アメリカ発のプレジャーテックブランド『Lora DiCarlo』(ローラ ディカルロ)の3アイテムが日本で発売開始されました。2021年1月8日に発売を記念して、日本総代理店であるラブピースクラブ主催によるローンチイベントがオンラインで行われました。
CES2019で受賞を取り消され、議論を巻き起こす発端に
Lora DiCarloは、フェムテック業界で日本発売前から注目を集めていた話題のブランドです。その理由は、2019年のCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)での「事件」。CESは毎年1月にラスベガスで開催されている最新家電が集まる世界最大級の展示会です。
CES2019で、Lora DiCarlo初の女性向けプレジャーアイテム『Osé』が、ロボティクスカテゴリでイノベーション賞を受賞。しかし、女性向けのセックストイとわかった途端に、「カテゴリに合わない」「不道徳で卑猥」といった理由で受賞・展示が取り消されました。
その後、CESの運営団体であるCTAと話し合いがもたれ、再受賞する流れとなりました。CESでは、過去に男性向けセックスロボットなど男性向けデバイスは問題なく展示されていたこともあり、なぜ女性向けのプレジャーアイテムだけ「不道徳で卑猥」と言われるのか?女性のセクシュアルウェルネス差別に対する議論が巻き起こったのです。
そんなニュースを先に耳にしていたので、「あのLora DiCarloが日本にやってくる!」と胸が高鳴りました。
創業者がブレンドオーガズムを体験したことがきっかけ
ローンチイベントでは、ブランドマネージャーのJulieさんが、開発秘話やコンセプトを詳しく説明しました。デバイス開発は、創業者のLoraがブレンドオーガズムを体験したことから始まります。
ブレンドオーガズムとは、女性の性感帯であるクリトリスとGスポットを同時に刺激することで起こる女性特有のオーガズムのこと。このブレンドオーガズムを再現するためのデバイスとして商品が開発されていきます。
Lora DiCarloは、人間が触れている感触を再現するマイクロロボティクスと生体模倣技術を備えていますが、バイブレーション(振動)機能は搭載されていません。
筆者はプレジャーアイテムのレビューを書くことが多いのですが「ローターではイケるけど、あの振動刺激をセックスでパートナーが再現するのは無理ですよね」という声や、逆に「おもちゃの振動では、パートナーに触られているような感覚を味わえない。指や舌の感触を思い出しながらしたいのに…」という声も聞きます。
プレジャーアイテムと人間の愛撫の間にある溝を埋めてくれるのが、まさにLora DiCarloだとピン!ときました。それでは、Lora DiCarloの商品ラインナップを見てみましょう。
1. FILARE(フィラーレ)
ひとつめのFILARE(フィラーレ)は、手のひらサイズのローター。表面を覆うシリコンの膜の下に回転する2つのボールがあり、ボールの高さが上下しながら動きます。回転は右回り、左回り、左右の回転ミックスと切り替えることができてスピードは10段階。舌先や指先でクリトリスを転がすような動きを再現してくれます。ウォーターベースの潤滑剤を併用するとよりリアルな舌使いを体感できそう。
2. BACI(バチ)
ふたつめのBACI(バチ)は、近年人気のクリトリス吸引系アイテム。他社商品と異なるユニークなポイントは、外陰部の皮膚の下に埋もれているクリトリス複合体を刺激する部分がついていること。
はい、ここで「皮膚の下のクリトリス複合体…?」となった方もいると思いますので、ちょっと解説を挟ませてください。
私たちが一般的にクリトリスと呼んでいるのは、外陰部に見える突起部分。ですが、実はクリトリスは2本の脚と2つの海綿体が連なっています。体内に埋もれている部分もあわせてクリトリス複合体と呼びます。目に見えるクリトリスは解剖学的には「氷山の一角」なんです。
BACIは、島状に突起した部分を大陰唇の内側にはめ込み、吸引口をクリトリスに当てることで、クリトリス複合体にアプローチするという解剖学に基づいて作られている画期的なアイテム。
3. Ose2(オセツー)
最後に紹介するのはOse2(オセツー)。クリトリスとGスポットへの異なる刺激でブレンドオーガズムに導きます。クリトリス部分は、舌や唇の動きを再現する吸引系の刺激。Gスポット部分は、腟壁を指で擦るような動き。吸引部と挿入部の中間部分は、フレキシブルに動かせます。
折り曲げたり、角度を変えたり、まっすぐ伸ばしてクリトリスだけ、Gスポットだけとパーツごとに使うことができます。クリトリスとGスポットの両方を刺激できるように自分の体の構造に合わせて微調整できるのがとてもありがたい。
「気持ちいい場所はみんな違うからね」と体の構造の個人差に配慮したOse2は、女性が自分の体のプレジャーの源を発見し、体験するチャンスを与えてくれる冒険キットのようです。
クイックオーガズムよりも、週末にゆっくりと時間をかけて自分の体とプレジャーに向き合うためのトイ
Lora DiCarloのアイテムは、どうやって使うのか、説明書を読んでいくうちに、女性が快感を感じるメカニズムを解剖学的に学ぶことができるのも素晴らしいと思います。この記事を読んだだけでも、クリトリス複合体やブレンドオーガズムについて知識を得られましたよね。
ブランドマネージャーのJulieさんは、サクッとイクためのクイックオーガズムを目的としたアイテムを「weekday(月曜から金曜日の)セックストイ」と表現していました。Lora DiCarloのアイテムは、「週末にゆっくりと時間をかけて自分の体とプレジャーに向き合うためのweekend(週末の)トイなんです」とお話されていたのが特に印象的でした。
自分自身を振り返ってみると、プレジャーアイテムを紹介するとき「○○秒でイケる!」「すぐイケる」とオーガズムまでいかに時短できるかに着目していたので、目からウロコがポロポロとこぼれ落ちました。
自分自身を探求するためのプレジャートイ、その発想が女性のセクシュアルウェルネスを肯定し、サポートしてくれるようで、Lora DiCarloの温かさと情熱を感じるローンチイベントでした。
まだしばらくおうち時間が長引きそうな2021年、自分を探求する冒険キットを手に取って、weekendセルフプレジャーを体験してみませんか?