毎年10月は「乳がん月間」だ。乳がんの早期発見のシンボルである「ピンクリボン」にちなんで「ピンクリボン月間」とも呼ばれる。

この期間には乳がんの正しい知識の普及啓発、検診の早期受診を勧奨する目的に行われる世界規模の啓発キャンペーンが行われる。日本でも、企業や自治体などが建物をピンク色にライトアップしたり、シンポジウムやウォーキングイベントなどを行っている。

ピンクリボン月間にちなんで、乳がん検診の実態や企業の取り組みなどについて紹介する。

コロナ禍で健康診断やがん検診の受診者の減少が危惧される


ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニーが、2020年10月に実施した「健康診断・人間ドック、がん検診に関する意識調査(対象:全国の20~79歳の男女15000人)」によると、「健康診断・がん検診の受診意向」に関して

約30%の人が「2021年度には健康診断やがん検診の受診を控えたい」と回答している。がん検診は、過去3年に受診歴のある人でも「控えたい」と回答した人が4人に1人に及んだ。

なお、健康診断やがん検診を2020年度に受診しない理由は「コロナの感染リスクがあるから」との回答が多く、新型コロナウイルスの影響で受診を控える人が多いことが調査からわかった。2020年度の乳がん検診の受診率は「受診済み」「受診予定」を合わせても29.6%にとどまり、2019年度の47.4%を大きく下回った。

アメリカではコロナ禍での乳がん検診の遅れや治療の中断によって、今後乳がんで死亡する女性が増加するとした分析結果も医療ジャーナルで発表されている。

女性が必要な検査すべて行った女性はわずか4.8%

株式会社ファムメディコが行った調査では、女性の罹患率・死亡率が高い乳がん・子宮がん・大腸がん検査に加えて、子宮内膜症や子宮筋腫などを調べる経腟超音波検査までのすべてを受診したことのある人の割合はわずか4.8%に留まる結果に。 

検査項目別でみると、経腟超音波検査やHPV検査、大腸内視鏡検査などの、企業や自治体の健診では補助の対象外となっているものが、特に受診率が低い傾向にあることがわかった。

日本における乳がん患者の発症率は増加傾向にあり、2017年には約9万人で、これは女性がかかるがん全体の約2割を占めている。生涯で乳がんを罹患する人は9人に1人と言われており、日本人女性に最も多い悪性疾患である。ファムメディコの調査ではこれを「知っている」と回答した人は約3割に留まったという。

子宮頸がんは性交渉を通してヒトパピローマウイルスに感染することが原因で発症するがん。ヒトパピローマウイルスは性交渉の経験がある女性の8割が生涯で一度は感染するといわれているくらい身近なウイルスとされている。子宮頸がんは20代後半から罹患数が増え、40代には罹患数のピークを迎える。

ファムメディコの調査では「子宮頸がんの主な原因がヒトパピローマウイルスの感染によるものだと知っている」と回答した人は4割弱に留まり、乳がんと同様に、女性特有の疾患における発症率やメカニズムを理解している人は3人に1人程度と少ないことがわかった。

ビームスなどの企業もピンクリボンキャンペーンを実施

ピンクリボン月間に合わせて独自にキャンペーンを実施する企業をいくつか紹介する。

YOU検診で、初めての検診を後押し

画像提供=クレアージュ東京

2021年3月より女性専用クリニック「クレアージュ東京 レディースドッククリニック」を運営する 株式会社ファムメディコは、初めての健診を受診するきっかけづくりや後押しとなるような取り組み「ファーストYOU健診」を展開している。前述のように「YOU健診」では、子宮・大腸・乳房を対象とした検査の総称で、女性に多い疾患を総合的チェックできる。

ビームスもブレスト・アウェアネスを呼びかけるキャンペーンを実施

株式会社ビームスも店舗での取り組みを展開している。2021年10月1日から31日まで、乳がんに関する理解とブレスト・アウェアネスを呼びかけるピンクリボンキャンペーンを実施している。

国内138店舗の397の試着室の鏡にセルフチェックガイドを掲出する取り組みは、2017年から継続しているという。今年はセルフチェックガイドを掲載した入浴剤を来店客に配布し、日々のバスタイムに胸の状態を確認する習慣を提案している。

※ブレスト・アウェアネスとは「乳房を意識する生活習慣」のことで、女性が自分の乳房の状態に日頃から関心を持つことにより、乳房の変化を感じたら速やかに医師に相談するという正しい受診行動を身につけるための基本行動。

乳がんサバイバーに医療アートメイクの無料サポートも

Biotouch Medical Clinicは、乳がんサバイバー支援として医療補助アートメイクを先着30人限定で無料サポートする。乳がん手術後の乳輪乳頭カモフラージュや縫合痕などの肌再生とカモフラージュ、抗がん剤治療前後の眉やアイラインのアートメイクを対象としている。

厚生労働省では40歳以上が対象

画像=厚生労働省

ほとんどの市町村ではがん検診の費用の多くを公費で負担しており、一部の自己負担でがん検診を受けることができる。なお、職場や加入する健康保険組合などでもがん検診を実施している場合がある。

乳がんは早期で発見されれば助かる可能性が高いがんとされています。自分には関係がないと思わずに、これを機会に検査を受けてみてはいかがでしょうか。

(参考:各自治体のがん検診窓口はこちら

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