生理は「自分が女であること」を突きつけられるもの。小さい頃から女として扱われることが大嫌いだと感じていた私は、初潮が訪れてからの長い間、生理に悩まされ続けてきた。(連載第1回より)

生理を止めることに成功し、ハッピーだった

生理によって過度な心理的・身体的苦痛を感じていた大学時代。たまたま始めた身体改革によって、いまいましい生理とオサラバする方法に気がついてしまう。体脂肪率が下がったことでキレが増した身体と、急激な変化により止まった生理。

「“生理はいらない”と選択することは不可能だ」と思い続けてきた。そして、毎月生理が訪れるたびに、その事実に落胆し続けてきた。

だからこそ、体脂肪率を下げることで生理を止めることに成功した私は、ものすごくハッピーだった。「“生理はいらない”と選択することができたぞ」と。毎月、ドラッグストアの生理用品コーナーでコソコソする必要もなければ、練習中に経血が漏れていないかビクビクする必要もない。こんな幸せなことはあるだろうか。

「生理がこないのは、身体がSOSを発しているから」

生理が止まってから半年ほど経ち、大学4年生になった頃。左足の内くるぶしがシクシクと傷んだ。「練習中、誰かに蹴られたっけな」最初はその程度の痛みだったので気にすることはなかった。しかし、時間が経つにつれ痛みは大きくなっていく。しまいには、歩くだけで痛みを感じるようになり、特に寝起きは尋常じゃないくらい強い痛みを感じた。

さすがにおかしい。そう感じた私は整形外科に行った。そこで、医師にこう言われた。

「疲労骨折ですね」

医師曰く、学生年代の女性スポーツ界のアスリートは疲労骨折になりやすいのだという。過度な運動や食事制限によってエネルギー不足に陥り、骨の形成にまで栄養が行き渡らないのだそうだ。医師は疲労骨折の仕組みを丁寧に説明してくれたあと、付け足すように、私に質問した。

「生理はきていますか」

きていません。そう答えた私に「やっぱりね」と医師は言った。。

「生理がこないってことはね、身体がSOSを発してるんだよ。アスリートとしての身体を作るために、生理がきていることが大事な基盤になるの」

せっかく止めることができた生理を再びお迎えしなくてはならないなんて最悪だ。アスリートと生理についての冊子を開きながら説明してくれる医師には申し訳ないが、モヤモヤが邪魔して話が全く入ってこなかった。

写真=本人提供

子宮が自分にあることも生理がくることも無駄にしか思えなかった

結局、何よりもサッカーへの優先順位が高い私は、医師の指示で筋肉量と体重を程よいバランスにまで増やした。そして、2カ月ほど経った頃、生理が再びいらっしゃった。しかも、生理痛を引き連れて。

それまで、生理痛とは無縁の人生だった。

身体的な苦痛といっても生理用品によるムレやカユミなどの不快感がほとんどで、痛みはそこまでひどくなかったのである。それが、半年以上も生理を止めていた腹いせなのだろうか。立ち上がることも不可能なほどの生理痛、何かがまとわりついているような腰の重さを味わうハメになる。

あまりの痛さに布団にこもりながら、なぜ自分がこんな思いをしなくてはいけないのかと悔しさを噛み締めた。自分が子どもを産むことなんて絶対にない。これに関しては、男性として生まれてきた人が、将来妊婦さんになると想像しないことと同じくらい可能性がないと断言できる。子宮が自分にあることも生理がくることも無駄にしか思えない。だからこその悔しさだった。

アスリートとして身体は最高の状態でありたい。

でも、生理によるさまざまな苦痛は耐えられない。

凄まじい葛藤の日々が続いた。

そんな葛藤の中、サッカー留学でドイツに渡ることに。次回、ドイツで受けたカルチャーショック、に続く。

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