コロナ禍で生活様式が変わり、人とコミュニケーションをとる機会や外出する機会が減ってメンタルが不安定になってしまった人も多いと聞きます。また、年末は寂しい雰囲気が漂い、なんとなく不安になってしまう人もいるそうです。
そんななかでいただいた質問をご紹介します。
「吉野さんのSNSを見ていると、いつもポジティブなツイートをしている印象を受けます。メンタルをポジティブに保つ方法や、メンタルが落ち込んでしまったときの回復方法はありますか?」
ということで、今回は私なりの「ポジティブにいられる方法」についてお話してみたいと思います。
ネガティブな自分にOKを出してしまうことがポジティブへの近道
1つめは、まず大前提としてネガティブなときもあっていいということ。
ネガティブ思考に陥ってしまったとき、
「こんな自分じゃダメだ」
「前向きにならなきゃ」
と自分にダメ出ししていませんか?
でも実際には、自分に厳しくあろうとすればするほど苦しくなってしまっているのではないでしょうか。
私も、以前は落ち込みやすく気分にムラができやすい自分の性格が嫌で、しょっちゅう自分に対してダメ出しをしたり反省したりしていました。
「いつも笑顔で機嫌がいい自分」でいたいのに、気持ちに余裕がありませんでした。
でも、あるときに気がついたのです。
「ネガティブになりやすい性格はダメだと思ってきたけど、何とかやってこれてるから、実は大丈夫なんじゃないか?」ということに。
そこで「自分の性格をどうにかしなきゃ!」と性格を直そうとして執着するよりも、調子が悪いときには
「今は落ち込む時期だから、この嵐が明けるのを待とう」
「自分は元々そういう性格だから、悩んでも仕方ない」
という捉え方にしてみたところ、以前よりも焦燥感がやわらいで、余計な苦しさを感じにくくなったのです。
実は、ネガティブ思考は人間にとって自然に沸き起こる大事な思考。
危険を予測したり自分を守ろうとするために起きる防衛本能だからこそ、気になりやすく、無理矢理ねじ伏せることが難しいのです。
だから、「ネガティブ思考を直さなきゃ」と対峙するよりも、ネガティブな自分にもOKを出してしまうことのほうが、むしろポジティブへの近道だと私は思います。
白い服は、どうしても汚れが目立ってしまうもの。そんな風に自分の特徴のひとつとして捉えてしまったほうが、うまく付き合っていけるのではないでしょうか。
違う視点でものを見る癖をつけること
2つめは、違う視点でものを見る癖をつけることです。
ネガティブ思考に陥っているときは、視野が狭くなりがち。「もし◯◯だったらどうしよう」「あのときもっとこうだったら」と、同じような不安や心配ごとを繰り返し考えてしまいますよね。でも、意識してちょっと違う視点を持つだけで、程よい距離感になれる可能性があります。
視点を変える癖づけのために、私がやっている具体的な例をいくつかあげてみます。
1. ネガティブなときの選択肢をあらかじめ持つ
特に寝る前にネガティブ思考に陥ると、寝つきが悪くなってしまいますよね。
もしそうなったら、私はいったん自分の呼吸にフォーカスしてみます。これは瞑想やヨガから得た知識ですが、深い呼吸は心と体にリラックス効果を与え、副交感神経が優位になるそうです。深呼吸を繰り返すうちに、いつの間にか寝入っていることもあります。
日中なら、窓を開けて空気を入れ替えたり、料理や磨き掃除をしたり、立ち上がって手をバタバタさせてみたり、体を動かしてみると何となく気分が落ち着いてきたりします。
大事なのは「ネガティブにならないように」ではなくて「ネガティブになったらこの行動をしてみよう」という視点で、行動の選択肢をあらかじめ持っておくこと。
何をしてもネガティブ思考に陥るときは、「今はそういうときなのね」と自分をなだめる潔さも大切です。
2. 体をいたわる
「やたら気分が滅入る・・・」と思っていたら、寝不足や生理前のPMSだったり、大事な仕事など緊張する出来事があったせいで心身が休まっていないこともあります。はたまた、家でじっとしているせいで頭ばかり働いてアンバランスな状態になっているかもしれません。
心と体は繋がっているので、体の不調がメンタルに影響を与えている可能性に目を向け、必要ならいたわってあげます。
3. 部屋にラジオを流す
集中して聞くというよりは、家事をしながら、出かける準備をしながら、何か作業をしながら聞くラジオ。誰かの話し声は何となく落ち着くし、自分では気づかないような他人の視点を学んだり、出演者が何気なく言った一言から思わぬアイデアが思い浮かぶことも。
ラジオは基本的にネガティブな情報よりもポジティブな情報のほうが多いですし、耳から聞いた情景を頭に思い浮かべるからこそ自由な思考になりやすいと感じます。
4. ノートに気持ちを書き綴る
ネガティブなときは、無理に「ポジティブにならなきゃ」と思うことがプレッシャーに。
だからこそ自分を否定せずに、今思っている気持ちを外に出してアウトプットしてみます。スマホやPCでタイピングするよりも、実際にペンを持って手を動かしながら紙のノートに文字を書いたほうが脳への刺激になるうえに「外に出した感じ」がするのでおすすめです。
書いたものは誰にも見せる必要がないので、感じたままに思いっきり書くことがポイント。
つい頭でいろいろなことを考えて思い詰めてしまう人ほど、書き出してみると「頭の中でこんなにいろいろ考えていたんだ、そりゃパンクしちゃうよね」と驚くと思います。
あらかじめ対処方法を用意することで、バランスがとれてくる
人には、ネガティブな面とポジティブな面があって当たり前。
今回紹介したように、ネガティブ思考をなくそう!と追い詰めるよりも、ネガティブな気持ちに居場所を与えたり、あらかじめ対処方法を用意しておくことで、うまくバランスがとれてくると感じます。
焦らず、責めないこと。そして異なる視点で捉えてみること。それが私のポジティブに繋がっています。
ネガティブな気分を救ってくれる、あなたなりの対処法が見つかりますように。
(編集部注:気になる症状がある場合は、医療機関を受診しましょう)