写真=本人提供/LaundryBox

離婚と再婚を経て出産し、今は子育てしている振付師の竹中夏海さん。竹中さんが過去に経験したという妊活を振り返ってもらいました。

私が最初に妊活を始めようと思ったのはもう何年も前になる。

その頃は30代前半で妊娠・出産の知識も大してなく、周りでもよく聞く話だけれど「結婚すれば子どもってできるもんでしょ〜」と私もかなり楽観的に考えているうちのひとりだった。

当時の年齢(35歳未満)だと夫婦生活を営んで1年間で自然妊娠しなければ病院を受診した方がいいとのことだったので、とりあえずその1年の間にできそうなことはやっておこうかな、とゆるりと妊活を始めた。

排卵検査薬を使ってみた

まずは職業柄、手放せなかった低用量ピルの服用をやめた。

生理管理アプリで生理周期は大体把握して、実際ほとんどその通りに毎月生理がちゃんと来ることも確認。

基礎体温も測り始めようかな、と思っていたところ「排卵検査薬」があることを知人から教えてもらった。見た目も使い方も妊娠検査薬とかなり似ているらしい。

生理管理アプリで次回の生理予定を見て、その17日前から1日1回ほぼ同じ時間帯に検査をする。検査の仕方は、ペン型の検査薬の蓋をはずして先端の採尿部分に2秒ほど尿をかけ、再び蓋をして平らなところに置き5分待つ。

最も妊娠しやすいと言われている排卵日、その1日前だった場合は判定ラインのところにはっきりくっきり線が浮き出てくる。出てこない場合は、出てくるまで毎日これを続けるのだ。最初はなんの反応がなくても、段々うっすらと線が出てくるようになりその線は毎日徐々に濃くなる。

数日後にくっきり判定ラインが出たときは、まだ子どもを授かったわけでもなんでもないのに「お〜!」と思わず声が出て、ちょっとした達成感があった。

これが毎月の習慣になった。

Photo by Laundry Box

医師にも褒められるほどの「キレイな子宮」

それでもなかなか自然には授からなかったので、あるときかかりつけの婦人科に行き、医師に「妊活をしているので今できる検査をしたい」と相談した。

正直、何の検査をどこからどう取り組めばいいかよく分からなかったからだ。

言われるがまま、その病院でできる検査をしてもらい、当時の細かい結果まではよく覚えてないのだけれどとにかく《異常なし》とのことだった。「キレ〜イな子宮よ〜、よかったわねぇ〜」と先生に言われて「そんなタイプの褒め言葉もあるんだなぁ」と思った記憶がある。パートナーにも検査を受けてもらい同じく異常はないと言われたそうだった。

それから「妊活を考えているなら風疹の免疫チェックをした方がいい」と教えてもらったので抗体検査も受けた。妊娠中に風疹ウィルスに感染すると、赤ちゃんの目や耳、心臓などに障害が出る可能性があるのだそうだ。この検査、妊娠を希望する女性に対しては無料で受けられる自治体もあるそうなので、まだの人はぜひ調べてみるのがおすすめだ。

いつしかセックスの話題も夫婦間で触れられないものに…

こんな感じで知識が乏しいなりに人に聞いたり調べたりしながら準備をしてきたつもりだった。それでも一向に子どもを授かる気配はなかった。なぜかって、私はこの頃にはすっかりセックスレスに悩むようになっていたから。そりゃできるわけがない。

「妊活を始めよう」と思ったあの時期からは、すでに一年以上が経っていた。

レスについては、私の中でできることはし尽くしたと思う。煮詰まって母に相談したら、「○○とか○○とか、してみたら??」なんて提案をしてくれたのだけど、正直母が思いつく限りのことはすでに全部試していたのだ。

そしてセックスレスの難しいところが、真摯に向き合おうとすればするほど余計にできない負のループに陥りやすい、という点である。「あんまり追い込んでしまったら逆効果だろう」と思ってこの話題から距離を取っているうちに、いつしか本人たちも立ち入れない禁止区域になっていった。

するとやがてネガティブな思考に支配されるようになってくる。

ピルをやめてまた毎月重い生理痛に悩まされているのは一体なんのためだろう。

入籍前にこうなっていればそもそも籍を入れずに付き合い自体を見直していただろうな。

そんな考えが浮かんでは自己嫌悪にも陥った。

「コウノトリ、いくら払えば赤子運んできてくれるんだよ」と本気でファンタジーにすがりたくなったこともある。

「もう限界かもしれない。いっそのこと一度ひとりに戻ってやり直したいと考えている」と、とうとうパートナーにも伝えたその頃のことだった。

私がシリンジ法を知ったのは。

次回に続く

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