画像=おがたちえ

前回は、HSP(注)が周囲の雰囲気を感じ取り、育児に対する批判にも「自分のことかもしれない」と動揺してしまう話をしました。

「感受性の高い人」であるHSPは、外部からの情報に疲れることもありますが、それは裏を返せば「幸せな情報」にも多く反応できるということ。

だからこそ育児で得られる「ささいな出来事」も深く味わうことが得意です。

HSPの5感の敏感さを活かして、期間限定の赤ちゃんの匂いや肌触りを存分に楽しみましょう。

赤ちゃんは、幸せを感じるハードルを低くしてくれる

育児中以外なら、いい香りとは思えないかもしれない赤ちゃんの頭の匂いは、心がやさしくなれる癒しの香りなんだそうです。

また、人間はスキンシップで癒されます。

私は、赤ちゃんとほっぺたをスリスリしていると、この感触に一生触れていたいと思うくらい「幸せ母性ホルモン」が溢れ出てきました。

繊細すぎて疲れやすいHSPにとって、育児は確かに想像を超える重労働です。しかし、同時に幸せを感じるハードルをかなり低くしてくれるので、ささいなことにも心を動かされてしまうHSPの日常を感動の渦にしてくれます。

漫画=おがたちえ

赤ちゃんが何度も尻もちをついて立ち上がれるようになる姿を見ると「私たちもコンビニに行くのも普通だと思って暮らしているけど、ひとつひとつ乗り越えてきたんだなあ」と感じました。

赤ちゃん目線で生きることで「生きているだけで、本当は祝福なのではないだろうか?」と、ダメな自分も「全てひっくるめてそれでいい」と思えるようになれたのです。

赤ちゃんにとっての日常は毎日が「初めていくディズニーランド」。

未知のアトラクションに驚きとワクワクの連続です。共感力の強いHSPママは、この感動を赤ちゃんと一緒に深く味わうことができるのではないでしょうか?

「どうして私は育児を幸せに感じられないのだろう…」と感じてしまったときは、十分な休憩や睡眠が取れていない証拠です。まずは赤ちゃんとゴロゴロして、その柔らかさや匂いを感じて、ゆっくり休むことからはじめてくださいね。

*注:どんな人であっても、その人の身体に“体質”があるように、心にも“気質”があります。HSPは、うつなどの心の病ではなく、気質です。もし「自分もそうかも」と思う人がいれば、HSPという“心の気質”を知ることで、環境への適応力が上がり、より生きやすく、より自分らしく過ごせるようになるのではと思います。(精神科医:鹿目将至)

著者プロフィール

おがたちえ

台湾とクルーズ船を愛するHSP漫画家。刺激追求型HSPゆえに、怯えつつも汚部屋掃除や事故物件などのルポ漫画も手掛ける。『フォアミセス』(秋田書店)にて『HSPの歩き方~ハッピー・センシティブ・パーソン!~』を連載中。著書に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家~』(ぶんか社)、『なつかしい日本をさがし台湾』(ぶんか社)、『汚部屋掃除人が語る命の危ない部屋』(竹書房)などがある。

監修者プロフィール

鹿目将至

精神科医。1989年、福島県郡山市生まれ。日本医科大学卒業。現在、愛知県内の病院に勤務。『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ 』や『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』を出版。「気軽に生きる」をモットーに活動中。

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