2022年4月から実施している、HPV(ヒトパピローマウイルス)の感染を予防するHPVワクチン(子宮頸がんワクチン)の「キャッチアップ接種」の期限が間近に迫っている。

キャッチアップ接種の期間は、2022年4月~2025年3月の3年間。

「まだ9カ月もある」と思った人もいるかもしれないが、全3回を、決められた間隔をあけて接種する必要があるため、遅くとも2024年9月までに打ち始めないと間に合わない。

接種を希望する人はそろそろ手続きを始めた方が良いだろう。

1997年4月2日~2008年4月1日生まれで、3回接種が完了していない女性が対象となる。

対象に該当する人は、約10万円相当のHPVワクチン接種費用を公費(自己負担なし)で接種できる。

子宮頸がんの95%以上はHPVの感染によるものとされていて、適切な時期にHPVワクチンを接種することで、30歳までに子宮頸がんになるリスクを88%以上予防することが可能だ。

キャッチアップ接種を受ける手続きは?

厚労省の案内によると「具体的な接種方法は、住民票のある市町村からお知らせが届きますので、そちらをご覧ください」とのことだが、「届いていない」、「届いていたけれど紛失した」、「届いていたかもしれないが手元にない」という人も多いかもしれない。

そんな人でも心配しなくても大丈夫。

お住まいの自治体(市役所や区役所)のホームページから電子申請ができる。フォームに記入して申し込もう。もし電子申請のフォームが見つからなかったら、自治体の健康推進課に電話で問い合わせてみよう。

申請から約1週間ほどで、予診票や接種可能な医療機関一覧が同封された封書が届くはずだ。医療機関に予約を入れたら手続きは完了となる。

なお、過去にHPVワクチンを1回または2回接種したことがある人は、残りの回数分を公費で接種できる。過去に受けたときから時間が経過している場合でも、1回目からやり直す必要はない。

<参考>厚労省:ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの接種を逃した方へ~キャッチアップ接種のご案内~https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou/hpv_catch-up-vaccination.html

キャッチアップ接種のこれまでの経緯

日本では、2013年にHPVワクチンの定期接種を開始。小学校6年生から高校1年生相当の年齢までは公費助成により無料で接種が可能だが、無料期間を過ぎて自費で接種する場合には最低でも約5万円の費用がかかることになる。

定期接種を開始した年に、ワクチン接種後に痙攣などの症状が出た事例をメディアがセンセーショナルに報道したことで不安を煽り、同年6月以降厚労省はHPVワクチンの定期接種の積極的勧奨を差し控えている状況だった。

しかし、積極的勧奨の差し控えによりHPVワクチンの接種率が激減した2000年度生まれの20歳時子宮頸がん検診の異常率は、1999年以前生まれと比較して上昇していることが2021年12月12日に発表された大阪大学の研究グループによって明らかになっている

2021年10月1日の検討会でHPVワクチンの積極的勧奨の再開の方向性が確認され、11月12日の検討会で「積極的な勧奨を差し控えている状態を終了させることが妥当である」として、HPVワクチンの積極的勧奨を再開することが了承されていた

また、同月15日に積極的勧奨の差し控えにより無料接種の機会を逃した女性のキャッチアップ制度を翌年2022年4月から実施する方針を固めたと報じられた。対象者は1997~2005年度に生まれた女性とするのが適切だという意見が多数を占めたが、正式には決定されていなかった。

【関連記事】HPVワクチン(子宮頸がんワクチン)って安全なの?副作用(副反応)が多いといわれた理由とQ&A(医師監修)

2021年12月23日に開かれた今回の厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会にて、このキャッチアップ接種が1997〜2005年度生まれの9学年を対象とする案が了承された。

積極的な接種の呼びかけを中断していた間にHPVワクチン接種の対象年齢を迎えた、1997~2005年度生まれの9学年がキャッチアップ接種を受けられる期間は来年4月から3年間とすることも同日の予防接種・ワクチン分科会で了承された。

1997~2005年度生まれの9学年には、積極的勧奨を中断した当時に高校1年生だった97年度生まれを筆頭に、2021年度に高校1年生の05年度生まれの女性までが含まれる。

【関連記事】HPVワクチンを打ち逃して大人になってしまった世代。今から接種しても効果はあるの?

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