4月9日は「子宮頸がんを予防する日(子宮の日)」。

HPVワクチンは一時的に積極的勧奨を差し控えられていたが、令和3年11月より接種勧奨の再開が通達された。

エムティーアイが運営する女性の健康情報サービス『ルナルナ』は、女性の健康教育と婦人科系疾患の予防啓発活動を行う一般社団法人シンクパール(代表理事:難波美智代)と共同で、子宮頸がんの予防法のひとつである「ヒトパピローマウイルス(以下、「HPV」)ワクチンに関する意識調査」を行った。

HPVの主な感染経路は「性交渉」である。約8割が理解

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

HPVの主な感染経路が性交渉であることを知っているかという質問に対し、「知っている」59.1%、「なんとなく知っている」20.1%という結果になった。

合わせると、8割近い人がHPVの主な感染経路を理解しているという認識であることがわかった。

HPVは男女問わず感染する可能性がある。約4割が理解していない

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

HPVは、男性にも感染するウイルスである。

男女問わず感染する可能性があることを知っているかの質問に対し、「あまり知らない」20.8%、「全く知らない」20.5%という結果となった。

合わせると、4割以上の人が理解していない結果となり、男女間で認識の差があることがうかがえる。

また、HPVがオーラルセックス(口腔性交)によって感染し、中咽頭がんが発生する危険性に関する質問に対し、「あまり知らない」28.8%、「全く知らない」30.4%という結果となり、合わせると8割近い人が理解していないことがわかった。

感染の広がりを抑えるという観点でも、女性だけでなく男性自身、また子どもを持つ保護者もHPVやワクチン接種に対する正しい知識を持ち、自分事化して考える必要がある。

自治体が取り組むHPVワクチン接種。約9割が認識していない

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

ワクチンに関しては、自治体のホームページなどで検索するとどのようなメリットや懸念点があるのか、どこで受けられるのかなどの詳細を確認することができる。

しかし、HPVワクチンに関する自治体の取組みを知っているかという質問に対し、「あまり知らない」33.2%、「全く知らない」57.5%となり、合わせて9割以上の人が自身の住んでいる自治体の取組みを認識していないことが明らかとなった。

その背景としては、平成25年よりHPVワクチン接種後の持続的な副反応について国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨しないよう勧告されていたことが影響している可能性がある。

HPVワクチン接種の積極的勧奨再開は、過半数が「知っている」

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

HPVワクチンは、積極的な勧奨が約8年間差し控えられていたが、改めてワクチンの安全性・接種による有効性が認められ、令和3年11月に厚生労働省からHPVワクチンの積極的勧奨再開の通達が出された。

その通達について、「知っている」29.9%、「なんとなく知っている」22.2%となり、過半数が「知っている」という結果となった。

厚生労働省は各自治体に対し、令和4年4月より順次、医療機関における接種体制の整備や、対象者またはその保護者に対して接種を周知するなど、個別に勧奨するよう通達が出されている。

積極的勧奨再開を受け、「接種したい」は4割

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

実際に「積極的勧奨」再開を受けて、HPVワクチンを接種したいかという質問に対し、(接種対象外の人の回答を除く)、「接種したい」17.7%、「どちらかというと接種したい」21.2%という結果となった。

合わせると約4割の人が接種には前向きで、「できれば接種したくない」9.6%、「接種する予定はない」19.1%と回答し、接種に積極的ではない割合も3割弱いることがわかった。

「接種したくない」理由は?

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

「できれば接種したくない」「接種する予定はない」と答えた人を対象にその理由を聞いたところ、「接種後の副反応が心配だから」63.9%が過半数以上を占め1位となった。この結果からも、副反応に対する不安や心配が依然として根強いことがわかる。

一方で、既に接種をした人に接種の理由を聞くと、1位「家族から接種をすすめられた」56.8%が挙げられ、接種の判断には家族の意見も影響力が大きいと推測される。

母親の8割が「自分の子どもにHPVワクチンを勧めたい」

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

子どもに子宮頸がん検診を勧めたいかの質問を、女性の子どもを持つ約1,000人の母親を対象に行ったところ、子どもの年齢(複数いる場合は長子の年齢で回答)によって差はあるものの、各世代とも「勧めたいと思う」が最も多い結果となった。

一方で、HPVワクチンを我が子に勧めたいかどうかは、判断に迷っている母親が多いようだ。

「すでに接種している」、「勧めたことがある」「勧めたいと思う」と回答した母親を対象にその理由を聞くと、「自身の経験などから判断して」37.9%が最も多く、娘の接種には母親の経験がもととなるケースが多いことがわかる。

「勧めない」、「悩んでいる」その理由は?

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

次に、我が子へのHPVワクチン接種を「あまり勧めない」、「勧めない」、「悩んでいる」と回答した人にその理由を聞くと、「接種後の副反応が心配だから」87.5%が最も多い回答となり、母親にとっても副反応への心配が大きいことが読み取れる。

ワクチン接種は予防というメリットがある一方で、稀な副反応や本人の持病などによっては懸念点もある。

そのため、親も国や医師らが提示している情報の根拠を確認するなど、信頼できる情報源をもとにワクチンについて考え、判断することが求められる。

ワクチンや疾患に対する正しい知識と情報を

画像=株式会社エムティーアイ HPVワクチンに関する意識調査

慶應義塾大学 名誉教授で、一般社団法人 吉村やすのり生命の環境研究所の代表理事を務める吉村泰典氏は、次のように指摘する。

「HPVは性交渉の経験のある女性であれば高い割合で感染するウイルスです。また、子宮頸がんの発症のピークは、以前は40~50歳代だったのが30歳代後半にまで下がっており、最近は20~30歳代の若い女性にも増えてきています。これらのことからも、若いうちからワクチンや疾患に対する正しい知識と情報を得て、ご自身の考えを確立しておくべきです」

また子宮頸がん経験者で、一般社団法人シンクパールの代表理事、難波美智代氏は「子宮頸がん経験者として、罹患前にHPVワクチンがあれば接種したかったという思いがあります」とし、「4月より自治体からの情報発信が拡充されます。接種対象者やそのご家族、さらには学校関係者への提供情報のあり方とその後の状況に応じた最適化を継続的に検証するなど、接種当事者に寄り添った施策に期待をしています」とコメントしている。

調査概要

・調査の方法:『ルナルナ』、『ルナルナ 体温ノート』、『ルナルナ ベビー』サービス内でアンケート

・調査の対象: 女性4,417 名

・調査実施日:2022 年 3月1日(火)~3月8日(火)

・調査主体 :(株)エムティーアイが運営する女性の健康情報サービス『ルナルナ』女性の健康教育と婦人科系疾患の予防啓発活動を行う一般社団法人シンクパール(代表理事:難波美智代)

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