうなんだ」と、ただ受け入れてくれていたことです。
話しているうちに私の気持ちもだんだん夫の「常温」につられて、落ち着いてくるのでした。周囲の気持ちに反応しやすいHSPらしさゆえかもしれません。
夫に「ホント、いつも助かります~」とお礼を言うと「いや、聞いているフリしているだけ」と笑っていましたが、そのくらい普通に気持ちを流してもらえるだけでいいのです。
HSPがパートナーにかけてもらいたい言葉
HSPが一番欲しているのは安心感です。
考えすぎるHSPは育児の仕方にも「~すべき」と頭が固くなりやすく、完璧を求めすぎて「これでいいのか?私には無理だったのでは?」と、不安になることがあります。
そんなときには「初めてなんだから迷って当然だよ」「うまくいっている方じゃない?」と安心させるような言葉をかけてもらえると嬉しいです。
また、基本的にHSPは、人のお役に立ちたいという気持ちが強いので「〇〇のお陰で助かってるよ」と言われるだけでもグンと気持ちが前向きになれます。
もしお互いに会話をする時間がなかったとしても、外出するときに「何か必要なものある?買ってくるよ」と声をかけてみてください。HSPは言葉の中に「私のことを気にかけてもらえているんだ」と安心します。
言葉の力を深く受け止めるHSPの特徴を考慮して、なるべくプラスの言葉で満たしてあげてください。「面倒くさいな」と思われるかもしれませんが、幸せなHSPは周囲の人も幸せにします。なぜなら周囲が幸せでないと安心できないからです。
言うだけならタダですから、相乗効果で家庭円満になることを願って、まずは試してみてはいかがでしょうか。
*注:どんな人であっても、その人の身体に“体質”があるように、心にも“気質”があります。HSPは、うつなどの心の病ではなく、気質です。もし「自分もそうかも」と思う人がいれば、HSPという“心の気質”を知ることで、環境への適応力が上がり、より生きやすく、より自分らしく過ごせるようになるのではと思います。(精神科医:鹿目将至)
著者プロフィール
おがたちえ
台湾とクルーズ船を愛するHSP漫画家。刺激追求型HSPゆえに、怯えつつも汚部屋掃除や事故物件などのルポ漫画も手掛ける。『フォアミセス』(秋田書店)にて『HSPの歩き方~ハッピー・センシティブ・パーソン!~』を連載中。著書に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家~』(ぶんか社)、『なつかしい日本をさがし台湾』(ぶんか社)、『汚部屋掃除人が語る命の危ない部屋』(竹書房)などがある。
監修者プロフィール
鹿目将至
精神科医。1989年、福島県郡山市生まれ。日本医科大学卒業。現在、愛知県内の病院に勤務。『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ 』や『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』を出版。「気軽に生きる」をモットーに活動中。