リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(Reproductive Health/Rights)とは、性や出産をするかどうかに関して、人々が身体的・精神的に健康でいられる権利のことです。
リプロダクティブ・ヘルス/ライツとは
リプロダクティブ・ヘルス/ライツは、以下のような状態にある権利です。
・安全で、安心できる性生活を営める
・性や出産に関する意思が尊重され、どんな決定であっても周囲から差別や強要、暴力などを受けないこと
・出産する場合、出産時期や人数について自分たちの意思で決定できる
・新生児が健全に育てられること
リプロダクティブ・ヘルス/ライツの基礎となる考え方は、1960年代後半から始まった「女性の健康」運動からはじまったといわれています。そして、1968年の第一回国際人権会議(テヘラン会議)で、女性の人権の重要性が議論されました。
その後、1994年の国際人口開発会議(カイロ会議)でリプロダクティブ・ヘルス/ライツが提唱され、広く認識されるようになりました。
その背景として、世界の多くの人々がリプロダクティブ・ヘルス/ライツをもてていない状況だったといえます。
リプロダクティブ・ヘルス/ライツの現状
リプロダクティブ・ヘルス/ライツが提唱されて25年以上が経ち、世界の現状はどう変化したでしょうか。
2019年にケニアで開かれたナイロビサミットにおいて、世界全体で改善したこととして「妊産婦死亡の44%減少、約400万人の妊産婦死亡が防げた」ことが発表されました。
しかし、「リプロダクティブ・ヘルス/ライツが浸透しているとはまだ言い難く、世界のすべての国、国連・国際機関、企業、市民などが協力していく必要がある」とも語られています。
そして、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの深刻な課題である3つについて、目標が発表されました。
・家族計画サービスへのアクセスが満たされない状況をゼロに
・予防可能な妊娠・出産による妊産婦の死亡をゼロに
・児童婚などの有害な慣習とジェンダーに基づく暴力をゼロに
日本でのリプロダクティブ・ヘルス/ライツの取り組みについて
日本におけるリプロダクティブ・ヘルス/ライツの取り組みについては、内閣府 男女共同参画局の施策として紹介されていますので、一部を紹介します。(※生涯を通じた女性の健康支援|男女共同参画局)
リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する意識の浸透
リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、男女が共に正しい知識を得て、高い関心をもつように以下の施策を推進しています。
・女性は妊娠・出産の可能性があり、男性とは異なる健康上の問題に直面する。こうした問題について男性や社会全体の認識を高めていく
・医療従事者に対して、リプロダクティブ・ヘルス/ライツの研修を行う
・児童が性に関する知識や生命・人間尊重、男女平等に基づく異性観などを身につけられるよう、性教育を充実させる。そのために必要な教職員への研修を実施、産婦人科医、助産師、保健師などとも連携する。
・社会教育においても、親や青年を対象としてリプロダクティブ・ヘルス/ライツの教育充実を推進。性行動の低年齢化に伴い、思春期の男女が正しい知識を入手できる施策を推進する。
女性の健康の保持増進対策の推進
以下の施策を通じて、女性の健康の保持増進を行っています。
・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの視点から、女性が自身の健康状態に応じて、的確な自己管理ができる健康教育や相談体制を確立する。
・女性のライフステージ(思春期、妊娠・出産期、更年期)に応じた課題に対応するための適切な体制の構築
リプロダクティブ・ヘルス/ライツが浸透し尊重されると、多くの人々が健やかに人生を送ることにつながります。男女ともに正しい知識を身につけ、高い関心をもっていきましょう。