ヒトパピローマウイルスは、性経験のある男女のほとんどが感染するといわれているウイルスです。感染しても必ず病気になるというわけではなく、多くの場合は自己免疫機能によって体外に排除されます。しかし、うまく排除できなかった場合、子宮頸がんや陰茎がん、尖圭コンジローマなどの病気を起こすことがあります。

ヒトパピローマウイルスとは

ヒトパピローマウイルスは100種類以上もの種類があり、多くの場合は自己免疫機能によってウイルスは体外に排除されます。

ヒトパピローマウイルスはハイリスク型と低リスク型があります。ハイリスク型は子宮頸がんや腟がん・陰茎がん・肛門がん・のどのがん(咽頭がん)などの、低リスク型は尖圭(せんけい)コンジローマなどの性感染症の原因となります。

ヒトパピローマウイルスが原因となる子宮頸がんと尖圭コンジローマ

ヒトパピローマウイルスが原因となる病気のうち、代表的なものに子宮頸がんと尖圭コンジローマがあります。それぞれの症状を説明します。

1.子宮頸がん

子宮頸がんは、性行為時にできた粘膜の傷からヒトパピローマウイルスが細胞に入って増殖し、子宮の入り口の細胞をがん化させることで発症します。子宮頸がんの患者数は年間1万人以上といわれていて、最近増加傾向です。

子宮頸がんになっても初期はほとんど自覚症状がありませんが、進行すると不正出血や性行為時の出血、おりものが増えるなどの異常がおこります。子宮頸がんについては、「子宮頸がんの症状や原因、予防や治療法。患者数は年間1万人以上(医師監修)」の記事でくわしく説明していますので、気になる方はご確認ください。

2.尖圭(せんけい)コンジローマ

尖圭コンジローマは、陰茎・陰のう・腟(ちつ)・子宮頚部・肛門の細胞にヒトパピローマウイルスが入ることで発症します。性器にカリフラワーのようなブツブツ(腫瘍)ができ、性器の違和感、かゆみ、おりものの増加などの症状がでることもありますが、症状がないこともあります。

尖圭コンジローマについては、「尖圭コンジローマは性器周辺のイボが特徴。症状や治療法、予防について(医師監修)」の記事でくわしく解説しています。

ヒトパピローマウイルスに感染しないための予防

ハイリスク型・低リスク型ともに、性行為が原因で感染することがほとんどです。そのため、性行為のとき(アナルセックス・オーラルセックスを含む)にコンドームを正しく着用することで感染のリスクを減らせます。

ただしコンドームを使っていても感染を100%予防はできず、アトピー性皮膚炎やかぶれなど皮膚の荒れが性器周辺にある場合は、感染しやすくなるので注意しましょう。

また、男女ともにHPVワクチンを接種することが予防につながります。

HPVワクチンの接種

HPVワクチンを接種すると、ヒトパピローマウイルスの感染を予防できます。2価のHPVワクチンは、がんの原因となるヒトパピローマウイルスの感染を予防。4価や9価のHPVワクチンでは、尖圭コンジローマや子宮頸がんの60~70%を予防でき、肛門がんや喉のがんの予防効果もあります。

HPVワクチンは性交渉経験前の10代前半に接種すると1番効果が高く、日本では3回接種することが勧められています。性行為の経験がある方でも、ワクチンの接種により、今感染していない型のヒトパピローマウイルスの予防が可能です。

12~16歳の女性は無料で接種できるので、詳細はお住まいの市区町村役場へ問い合わせてみてください。(12~16歳の女性以外の接種は自費となり、2~4万円/回の費用がかかります)

ヒトパピローマウイルスに関連した病気の検査や治療について

ヒトパピローマウイルスに関連した病気である、子宮頸がん検診と尖圭コンジローマの検査、治療について説明します。

子宮頸がんの検診

子宮頸がんは、厚生労働省によって20歳以上の女性は2年に1度受けることを推奨しています。定期的にチェックしておけば、もし子宮頸がんになっていた場合でも早期に発見が可能です。子宮頸がん検診は、専用の器具を使用して細胞を採取して調べます。

子宮頸がんの治療法は、手術療法、放射線療法、化学療法(抗がん剤)の3種類があり、がんの進行具合によって、医師と相談しながら治療法を選択します。

尖圭コンジローマの検査や治療

性器周辺にイボのような腫瘍ができていたら、尖圭コンジローマが疑われるので医療機関(女性は婦人科、男性は泌尿器科)を受診してください。

尖圭コンジローマと診断されたら、軟膏を塗る、もしくは麻酔をしてメスで切除する、病変を冷却する凍結治療、レーザーなどでイボを切り取るなどの外科的治療が行われます。特定のパートナーがいる場合は、共に感染している可能性が高いため、同時に治療を受けましょう。

ヒトパピローマウイルスは感染すると必ず発症するわけではありません。しかし、うまく排除ができなかった場合、子宮頸がんや陰茎がん、尖圭コンジローマなどの病気を引き起こす可能性があります。予防に気を配りながら、気になる症状があった場合には早めに婦人科や泌尿器科を受診しましょう。

監修者プロフィール

淀川キリスト教病院 産婦人科専門医

柴田綾子

2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。LINEボット「妊産婦さん向けの風邪薬ボット」も運営中。https://twitter.com/ayako700

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