10月11日は国際ガールズデーです。
女の子の権利やエンパワーメントを広く社会に呼びかける日として、2011年、国際NGOプラン・インターナショナルの「Because I Am a Girl(女の子だから)」キャンペーンをきっかけに、国連によって定められました。
経済的、文化的、宗教的な理由から若くして結婚、出産を余儀なくされる少女たちがいます。適切な支援と教育があれば、違う選択肢を選ぶことができるようになると、さまざまな企業や団体が声をあげています。
ランドリーボックスでは、設立当初から「あらゆるワタシに選択肢を」というメッセージとともに、SRHR(セクシュアルリプロダクティブヘルスアンドライツ)についても、さまざまな環境下、価値観の方々に想いを綴っていただいています。
それぞれの心地よさを自ら選び取ることができるようにと情報を発信していますが、日々飛び交う、国内・国外の少女たちの過酷な環境を知れば知るほど、悲しくなることも多いです。
国内においては、性的同意年齢13歳であり、同意年齢を15歳〜16歳と定めている先進国と比較しても非常に低年齢です。
かつ、包括的な性教育や自分の体を守るための支援体制がきちんと提供されていません。
「大人になったら子供は産んで欲しいけど、若いうちは性行為をするな、でも何かあった場合は自己責任で」とは明言されていなくとも、私たちは守ってもらえていないと感じてしまう環境があります。
私たちは、国力の一部でしかないのでしょうか?
ただ、ここに「私」として存在し、喜びを分かち合いたいだけなのに。
心からPleasureを尊重しあえる社会に
すべての人々の健康を保護する目的で、国連が設立したWHO(世界保健機関)は、セクシュアルヘルスを以下のように定義づけしています。
「セクシュアリティに関連して、身体的、感情的、精神的、社会的に良好な状態。それは単に病気、機能障害、または虚弱がないということではありません。性的健康には、セクシュアリティと性的関係に対する前向きで敬意のあるアプローチが必要であり、強制、差別、暴力のない、楽しく安全な性的経験をする可能性も必要です。性的健康を達成し維持するためには、すべての人の性的権利が尊重され、保護され、満たされなければなりません」
あらゆる人が、身体、精神、社会において、個々人の尊厳を奪われることなく、自己決定ができること。その上で、「楽しく」、「安全な」性的な経験を伴うことがウェルビーイングに繋がるとされています。
また、性の専門家・研究家らによる団体「The World Association for Sexual Health(WAS)」(世界性の健康学会)は、2019年にあらゆる人たちには性的に喜びを得る権利があるとしてセクシュアル・プレジャー宣言を発表しました。
「セクシュアル・プレジャー(快感・快楽・悦び・楽しさ)とは、他者との、又は個人単独のエロティックな経験から生じる身体的および/または心理的な満足感と楽しさのことであり、そうした経験には思考、空想、夢、情動や感情が含まれる。
プレジャーが性の健康およびウェルビーイング(良好な状態・幸福・安寧)に寄与するためには、自己決定、同意、安全、プライバシー、自信、そして性的関係についてコミュニケーションしたり交渉したりする能力といった要素が重要となる。
セクシュアル・プレジャーは、性の権利の文脈で行使されるべきものであり、とくに平等と非差別、自律と身体のインテグリティ(保全・完全性・統合性)にかかわる権利、望みうる最高水準の健康および表現の自由にかかわる権利が重要となる。
人間にセクシュアル・プレジャーをもたらす経験は多様であり、(それゆえに)プレジャーがあらゆる人にとって肯定的な経験でありつつ、他者の人権とウェルビーングを侵害して得られるものでないことを保障するのが、性の権利である」
その上で、以下を宣言しています。
1. あらゆる人々にとって、差別、強要、暴力をうけることなく、楽しく安全な性的経験が可能であるということは、性の健康とウェルビーイングの基盤をなすものである。
2. セクシュアル・プレジャーの源にアクセスすることは、人間としてあたりまえの経験および主観的なウェルビーイングの一部をなす。
3. セクシュアル・プレジャーは、人権としての性の権利の基盤をなす。
4. セクシュアル・プレジャーには、多様な性的経験をする可能性が含まれる。
5. セクシュアル・プレジャーは、世界中のあらゆる場所において、教育、健康推進、サービス提供、研究、権利擁護(アドボカシー)に統合されるべきものである。
6. セクシュアル・プレジャーをあらゆる場面に組み込み、個人のニーズ、要望、現状(リアリティ)にあったものにすることが、究極的には、国際保健と持続可能な開発に寄与することになるのであり、そのための包括的で即時的かつ持続可能な行動が求められる。
私たちにできることは何だろう
いつになれば、私たちは「生きることはPleasure(喜び)である」と心の底から言えるのでしょうか。
例えば、セックスにおいても、「パートナーに嫌われてしまうかもしれない」と相手を思うばかりに本音を伝えることができずに痛みを我慢したり、世の中が言っている理想のセックスに振り回されて自分を責めてしまったり。
自分自身が喜びを得る権利を持っているのに、気づけば自分ではない誰かや社会を主語にして、自分の心地よさを考えてしまいがちです。
国や環境によって状況は異なるとはいえ、あらゆる人が生まれたときから当たり前にもっている権利を、当たり前のことだと訴え続けなければならない現状があります。
だからこそ、私たち一人一人が知り、考え、伝え、行動し続けることが大切なのでしょう。
「私の体は私のものであり、私の人生は私のものである」
そして、
「あなたの体はあなたのものであり、あなたの人生はあなたのものである。そして、自分の喜びは誰かの犠牲の上に成り立つことはない」
と。
未来ある少女たちが、自ら選択肢を選び取れるように、この社会を生きる私たちが今の選択を大切にし、彼女たちの拠り所となる存在になれたらと思うばかりです。
<SRHRや世界・日本の少女が置かれている環境について>
・児童婚についての実態(国際NGOプラン・インターナショナル)
・国際セクシュアリティ教育ガイダンス(SEXOLOGY製作委員会)
・「産む・産まない」はあなたが決めていい。性と生殖に関する健康と権利について考える #国際ガールズデー
<各種相談窓口>