閉経ーー。
もう生理がこなくなる。あの煩わしかったものから解放されるのはどんな気分なのだろうか。
寂しさを感じる人もいるし、第二の人生としてこれからが楽しみという人もいる。同時に更年期障害の辛さもあると聞く。
この連載では、閉経について、経験者に語ってもらう。
今回は57歳で閉経した60代前半の方です。
「1年なかったら閉経です」と言われ
私は57歳で閉経しました。49歳の頃から生理不順になり、閉経前後のいわゆる更年期には、いくつかの変化がありました。
まず怠さと疲労感です。朝起きるのが辛く、起きてからも体が重だるくて疲労感が抜けない。常にボーッとしてしまい、掃除も料理などの家事が苦痛に感じられました。そんな自分が許せず、罪悪感でいっぱいになる……。この悪循環がすごいです。
また、めまいがしたり、電車の中など人の多いところで、滝のように汗をかくという症状もありました。寝ている間も汗がひどくて、ひと晩に4,5回着替える、寝付けないなど不眠に悩むようになりました。
ほかにも、精神的に不安定になり、心のコントロールが難しくなりました。ふとしたことで理由もなく無性に寂しくなったり、悲しくなったり。すぐイライラしてしまい、今まで気にならなかった家族や同僚の言動が不愉快に感じはじめたのです。
20代の頃からずっと24日周期4日間という短期型の月経でしたが、50代後半頃から周期が乱れ始め、婦人科外来に通いました。とくに病気ではなかったのですが、その後も生理不順はなかなか治らず、2カ月生理がなくて「閉経?」と思ったら来たりの繰り返し。
最後は2カ月以上来なくなりました。検査の結果、「ホルモン値が下がっているので1年なかったら閉経です」と言われ、そのまま生理が再開することなく現在に至っています。
クリニックに通って、悩んでた症状も改善
治療としては、睡眠外来で睡眠導入剤をもらい、またその際にホルモン剤も処方してもらうことにしました。1カ月続けると、終わったと思っていた生理が一時的に復活し、悩んでいた不眠もやや改善しました。
閉経後はホルモン剤のおかげか汗をかく症状も治まって、それに伴い不眠もよくなってきました。メンタルのコントロールも以前ほど大変ではなくなってきました。
初めは根本的によくなるのか疑問に感じたり、そもそも自分が更年期で病院に掛かっているということ自体に抵抗があったのですが、日常生活をしっかり送れるようになるのが一番だと思います。
もし治療に時間が掛かったとしても、何より「専門科に相談したのだから大丈夫」という安心感を得られることが大きい。少しでも日常生活に支障があったら、医師に相談してみるのが良いと思います。
閉経にはポジティブな変化も
閉経には良い側面もありました。まず生理がこなくなることでとにかくラクになりました。私の場合、生理周期が短かったため、毎月ほぼ生理前・生理中・生理後なのでいろいろ気になって行動が制限されてきました。
今はそれがなくなり、温泉通いやスポーツ(テニス、水泳)なども、気兼ねなく楽しめるようになりました。
生理不順の時期は、いつ来るかがわからないので常にバッグに生理用品を準備していました。周期がバラバラで、もう終わりかと思うと久々にやってきたり、油断がなりませんでした。
周りの人たちもやはり、周期がバラバラで1カ月に2回来たり、3カ月振りにやってきたりを何度か繰り返して時間をかけて終わると言っていたので、「気長に構えたほうが良い」と思うようにしました。
更年期・閉経は、ちょうど子育てから手が離れる時期と重なる人が多いので、「さぁ、今から自分のことをしよう!」と肯定的に捉えることもできるのかなとも思っています。
生理が終わる。喪失感から一歩前へ
生理は女性の象徴という見方もあり「生理がなくなると女性じゃなくなるようで抵抗がある……」と感じる人もたまにいると聞きます。
でも個人的にはそんなことはないと思います。「女子」の「子」の部分は子どもを作ること、つまり妊娠する可能性があるということだとすれば、生理がなくなって妊娠する可能性がなくなると、この「子」が取れて女だけになる(こじつけですが)。
つまり生理がなくなってからが本物の「女」になれる、とポジティブに捉え、今までなかなかできなかった旅行やスポーツなどにも打ち込めると感じています。
生理は終わってしまえば、それにともなう厄介なことや不快感がないということ。喪失感による「哀しい」から一歩前へ進んで、「生理のために我慢していた○○ができる」「もう煩わされないですむ」と切り替えていこうと思います。
ランドリーボックスでは特集『#閉経エトセトラ』を始めました。
約40年、向き合ってきた生理。
そういえば、初潮はお祝いされるけど、なぜ閉経は祝わったり、お疲れ様と伝える機会がないんだろう。
欧米では、閉経や更年期を「change of life」と言うらしい。
人生の転機。
閉経を迎え、生理の煩わしさから解放されたと喜ぶ人もいれば、女性が終わるようで寂しいと感じる人もいる。
でも、ただ一言「お疲れさま」と自分と向き合うきっかけがあってもいい。
ありがとう、私のカラダ。これからもよろしくね。
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