「妊娠したかも」と思ったとき、妊娠検査薬の利用を考える人が多いでしょう。妊娠検査薬は薬局などで手軽に手に入ります。使用する際は、検査の精度が高いタイミングと注意事項を確認しておきましょう。
妊娠検査薬はどこで買える?
妊娠検査薬とは、妊娠しているかどうかを判定するための補助的な試薬のことです。尿を検査薬にかけて使用し、尿に妊娠中にしか分泌されない物質が含まれているかどうかを検査します。
妊娠検査薬は薬局やドラッグストアで購入が可能です。妊娠検査薬と見ためが似ている製品に排卵日を確認する排卵検査薬があります。購入の際は間違えないように注意しましょう。
妊娠検査薬の仕組み・結果の精度
妊娠検査薬は、尿中に排出されるhCG(ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン)の有無を測定することで、妊娠を判定する仕組みです。
妊娠すると、卵子と精子が受精卵となり子宮内に着床すると絨毛が発生します。この絨毛からhCGが分泌され、血液や尿の中にも混入するのです。妊娠検査薬は正しいタイミングで検査をおこなえば99%以上の精度とされています。
このhCGは妊娠4週から分泌され、妊娠8~12週目にピークを迎え、出産するまで続きます。検査薬の種類にもよりますが、薬局で販売されている多くの妊娠検査薬は妊娠5週以降で妊娠の有無を確認できます。
ちなみに妊娠5週は生理予定日から約1週間後です。予定日を過ぎて、生理がきていない場合、予定日の1週間後に妊娠検査薬を使用するといいでしょう。
妊娠検査薬の使い方
妊娠検査薬の正しい使い方は、以下の通りです。
1.妊娠検査薬に尿をかける
妊娠検査薬の尿をかける場所や量は製品によって違うので、使用前に取扱説明書をよく読んで検査しましょう。
2.水平に数分間置いておく
尿をゆっくりと用紙にしみこませる必要があるので、妊娠検査薬を斜めに置いたり立てて置いたりせず、水平に数分間置きましょう。
3.判定結果を確認する
妊娠検査薬には、「終了」と「判定」の2種類の枠があります。終了の枠に線が現れたら、判定の枠を確認しましょう。線があれば陽性で妊娠の可能性あり、線がなければ陰性で妊娠の可能性はないという結果です。
妊娠検査薬を使用する際の注意事項
妊娠検査薬を使う際にはいくつか注意点があるので、ここでご紹介します。
1.生理予定日の1週間後以降に使用する
妊娠検査薬はhCGというホルモンの分泌の有無を調べます。このホルモンは受精卵が着床してから少しずつ増えてきます。市販の妊娠検査薬の多くは生理予定日(妊娠4週目ごろ)に使用した場合、正しく判定できません。
早めに使用して結果は陰性だったとしても、妊娠している可能性があります。生理予定日から1週間後以降に使用しましょう。
2.確定の診断ではない
妊娠検査薬はあくまで補助的な試薬なので、陽性反応が出た場合は産婦人科を受診しましょう。妊娠検査薬で陽性だからといって100%妊娠しているというわけではありません。
また、陽性の場合でも子宮外妊娠などの場合もあります。まずは医師の診断を受けましょう。
3.妊娠していなくても陽性になることがある
妊娠検査薬はhCGの有無を判定しますが、hCGは妊娠以外でも検出される場合があります。それはhCG産生腫瘍があるときと体外からhCGを投与しているときです。
hCG産生腫瘍は、卵巣がんや胃がん、肺がん、すい臓がん、絨毛がんなどのことで、これらのがんになった場合もhCGが分泌されます。
また、不妊治療ではhCG注射をすることがあるため、体内に微量のhCGが残っていると、妊娠検査薬が陽性になる場合があります。
早期妊娠検査薬について
通常の妊娠検査薬は、生理予定日から1週間後以降に使用する必要がありますが、生理予定日当日から使用可能な「早期妊娠検査薬」もあります。早期妊娠検査薬は、通常の妊娠検査薬よりも少ない量のhCGでも反応する仕組みです。
早く結果を知りたい人は早期妊娠検査薬を使用しても問題ないですが、妊娠の確定は産婦人科の医師の診断が必要です。
産婦人科で妊娠をはっきり確認できるのは、エコー検査で胎のう(赤ちゃんを包む袋)を確認できる妊娠5週以降なので、最終的に妊娠の確定をできる時期は、早期妊娠検査薬を使用しても変わりはありません。
妊娠検査薬は簡易的に妊娠を確認するには便利ですが、あくまで補助的なものです。陽性反応が出た場合は、産婦人科を受診しましょう。また、妊娠初期の症状については「妊娠超初期症状はどんなものがある?PMSとの違いを解説(医師監修)」の記事でも解説していますので気になる方は確認してみてください。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。