9月の半ばに海外ドラマの祭典「エミー賞授賞式」を取材するため、ロサンゼルスに行ってきました。いつもの海外出張と少し違うのは、仕事と休暇を組み合わせた”ワーケーション”を取り入れたこと。そして、4歳と1歳の娘2人を単身で連れていったこと。
この旅を決意したきっかけは、4歳になる長女からの一言「ママ、仕事やめてよ」でした。働くことに罪悪感を覚える全てのワーママに、子連れワーケーションinLAから学んだサステナブルな働き方・休み方を紹介します。
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日本人にフィット?新しい働き方の「ワーケーション」
まずはじめにワーケーションについて少し説明させてください。「ワーケーション」とは、「work(働く)」と「vacarion(休暇)」を組み合わせた造語で、休暇で訪れた滞在先などで仕事をする取り組みです。
リモートワークが進む欧米で先んじてブームになったのですが、日本でも日本航空(JAL)が、7~8月の間に最大5日間のワーケーションが取得できる制度を導入したことで話題になりました。
夏休みに合わせる形で利用すれば、旅行先や帰省先により長く滞在できるため、リフレッシュ効果が高まると期待されています。
同僚や上司の目を気にするなど、日本は先進国の中でも有給休暇や長期休暇が取りづらい環境にあると言われています。だからこそ、ワーケーションは、新しい働き方・休み方になるのではと注目を集めています。
オンとオフの切り替えがうまくいかないなど、課題もありますが、制度を活用した多くのビジネスパーソンはこの取組みに好印象。フリーランスの私も、国内での子連れワーケーションを何度か経験し、その効果を実感しています。
働くママは罪悪感のかたまり? 子連れロス行きを決めた理由。
今でこそワーケーション推進派の私も、以前は、平日はしっかり働き、休日は思いっきり休む働き方こそ、高いパフォーマンスを発揮する秘訣だと信じて疑いませんでした。
しかし、次第にそうもいかなくなってきます。平日午後に予定される長女の習い事に付き添ったり、フリーランス転身後は、就業時間など関係なく寝る寸前までメールをチェックし、緊急度の高いものにはすぐの対応が求められたり。いつの間にか育児の合間に仕事を差し込んでいくスタイルに変わっていったのです。
このスタイルに長女も私もなかなか慣れませんでした。ようやく保育園から帰宅したのに、ママはずっと仕事をしている……長女にとってはストレスでしかなかったようで、突然「ママに仕事をやめてほしい!」と言われてしまいました。
この言葉に私は大きなショックを受け、娘との時間を犠牲にしてまで仕事をする必要があるのだろうかと悩みました。
しかし、やはり私に仕事を諦める選択肢はありません。どちらかに絞るのではなくて、どちらも満足いくまでやる方法がきっとある。そう思った矢先にエミー賞授賞式取材の話をいただき、思い切って子連れワーケーションinLAにトライすることにしました。
国内ワーケーションは何度か経験がありましたが、海外ははじめて。日本よりも女性の社会進出が進むアメリカでは、ワーママたちがどのように子育てと育児を両立しているのか、ナマの声を聞きたいと思ったのです。
No more 無理する!アメリカのワーママにみるサステナブルな働き方
4泊6日の出張中は、日中は娘たちとロスを満喫して、夜、彼女らが寝静まった後に仕事をするスタイルをとりました。
3日目のエミー賞授賞式の日だけ、15時から22時まで現地のベビーシッターサービスを活用。現地には、現在地を知らせるだけで近くのシッターさんをサジェストしてくれるサービスや、老舗のシッター紹介サービスなどがありましたが、私は日本人向けの掲示板でシッターさんを探しました。
投稿から12時間もしないうちに10件以上のオファーがあってビックリ。私は、1歳未満の赤ちゃんへのシッティング経験があり、事前に自己紹介まで丁寧にしてくださった女性にお願いすることにしました。
たまたまいい人だったのでよかったのですが、本来なら間に仲介業者を挟まず個人間の契約になることが多いからこそ、事前に面接をしてから誰にお願いをするのか決めるほうがいいと、このシッターさんから教わりました。シッティングサービスのクオリティは本当に人によって異なるそうです。
私が宿泊したホテルには、私と同じように子連れで出張にきているワーママが多くいました。彼女らになぜ子どもを連れてきたのか聞くと、「週末を子どもと楽しみたいし、仕事だってしたいから」とさらっと返ってきました。
さらに、子どもを見ながらいつ仕事をしているのかを聞くと、子どもと一緒のときは思いっきり遊び、仕事をするときはベビーシッターに子どもを預けて集中的に行うとのことでした。
意図せず私もロスでは同じようなスタイルで過ごしているのに、なぜ彼女らはこんなにもイキイキしているのだろう……。その違いは、”無理をしているかどうか”でした。
私の場合、娘たちの就寝後を仕事時間にあてると決めたものの、ひどい時差ボケで娘たちが深夜2時まで寝付けなかったのは大誤算!そこから明け方までの連日連夜の徹夜仕事によって、最終日にはフラフラに。
アメリカのワーママのように、一度と言わず、滞在中に何度もベビーシッターサービスを活用し、その時間を仕事時間にあてれば、身体に無理なく仕事ができたはずです。
私はこれまで、子育てをしながら何かに挑戦するには、それの倍ほど無理をしなければ叶わないと思っていました。でも実は逆。物理的にやることが増えるからこそ、ほかの部分で負担を減らす工夫をするべきだったのです。
ベビーシッターサービスや家事代行サービスに頼るのも然り、現地に住む私の親戚は、近所のワーママ4人と協定を結び、平日5日あるうちの1日だけ、全世帯分の夕食を作るかわりに、残る4日分の夕食はほかのママに作ってもらうシステムを導入しています。
ワーママたちが根性論で乗り越える時代はもう終わり。子育ても仕事もサステナブルなものにしていく必要があると強く思いました。
小さなことからでいい。ラクをする方法を模索して
では、日本で私にもできるサステナブルな働き方って具体的にはどういうものでしょうか。
ロスからの帰国後、続かないことはしない、無理はしないを前提に、私なりに工夫をして少しずつ実践しています。
そのひとつが、保育園から帰宅後の長女の前で絶対に仕事をしないこと。そのためにまだ保育園に通っていない1歳の次女を、予約がとれる限り一時保育に預け、日中はその時間を使って仕事、終わらない部分については、娘たちが寝静まった夜中か、起床前の早朝に集中的に取り組むようにしています。
このやり方は、長女だけでなく、私にとってもストレス軽減。全力でママを求める娘を横目に、仕事をする自分に罪悪感をもたずにすむからです。さらに嬉しかったのは、長女が「ママ、今日は記事うまく書けたの?」と聞いてきたこと。
「仕事やめてよ」から大きな進歩です。彼女は、私に仕事をやめてほしかったのではなく、自分の前で仕事をすることをやめてほしかっただけ。
このことに気づけただけでもロスでの子連れワーケーションは私たち親子にとって、とても意味のあるものでした。仕事に育児に奮闘する日本のワーママは少しがんばりすぎている気がします。どうか無理をするのではなく、どうしたらラクになるのかを模索してみてくださいね。
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