タイトルの通りですが、妊活の目的で婦人科に行ったら卵巣境界悪性腫瘍と診断され、子宮と卵巣の摘出をすすめられました。

「そもそも子どもが欲しくて婦人科に行ったのに」と、かなりの衝撃でした。

手術、不妊治療、妊娠、出産、再びの腫瘍発覚……。「子どもを授かりたい」その思いを医師に伝えてから3年の時を経て、2022年1月、31歳で子宮と卵巣を全摘出しました。

卵巣境界悪性腫瘍と診断された3年前は、ネットで調べてみても同じ症例だと子宮と卵巣を摘出している人がほとんどで、妊娠・出産している例は出てきませんでした。

ですが医師から、全摘出せずに妊娠・出産した人がいることを教えてもらったのです。この3年間の中で、卵巣付近の手術により妊娠しにくくなること、不妊治療は病院によって対応が大きく異なることなど、ネットにはない情報がたくさんあるのだと実感しました。

私の経験が、誰かの参考になればと思い、リアルな体験談を全3回に渡りお届けします。

生理周期は安定していて、定期的な検査も受けていた

結婚して3年が経った2019年、妊活をしてもなかなか子どもを授かりませんでした。自然妊娠の兆しが見えないため、なにか原因がわかればと思い、夫婦で近所の小さな婦人科を訪ねたのがことの始まりです。

私は生理1日目に重い生理痛があるものの、周期は安定していました。また、2年に1回は自治体が実施する子宮頸がん検診を受診。まさか、自分に婦人科系疾患があるなんて1ミリも思っていませんでした。

しかし検査をしてみると、夫はとくに問題は見当たらず、私の左の卵巣が腫れていることがわかりました。医師からは「腫れてはいるけど形はキレイだから良性だと思います」と言われ、とりあえずMRI検査の予約を取りました。

本人提供

MRI検査でも卵巣が腫れていることが確認され、総合病院への紹介状を書いてもらいました。症状はまったくありませんでしたが、卵巣腫瘍は放っておくと捻れて激痛になることがあるとのことで、腫瘍の摘出手術を勧められました。

腫瘍は直径5cm程でしたが、医師の見立てでは「おそらく良性」。手術も負担の少ない腹腔鏡手術とのことだったため、私は「これさえ取ってしまえばまた妊活が再開できる」くらいにしか思っていませんでした。そして無事に摘出手術を終えたのです。

良性ではなく「境界悪性」だった

しかし退院後、病院から「できればすぐに来てほしい」との電話が。そして「良性ではなく境界悪性でした」と告げられました。摘出した腫瘍は、良性か悪性かを判断するために、手術後に病理検査をします。その結果、私の腫瘍は境界悪性であることがわかったのです。

本人提供

境界悪性とは、簡単にいえば「良性と悪性の中間」にあたるもので、いずれ悪性になる可能性があります。また、私の場合は腫瘍が卵巣内だけではなく外側にも見つかりました。

卵巣内に留まっている場合は、該当する卵巣(左右どちらか)のみを摘出して、片側の卵巣と子宮は残しておくことができます。卵巣外となると腹膜や大腸など他の臓器に転移する可能性があり、この場合は「子宮と卵巣の全摘出が望ましい」とのことでした。

卵巣がんなどの進行は、女性ホルモンの分泌に深い関わりがあります。女性ホルモンは卵巣から分泌されるため、卵巣と子宮を摘出しなければ進行を止められない、とのことでした。

そもそも子どもが欲しくて病院に行ったはずなのに、まさかの展開すぎて、ショックはかなり大きいものでした。その後、さらに大きな病院で診てもらうよう、紹介状を渡されました。

病院から自宅に戻る間は、ただただ呆然とし、家に着いた瞬間に泣き崩れました。

これはつまり、子どものいない人生を歩むことになるかもしれない、ということ。結婚したときから、子どもを産むつもりでいた私は、その現実を受け止めることが難しかったです。

その後、夫や家族と話し合い、子どもが欲しい気持ちは夫も私の両親も同じだったので、まずは紹介先の病院の見解を聞きつつ、こちらの思いを伝えて相談してみようという結論に至りました。

大学病院に転院。「子どもが欲しい」思いを伝える

大学病院ではまず「子どもが欲しいので、すぐに子宮は取りたくない」と医師に伝えました。それに対し、医師はこう言いました。

「私たちは今ある命を救うことを第一に考えています。しかし若い患者さんで妊娠したい意向がある場合は、その気持ちも汲み取ります」

腫瘍を取ったばかりでしたが、腹腔鏡手術でお腹の中をすべて見た訳ではないので、他の部位に転移していないかを確認するため、一度CT検査をしてみることに。その結果、転移は見つからず、病院側からは「現時点で腫瘍がないなら、すぐに開腹手術をして子宮と卵巣を摘出しなくても良いのでは、という意見も出ている」と伝えられました。

この大学病院では、治療方法を1人の医師が決めるのではなく、複数の医師が会議などで話し合って決めていくグループ診療を採用していました。

CTの検査で現状大きな問題はなく「すぐに全摘出しなくても良いのでは」との医師の見解に「あれ、そんな感じでいいのか」とちょっと拍子抜けしたのが正直なところです。

「それならば、すぐに子宮と卵巣を摘出せず、不妊治療を始めさせてください」とお願いし、医師からの了承を得ました。このとき、「半年試して授からなかったら、また相談しましょう」と医師から提案がありました。

もちろんその間も通院は継続し、月に1回の診療と採血(腫瘍マーカーの数値をチェック)、半年に1回はMRIまたはCT検査。このように経過観察するかたちになりました。

また腫瘍ができる前にできるだけ早く妊娠した方が良いため、同じ病院の不妊治療外来にも通うことになりました。

初めての不妊治療はわからないことだらけでしたが、通ううちに見えてくることが多々ありました。途中で不妊治療専門のクリニックに転院し不妊治療を続けました。

この続きは、次回くわしくお伝えします。

続きはこちら

第二回『「子宮・卵巣全摘出」と言われるも、猶予をもらって挑んだ不妊治療』

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