「生理の前後に茶色い出血がダラダラ続く」「生理とは関係なく、茶色い出血がある」そんな悩みがある人のために、茶色い出血の原因や症状、婦人科受診の目安を説明します。
茶色い出血がある原因はさまざま
茶色い出血が起きたときに考えられる原因はいくつかあります。
病気以外の原因で、茶色い不正出血がある場合
生理の経血が茶色い場合は、以下のような可能性があります。
- 生理の始まりや終わりで、出血量が少ない
生理の始まりたてや終わりのときだけ経血が茶色い場合は、あまり心配ありません。
なぜなら、生理時に剥がれ落ちる子宮内膜は一気に排出されず徐々に体外へ出ていくため、生理が始まったばかりのときは出血量が少なく、経血が茶色になることがあるからです。同様に、生理の終わりも出血量が少なくなるので、茶色になることもあります。
- 過少月経
通常の生理は8日以下とされていて、1回の経血量は20~140ccです。経血量が20cc未満の少場合は、過少月経とよばれます。経血量は判断が難しいですが、経血量が少なく経血が茶色の付着程度だけの場合は過少月経の可能性があります。
過少月経は、女性ホルモンのバランスの乱れや、多能性卵胞症候群、黄体機能不全などの卵巣の病気で発症するといわれています。
また、初潮を迎えたばかりの思春期の女性や閉経が近い女性は、女性ホルモンの分泌が乱れやすいため過少月経になることがあります。
- 排卵期出血
生理と生理の間の排卵期に、エストロゲンという女性ホルモンが変動することで、少量の出血がおきることがあります。何度も出血する場合は他の病気が隠れていることもあるため、婦人科を受診しましょう。
- 着床出血
着床出血とは、妊娠に伴う出血のことです。
妊娠3~4週ごろに精子と卵子は受精して子宮へと移動し、着床します。このときの出血を「着床出血」と呼びます。生理予定日の1週間前から生理予定日ごろに少量の出血が数日だけ起こった場合、着床出血の可能性があります。
ただ、妊娠すると必ず着床出血が起こるわけではありません。茶色い出血が着床出血かどうかの自己判断は難しいです。妊娠の可能性があり茶色の出血が出た場合は、生理予定日の1週間後以降に妊娠検査薬で調べる、産婦人科を受診するなどして確認してみてください。
妊娠検査薬の使い方の注意点などは、「妊娠検査薬を使うタイミングはいつがいい?正しい使い方や注意事項を解説(医師監修)」の記事で紹介していますので、参考にしてみてください。
病気が原因で、茶色い不正出血がある場合
茶色い不正出血の原因となる病気には、以下のようなものがあります。
- 膣炎
性感染症によって膣炎が起こり、出血している可能性があります。
- 子宮がん
子宮がんには、子宮体部にできる子宮体がんと、子宮頸部にできる子宮頸がんの2種類があります。子宮がんの症状として、不正出血がみられることがあります。
- 子宮頸管ポリープ
子宮頸管ポリープとは、子宮の入口にできるポリープのことです。自覚症状はないことが多く、性交時やスポーツなど激しい動きをした際に出血することがあります。ほとんどが良性の腫瘍ですが、まれにがんが隠れていることがあり、切除して病理診断を行うこともあります。
- 子宮筋腫
子宮筋腫とは子宮にできる良性の腫瘍のことで、筋肉の塊(かたまり)です。がんのような悪性腫瘍ではありませんが、貧血・生理痛・不妊症の原因になることがあります。
また、上記以外にも低用量ピルの服用や、IUSの挿入などで不正出血が起きる場合があります。その場合はかかりつけの婦人科で相談してみましょう。
婦人科を受診する目安
以下のような場合は病気が原因で出血している可能性があるので、早めに婦人科を受診してください。
- 生理以外のタイミングで出血がある
- 生理の前後に茶色の出血があり、合計で8日以上続く
- 経血量の少なさ、茶色い経血以外に、おりものの異常や痛みなどの症状がある
婦人科での治療
茶色い出血の原因によって治療法は異なります。
女性ホルモンバランスの乱れが原因の場合は、女性ホルモン剤の投与や低用量ピルなどの治療が行われます。
また、子宮筋腫などの病気が原因である場合は、まず病気の治療をします。病変部のみを取り除く方法と子宮を摘出する方法がありますが、妊娠の希望や再発のリスクなどを考慮して医師と治療方針を決めていきます。
経血が茶色でダラダラ続く、生理以外のときに出血がある場合、さまざまな原因が考えられます。自己判断をすると、病気を見逃してしまう可能性があるので、受診する目安に当てはまる症状がある場合は、婦人科を受診してください。
監修者プロフィール
淀川キリスト教病院 産婦人科専門医
柴田綾子
2011年群馬大学を卒業後に沖縄で初期研修。世界遺産15カ国ほど旅行した経験から女性や母親を支援する職業になりたいと産婦人科医を専攻する。 総合医療雑誌J-COSMO編集委員を務め、主な著者に『女性の救急外来 ただいま診断中!』(中外医学社,2017)。産婦人科ポケットガイド(金芳堂、2020)。女性診療エッセンス100(日本医事新報社、2021)。明日からできる! ウィメンズヘルスケア マスト&ミニマム(診断と治療社、2022)。