仕事や家事・育児に忙しい現代の女性たち。ランドリーボックスでは、特集「がんばりすぎちゃうあなたへ」を1カ月連続お届けしています。第5回は海外ドラマ・コラムニストの伊藤ハルカさんの連載から。悩める2児のママを元気にしてくれたドラマ 『ワーキングママ』のレビューをお届けします。

 *

私は、自称”日本一海外ドラマを見る女”として、海外ドラマ・コラムニストの仕事をしています。一日のうち少なくとも8時間、多いときは12時間を海外ドラマに費やしますが、プライベートでは2女のママで、夫と2人、協力しながら東京で子育てをしています。

この連載コラムでは、さまざまな心身の悩みを持つランドリーボックス・ユーザーの方にオススメな海外ドラマを、私の実体験を交えつつ紹介していきます。初回は、現在Netflixで配信中のカナダのコメディドラマ 『ワーキングママ』です。

内容は、タイトルの通り、子どもを育てながらバリバリ働くママたちの四苦八苦ストーリー。産後うつがひどくて退職に追いやられたり、仕事に達成感を求め育児を人任せにしたり、授乳をやめる口実ほしさに乳首にピアスを開けたり。“お母さん”だからって幸せいっぱいなわけじゃない。完璧じゃないママたちのリアルな姿を綴る、赤裸々コメディです。

海外には、産後に子連れで参加し、悩みなどを打ち明けられる”マザーグループ”が存在します。このドラマの舞台も7組のママ(パパ)と赤ちゃんからなるカナダのとあるマザーグループ。精子提供を受けて出産したレズビアンカップルや完璧を目指す専業主婦、仕事が生きがいなPRパーソンに、2人目出産後の精神科医など、年齢も職業も置かれた状況もまるでバラバラなママたち。みんなさまざまな悩みを抱えているのですが、それらすべてが育児中の私には痛いほどよくわかります。

ToDoがなにひとつ片付かない……。達成感ゼロの育児

私自身、約1年前に次女を出産したのですが、産後しばらくはイライラと落ち込みの連続でした。要因は色々です。長女がイヤイヤ期ど真ん中でまったく言うことを聞いてくれない、次女がオッパイをうまく飲めない・寝ない、仕事の納期が迫っているのにまったく作業時間が取れない、片付けがしたいのに時間がとれず、どんどん散らかっていく。

がんばってもがんばってもやることが山積みで、ToDoリストをひとつも消すことができないまま一日が終わっていくー。追い詰められた私はとんでもないことを夫に口走ります。「子育てからは達成感をまったく得られない。だって、どんなにがんばっても一銭ももらえないから!」

子育ての時間を時給換算するなんてとんでもないですよね。はい、よくわかってます。でも、仕事だと、どんなに大変でもがんばった分だけ結果が伴うし、対価としてお金だってもらえる。育児だとそうはいきません。愛情を注ぎ、髪を振り乱しながら子どものためと必死になっても、子どもは親の思う通りになんて動いてくれないし、もちろん時給だってゼロ。だったら仕事で達成感を得たほうが私の自尊心は保たれるのではないかと思うわけです。

育休明け直後から飛ばしまくるケイト(写真右)

まさに、このドラマの中に登場する“仕事でしか達成感を得られないPRパーソン”のケイトですね。ケイトは、2つの仕事を掛け持ちするワーカホリックぶりを発揮しますが、多忙により親友アンからの電話にすら出られない事態に。そんなケイトに、アンはこう言います。「なんのためにそんなに働くの?あなたは現実から逃げるために無理に働いているだけじゃない!」と。

これにグサリときたのはケイトだけではありません。私もです。溢れんばかりの働きたい欲は、目の前の悩みから解放されたいからなのかもしれません。そんなことに気づかせてくれるドラマでもあります。

産後うつは特別なことじゃない

このドラマのなにが救いかって、”それでいいじゃん”って全力で肯定してくれるところ。振り回される夫や子どもは大変かもしれないけれど、ママが仕事したいなら仕方ないじゃん!てスタンスなのです。

ママは女神じゃなくて人間なのだから、身体やメンタルの不調に振り回されてどうしようもないことだってある(というかそればかり…!)。そんなとき、自分なりの解決法で乗り越えていることのなにが悪いの!って、いろんなタイプのママたちが教えてくれます。

産後うつ、離婚、望まぬ妊娠と多くの悩みを抱えながらも奮闘する彼女たちを見ていると、あぁ、自分がこう思うのって普通なんだと安心したり、逆にここまでやってもいいんだとびっくりしたり。

もう妊娠したくないアンは夫にパイプカット手術を提案

子育てがラクになるヒントが見つかる

”子育て大変”フラグを立てすぎると、これから出産と子育てをする人たちが不安になるかもしれませんが、こんなに大変でも「産まなければよかった」と思ったことがないのが不思議。2人の娘よりも愛おしい存在はこの世にいないと思います。

それでも、パパもママも少なからず悩みを抱えていると思うから、自信をもって子育てができたら素敵ですよね。

働き方だって、フルタイム会社員じゃなくったって、フリーランスでも在宅ワークでもいい。困ったら外部サービスを活用して、ライフスタイルに合った働き方や子育てを模索していけばいいのです。夫と同じくらい、あるいはそれ以上に働くママが多いカナダでは、家事・育児を夫婦で分担するのが普通です。夫のほうが比重が多い場合もあるくらい。

彼らはシッターサービスを活用したり、自宅をオフィスにしたりと子育てと仕事の両立を図るためにさまざまな工夫をしています。子育てがラクになるヒントを拾いながら見てもまた面白いかもしれませんね。

母と娘の「生理トーク」も楽しく

最後に「生理」を軸に発信しているランドリーボックスということで、生理ネタをひとつ。アンの娘、アリスが初潮を迎えるエピソードがシーズン2の9話にあります。生理について予備知識ゼロなのに突然きてしまった…!そんなときに母親はいない…!そばにいたケイトがアンにかわって手を貸すのですが、母親の役目を奪いすぎてはいけないと、アリスからの質問にうまく交わすシーンがたまらなく微笑ましい。

私自身、母と生理の話をすることにひどく抵抗があったので、生理についてジョークを飛ばしながらフランクに話せる親子関係が、とても素敵に感じられました。こういうふうに母と分かり合いたかったなと少し寂しく思ったりもして。「母と娘の生理トーク」は令和の時代に入り、どんどん変わっていくかもしれないですね。いやそうであってほしい。もっと楽しくオープンに話していいものだと思うから。

ケイトとアンの育児モットーは、オープンと自立!

日本のママたちは、”お母さんなんだからこうあらねばならない”と言われすぎてきました。今こそ、そのベールを脱いで、自分らしい自由で勝手な育児を楽しむときではないでしょうか。このドラマは、朝から夜寝る瞬間までがんばるママにとって、クレイジーな子育て応援歌になることでしょう!

日本にもなんでも言い合える、こんなグループがあればママたちも少しラクになれるかも?

『ワーキングママ』Netflixオリジナルシリーズ。シーズン1〜2を独占配信中

※8/29よりシーズン3の配信がスタート!

New Article
新着記事

Item Review
アイテムレビュー

新着アイテム

おすすめ特集