「セックスレスが原因で不倫された」

「セックスレスの離婚率は高い」

「セックスレスは危険信号」

セックスレスで検索をすると、「レスは良くないもの」として扱う記事がたくさんヒットします。セックスレスに悩む人のなかにも、解消方法を調べて試した人もいるのではないでしょうか。

「いつまでも夫婦円満でいるためには、セックスレスなんてなっちゃいけない。でも、本音ではしたくない……」

今年40歳になる、結婚5年目を迎えたNさんもそんな悩みを抱えるひとりでした。もともと仲の良い夫婦だったけれど、レスをきっかけにすれ違うこともあったのだとか。しかし、現在はふたりともセックスレスを受け入れた生活をしているのだそうです。

「セックスがなくても、夫と過ごす毎日が楽しい」と語るNさん。Nさん夫妻の姿を通して、セックスのあり方を考えてみませんか?

裸にならなくても、愛情は確かめられる

ーーNさん夫妻は今年で結婚5年目になるそうですね。現在はセックスレスとのことですが、レスになるきっかけがあったのでしょうか?

きっかけは特になく、気がついたときには「私たちセックスレスかも?」という状況でした。新婚のころは「ふたりの休みが合う日曜日にはしようね」と約束していたこともありましたが、外出の予定が入ると結局しないまま月曜日を迎えて。それを繰り返しているうちに、あっという間に2〜3カ月が経っているなんてこともざらでした。

ーー現在のセックスの頻度はどのくらいですか?

半年に1回程度ですね……。でも、私はこの回数に満足しているんです。

ーーNさんがあまりセックスをしたくないのでしょうか?

そうですね、もともとあまりセックスが好きではなくて。夫を愛しているし、性欲自体はあるのですが……。私の場合、セルフプレジャーで満足してしまうんです。もちろん、セックスだからこそ得られる精神的な満足感もあります。けれど、セルフプレジャーのほうが手軽に快感が得られるので、性欲を満たすだけならひとりでする方が好きですね。

ーーセックスレスとなった現在、精神的な満足感は何で得ているのでしょうか?

毎晩、服を着たままベッドの上でスキンシップをとっています。裸になったり、挿入したりはしないのですが、その時間が私たち夫婦が愛情を確認しあう大切な時間。この時間がとても幸せです。

どちらかが我慢してするセックスだと、心はセックスレスのまま

ーー素敵な時間ですね。それでは、旦那さんはNさんの「セックスが苦手」な気持ちを尊重してくれているのですね。

いまはそうですね。でも、少し前はセックスレスで揉めたこともあるんです。

ーーどんなことで揉めたのでしょうか?

明らかにセックスの頻度が少なくなったときに、セックスレスを解消するためにふたりで話し合いました。私はそもそもセックスに積極的ではなかったので、夫に「セックスレスにならないためにセックスをしても、精神的には満たされないのでは?それは実際セックスレスだと同じだと思う」と伝えたんです。私のこの言葉を聞いて、夫は「Nにとってのセックスは、セックスレスという事実をつくらないための作業なんだ」と受け取りショックを受けたようで……。

ーーセックスに対する考えが、Nさんと旦那さんですれ違っていたのですね。その後、どう乗り越えたのですか?

お互いにセックスレスに危機感を抱いていたのですが、話し合いをして掘り下げるとふたりが求めているのは「セックス」ではなくて「愛情」だったんですよね。私はセックスはあまりしたくないけど、夫とはずっと仲良く愛し合っていたい。夫は愛し合っていることを実感したいからセックスがしたい。「愛し合いたい」気持ちは共通していたんです。

だから、スキンシップを増やして愛情を伝え合う時間を作ったところ、それが私たち夫婦にぴったりはまりました。

ーー「セックスレス」という形式に囚われずに、本質を考えたらふたりが求めるものは共通していたのですね。
そうですね。でも、最初は私も夫もセックスレスは“悪”だ」「とにかくセックスレスを解消しなければいけいない」と思っていたので、この考えに行き着くまでには時間も要しました。

Photo by Christopher Jolly on Unsplash

セックスは「贅沢な娯楽」だから、してもしなくてもいい

ーーなぜおふたりは「セックスレスはよくない」と思っていたのですか?

“世間一般的”に、セックスレスはよくないものとされているのを目にしていたからですかね……。本や雑誌、インターネット上でも「セックスレスにならないために」「セックスレスになったときの対処法」「ずっと仲良くするためにはセックスをしよう」など、セックスレスを回避する内容ばかりが溢れていましたし。一方で、「セックスレスでも仲良しでいる方法」はほとんどなくて、不安を掻き立てられました。

ーー「セックスレスはよくない」と思っていたおふたりが、セックスレスを受け入れられるようになったきっかけはなんだったのでしょうか?

これも、きっかけは特にないのですが……セックスがないこと以外は本当に仲が良かったんです。セックスレスで悩んでいるときも、夫が家庭の外、たとえば風俗や浮気をしている様子はまったくなくて。毎晩のスキンシップのときも、普段の生活でも、嘘がなく私のことを大切にしてくれる人なので、だんだんと「セックスがなくても、私たちふたりは仲良くしていける」と自信を持てるようになったんだと思います。

ーーありがとうございます。最後に、Nさんが考える「セックス」とはなんでしょう?

「贅沢な娯楽」ですかね。娯楽だから、タバコやお酒と同じようにしたい人はしたらいいし、したくない人はしなくていいと思うんです。夫婦の数だけ「娯楽」の形もあると思います。その中に、選択肢のひとつとして「セックス」があるんじゃないかな。セックスでもいいし、キスでもいい。映画を見るとか、手をつないで散歩をするとかでもいいと思います。ふたりが心から楽しめる娯楽の形を探していけるといいですよね。

**

「セックスって必要ですか?」

セックスレス大国とも言われ、深刻な少子化も問題視されている日本。コロナの影響を受け、人とのふれあいにも変化があったのではないでしょうか。

仕事、恋愛、家族、育児…それぞれの社会の中で生きるわたしたち。

あなたにとって、セックスは必要ですか?

本特集では、みなさんからたくさんの意見が寄せられました。

セックスをしたい人・したくない人、必要な人・必要でない人、どんな人も、世間の当たり前に囚われることなく、自分らしい選択ができる社会になることを願っています。

New Article
新着記事

Item Review
アイテムレビュー

新着アイテム

おすすめ特集