HSPの育児は、体力&精神的に追い詰められやすいけれど、同時にその感受性をプラスに使えば小さな喜びでも大きく味わえるという話を前回しました。
いよいよ子どもも大きくなってきた頃に頭を悩ませてしまう問題といえば「ママ友付き合い」です。
ママになると、幼稚園バスを待つ間、PTA、親子会などなど「ママトーク」をしなければならない場面がいっぱい。
相手の気持ちを考えて会話を続け、帰宅後はぐったり…
HSPは人間関係でとても刺激を受けやすいと言われています。
なぜなら「ささいなことに気がついてしまう」気質が、相手の顔色を読み、相手の言ったことに対しても深く「あれはどういう意味だったのだろう?」と考えてしまうクセがあるからです。
そして不安になりやすいので「彼女、ああ言ってたけど、もしかして?」「私が変なこと言ったのかもしれない!」と相手の気持ちを想像しすぎて悩みやすいのです…。「気遣いの暴走」で勝手にモヤモヤ考えちゃう。
私は雑誌やメディアで目にしてしまう「ママ友問題」で不安を煽られている分、慎重になり「表面的に付き合おう」と思っていますが、実はHSPは表面的な会話には興味が持てません。
それでも「相手を不快にさせたくない」と気遣う人なので、言葉のキャッチボールができそうなワードを相手の会話から探し「無難な質問」を投げかけ、会話をします。
相手の反応を受け止め、考え続けるHSPの脳はフル回転。帰宅後はグッタリしてしまいます。そして自分の発言に対する反省会が始まります。
そんな「ママ友付き合い」、HSPの私がどう乗り切ったかといいますと、ママだけに自分軸を置かないよう意識していました。
仕事や趣味の仲間など、意識を分散させる居場所があると他のことを忘れられます。「HSPは気になるところに意識が集中するクセがある」と知っておくだけでも、「今はしょうがないね。ちょっと他のことをしよう」と気持ちを切り替えるきっかけになります。
学生時代と同様、ママ友も期間限定
HSPは直感で「この人と合うか合わないか?」がなんとなくわかります。合わないなあと感じたら「自分のことはなるべく話さない(相手に情報を与えない)」「会う頻度を減らす(忙しいなどと伝える)」「自分も他に興味を持てることを探す(仕事・趣味など)」ことで相手との距離を調整しましょう。
学生時代が期間限定であったのと同じように、ママ友も期間限定のお付き合いです。
なので「これもいつか終わる」とリラックスしていると案外気の合う友だちに出会うこともありますよ。私の場合は最初にネガティブな印象から入ったからか、最近のママたちは、その距離の取り方の上手い人が多いなあと感じることが多くありました。
またトラブルに巻き込まれた際も、HSPママは「私が悪かったのかも?」という罪悪感を抱きやすいということも覚えておいてください。
子どもがお友だちに怪我をさせた、お誕生会に呼んでもらえなかったなど、育児においては「自分ではどうしようもない出来事」が付き物です。まずは自分を責めることをやめて今できることに目を向けてくださいね。
*注:どんな人であっても、その人の身体に“体質”があるように、心にも“気質”があります。HSPは、うつなどの心の病ではなく、気質です。もし「自分もそうかも」と思う人がいれば、HSPという“心の気質”を知ることで、環境への適応力が上がり、より生きやすく、より自分らしく過ごせるようになるのではと思います。(精神科医:鹿目将至)
著者プロフィール
おがたちえ
台湾とクルーズ船を愛するHSP漫画家。刺激追求型HSPゆえに、怯えつつも汚部屋掃除や事故物件などのルポ漫画も手掛ける。『フォアミセス』(秋田書店)にて『HSPの歩き方~ハッピー・センシティブ・パーソン!~』を連載中。著書に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家~』(ぶんか社)、『なつかしい日本をさがし台湾』(ぶんか社)、『汚部屋掃除人が語る命の危ない部屋』(竹書房)などがある。
監修者プロフィール
鹿目将至
精神科医。1989年、福島県郡山市生まれ。日本医科大学卒業。現在、愛知県内の病院に勤務。『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ 』や『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』を出版。「気軽に生きる」をモットーに活動中。