写真=本人提供/Laundry Box

低用量ピル(以下、ピル)を飲んでいる」といっただけで、なんだか妙な空気になったことはないだろうか。

男性の友人に話すと「お、おう……」という反応。「それ俺たちが聞いて大丈夫なの?」という雰囲気が漂うことが、以前から気になっていた。

婦人科にいくまでは、私も間違った認識だらけだった気がする

ある日、とある女性アイドルがピルを服用している旨をツイートした際に「それは生でセックスしてるってことだよね?」という地獄のようなリプが返ってきているのを見て、ようやく現実を知った。「あぁ、ピルって未だにただの『避妊薬』の認識が強いのか……」と。

考えてみれば思い当たる節はいくつもある。PMS(月経前症候群)の症状がつらい女性タレントが「ピルをもらいに婦人科へ行く」といったら、男性マネージャーから「そんなのもらわないでもいいような生活を心がけてください」といわれた話。

生理痛がひどい女性アイドルが「ピルを服用したい」と実家の母親に相談をしたところ「東京でどんな暮らしをしているの!?」と毎月の痛みよりも生活態度を心配されたエピソード。

どれもこれも、ピルが生理にまつわる不快な症状を軽減させるための女性ホルモン剤ではなく、“避妊薬”という認識の方がはるかに強いがためのリアクションだったのか……。

私自身がピルを服用するようになったのは今から8年ほど前。振付師という職業柄、生理が重いとどうにも仕事にならないことが多く、藁にもすがる思いで婦人科に相談に行ったのがきっかけだった。思えば、それまでは私も間違った認識だらけだった気がする。

服用すれば必ず太るという思い込み。ピルで排卵を止めれば「卵子を温存できる(※)」などの希望的観測から生まれたであろう都市伝説(※医学的に、ピルで排卵を止めても卵子の温存はできません)。

婦人科に通ううちに、そうした誤解は解け、少しずつピルの正しい知識が身についていった。もちろん、避妊目的に使用すること自体はなにも悪いことではないので、その点をここに補足しておきたい。

ピルで「正常の状態に戻す」という感覚

「自然に起こる生理現象を薬で不自然にコントロールするのは身体に良くなさそう」という声は、ピルにまつわる私の周りのネガティブな感想第1位。

私の場合、ホルモンバランスが整い、生理前・生理期間中の心身のあらゆる不調が改善された。あまりにもラクになったのでむしろ「効きすぎでは!?」とびっくりして婦人科の医師に報告したところ、「今までのあなたの経血量が“多すぎて”症状が“重すぎた”だけだから、正常に戻ったんだよ」と教えてもらった。

鎮痛剤のように痛みを和らげたり散らすのではなく、「正常の状態に戻す」という感覚が目から鱗だった。

私が服用していたヤーズフレックス。3種類ほどの低用量ピルを試してこれに落ち着いた。写真=本人提供

心配されやすい副作用についても、「最初のうちはめまいがしたり気持ち悪くなる人もいるけど、そうなると同時に寝ちゃえばいいから、服用する時間を就寝前に決めちゃうといいよ」と医師が教えてくれた。

その通りにしたら幸い、本当に副作用を感じることなく身体に馴染んだのでおすすめの方法。だけどこれは個人差もある気がする。

ピル処方は定期的に婦人科を受診する理由に

私のかかりつけのクリニックではピルを最大3カ月分までしか処方してもらえない。それがちょっと面倒ではあるものの、行くたびに血圧を測ってもらい、年に1度は血液検査、医師には「今年は子宮頸がん検査受けたの〜?」とオカン的にせっついてもらえるのがなんだか安心感があり、定期的に婦人科へ通ういい理由になっていた。

以前、ネット通販で個人輸入されたピルを購入した女性が血栓症を起こしたという話を聞いて以来、やはり処方してもらうならあらゆる安全面をふまえても、婦人科に通うべきなんだなぁと自分の中でルールが確立しつつあった。

はじめて「オンライン診察/ピル処方サービス」という存在を知ったとき「いやいや、ピルは病院でもらわなきゃ危ないって」と思っていた。

ところが最近知ったのだが、実際のサービス内容は私の想像しているものとは少し違った。医師がオンラインで診察を行い、自分に合ったピルを提案してくれたうえで処方された薬が自宅に届くそうなのだ。

累計40万人にも使用されているオンラインのピル処方サービス「スマルナ」が開始されたのは2018年6月のこと。その頃の私は、ちょうど妊活を始めようとしていたこともあり、ピルの服用を一時的に中止していたため、こんな便利なサービスが登場していることを知らなかった。

私自身がピルを飲まなくなっても、教え子たちからピルについての相談は後を絶たない。みんな生理でパフォーマンスに支障が出ないよう、必死なのだ。

自分の経験をふまえて伝えることはできても、ひとりひとりに適したアドバイスができるとは到底思えない。これからは婦人科への受診をためらう子や、多忙でクリニックに通えない子には、選択肢のひとつとしてこうしたオンライン診察を勧めてあげたい。

画像=Laundry Box

スマルナのサービスは単に自宅にピルを届けてくれるだけでなく、「かかりつけの医者を見つける手助けをする」狙いも込められているそう。教え子たちにも、気軽に相談できるかかりつけの婦人科が見つかるといいな、と願っている。

【こんなのもあるよ!ピルにまつわるフェムテックプロダクト】

《スマートピルリマインダー「Popit  Sense」》

ピルは、毎日決まった時間に服用しなければならない。うっかり飲み忘れることがないよう、こんなプロダクトもあるそう。

スマートピルリマインダー『Popit  Sense』は、服用する薬のシートに取り付け、専用アプリ『Popit  Smart  Pill Reminder』と連携させることで、音と振動で薬を取り出したかどうかを感知してくれるアイテム。飲み忘れた場合にはアプリが知らせてくれる。

ピルだけではなく薬全般の飲み忘れ防止に効果的なので、例えば離れて暮らす祖父母や両親の薬に取り付けておいて、飲み忘れのお知らせが来たら連絡する、なんていうコミュニケーションのきっかけにもなりそう。

画像=Popit Senseプレスリリース

次回はとうとうGUでも発売され、これからユーザー数が爆上がりしそうな吸水ショーツについてお話ししたいと思う。

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