「生理がくるのが早い」「2~3カ月生理がこない」など、更年期になると生理周期にも変化が起きます。更年期の生理周期の変化やその理由、更年期障害について紹介します。
更年期とは
更年期とは生理が終わる「閉経」前の5年、閉経後の5年の約10年間のことを指します。日本人が閉経をむかえる平均年齢は約50歳なので、目安としては40代後半から50代前半が更年期にあたります。
更年期になると卵巣機能が低下し、女性ホルモンのバランスが不安定になります。その影響で、生理の周期がこれまでとは変化していくのです。
閉経に向けて、生理周期はどう変化するか
閉経までの生理周期は、以下のように変化します。
- 正常な生理周期
生理周期が24日~38日で、規則的に生理がくる
- 頻発月経や経血量の増加・減少
生理の周期が23日以内になったり、経血の量が増えたり減ってくる
- 無排卵月経
生理の一部が、無排卵月経になる
- 稀発月経
生理の周期が、2~3カ月に一度になる
- 閉経
生理がこなくなって1年以上たつ
このように、閉経が近づいていてくると生理周期が変化するほか、だらだらと出血が続いたり、不正出血などが起こる場合もあります。
不正出血は女性ホルモンバランスの乱れが原因であることが多いですが、なかには以下のような病気が原因の場合もあります。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 子宮腺筋症
- 子宮頸がん
- 子宮体がん、など
不正出血が気になっている人は、「不正出血の原因と治療(医師監修)」の記事も確認してみてください。
更年期症状と更年期障害の違い
更年期になると、以下のような不調が起こります。すべての症状が現れるとは限らず、いくつかが同時に現れたり、日によって症状が違うこともあります。
- 首や肩のこりがひどくなる
- 疲れやすくなる
- 頭痛
- ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり・発汗)
- 腰痛・関節痛
- 不眠
- イライラ
- 動悸・息切れ
- 気分の落ち込み
- めまい
女性ホルモンの低下が原因でおきる症状は「更年期症状」と呼ばれます。さらに、生活や仕事に支障がでるほど症状が重い場合は「更年期障害」と呼ばれます。
症状が重い場合は、婦人科を受診しましょう。症状に応じて、漢方や減少したエストロゲン(女性ホルモン)を補充するなどの治療が行われます。更年期障害の治療や対処法については、「更年期障害ってどんな症状?原因と対処法を解説します(医師監修)」の記事でくわしく説明しています。
閉経前後の身体の変化
更年期症状のほかに、以下のような変化が起こります。
膣の変化
膣の粘膜が弾力を失うため、膣の乾燥や違和感がでたり、性交痛を感じたりすることがあります。
コレステロールや中性脂肪の値が上がる
エストロゲン(女性ホルモン)の低下によって体の代謝が悪くなるため、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪量が上昇すると考えられています。
骨密度の低下
エストロゲンは骨量を維持する働きがあります。エストロゲンが急激に低下することで骨密度が低下するため、骨粗しょう症になったり骨折しやすくなるのです。
上記の変化により、閉経後の女性は高血圧症や高脂血症、骨粗しょう症などのリスクが上がります。くわしくは、「閉経後に気をつけたい病気(医師監修)」の記事で説明していますのでご確認ください。
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閉経が近づく更年期になると、さまざまな変化が起こります。症状は人間関係やストレスなどの精神的な原因、家庭環境などにも左右されるため個人差が大きいです。体調の変化を気づかいながら、なるべくストレスをためないように過ごしてください。もし、気になる症状がある場合は、早めに婦人科を受診しましょう。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。