写真=本人提供/Laundry Box

吸水ショーツという超便利アイテムと出会ってしまうと、その次に気になってくるアイテムは月経カップではないだろうか。吸水ショーツをはじめて穿いたときの「いままでの憂鬱な生理はなんだったの?」というあの感動をまた味わいたい。

そんな私にとっての選択肢が月経カップだった。

人によっては「私には合わなかった」という意見もある。少なくとも私の周りでは、百発百中で「吸水ショーツ最高!もう手放せない!」と、ポジティブな反応ばかりなのに対し、月経カップではちょこちょこと「合わなかった」という声を耳にする。

これはどうやら試してみる価値がありそうだ。

使い心地が良ければ、ダンサーやアイドルなど、私の周りにいる“踊る女たち“を救う希望の光になるかもしれない。

月経カップは「生理版・コンタクトレンズ」

数カ月使ってみての実感として、月経カップを表すのにいちばん適している言葉は「生理版・コンタクトレンズ」じゃないだろうか。そう思って探してみたら、私以外にもこう表現している人たちが結構いた。

そう、月経カップは「え?こんなもん身体に入るの?」という最初の不安も、慣れてからの利便性もちょうどコンタクトレンズと同じくらいなのだ。

つまりコンタクトレンズと同じように「生活にぜったい必要」という人もいれば「別に無理に使う必要はない」という人もいるだろう。私自身はというと「これは職業柄、絶対手放せないアイテムになる……」とひしひしと感じた。

お手入れには煮沸消毒できるポットが便利

私が購入したのは韓国のセクシャルウェルネスブランド『EVE』から出ている月経カップと、月経カップ用消毒ポット。

写真=本人提供

自分に適したサイズ感はよく分からなかったが、平均サイズとのことなのでSサイズを購入した。結果的にはこのサイズでちょうど良かったのだが、使いはじめた当時は膣に入れる行程でどうしてももたつき、「もうひと回り小さいminiサイズにすべきだったか!?」と慌てた。ちなみに経産婦の方はEVEではLサイズがおすすめらしい。

その月の生理の使いはじめと使いおわりの際にはカップを煮沸消毒しなければならないらしいのだが、断然おすすめなのがこの月経カップ用消毒ポットである。

通常は鍋にお湯を沸かして数分煮沸しなければいけないが、月経カップを消毒するためだけの専用小鍋を用意するなんて煩わしすぎる。そもそも沸かした鍋を数分間、気にかけなきゃいけないこと自体が面倒すぎる。

このシリコン素材のポットなら水とカップを入れて電子レンジで3分(700W)待つだけで煮沸消毒ができる。ちなみにその際、蓋は密閉せずに半分以上開けた状態で加熱しないと「ポーーン!」と音を立ててお湯が飛び散ることがあるので注意。私はやりました。

月経カップの使い終わりには、次の生理までこのポットに入れて保管することもできる。

「こんなもん本当に入るのか?」と疑ってしまった

さて煮沸消毒ができたらいよいよカップを膣に挿入。

入れる前にカップを折り畳むのだが、それにも4つくらい種類があって逆に混乱するけど、私はいちばん簡単そうな「パンチダウン」を選択。ちょっと先端が尖って小さくなる畳み方なので初心者向けのような気がする。

写真=Laundry Box

私が試したのは生理2日目だったので経血は多め。タンポンもそうだけど、経血が多い日のほうが潤滑剤代わりになって挿入自体はしやすいんだよね。手に血は付くけど。

それでもはじめてのときは「こんなもん本当に入るのか??」と懐疑的になってしまった。いざとなりゃ新生児の頭だって通れるくらい伸縮性のある穴なんだから入らないわけない、と自分に言い聞かせなんとか挿入。

カップユーザーのレビュー通りに、挿入後に少しカップを回転させるとなんかいい感じに膣の中が密閉空間になったような感覚があった。なるほど、これでズレないし漏れないわけか。

とはいっても、この「密閉空間になった」という実感は何度か使うようになってから得られた。最初は挿入角度がよくなかったのか、それとも挿入後の“ひねり”がなかったからなのか、少し漏れてしまった。吸水ショーツを穿いていたので問題なかったけれど。

でもその漏れもカップの容量を超えて溢れてしまったわけではなく、単純にカップのズレたところが問題だったらしい。使ってみてよく分かったが、「カップのキャパオーバーで溢れる」という現象はほとんど起こらない。最初はおっかなびっくり、2〜3時間でカップを取り出し経血量を確認していたが慣れれば最大で12時間まで入れっぱなしでいいものもあるそうだ(※月経カップの種類によって差異あり)。

写真=本人提供

ナプキンやタンポンのようにトイレの度に替えなくてはいけない、ということがないのは想像以上にストレスフリーだ。とはいえ、経血量は個人差があるので慣れるまではこまめにチェックするほうがおすすめ。

自分の経血の状態を確認できるのもいい。あと、吸水ショーツと同じく月経カップはにおいがほとんど気にならないところもとても嬉しい。

月経カップは案外、付けるときよりも外すときに動揺する人が多いかもしれない。これも仕組みを考えれば何も怖いことはないはずで、カップ先端部分の根本を押してまず空気を抜けばフッと抜ける。

万が一奥に入ってしまったところで身体の構造上、カップが体内の奥まで行ってしまい2度と出てこない、なんてことはないので落ち着いて抜いてみよう。あくまでもイメージだが、出産っぽくいきむのがコツだ。

なかなかトイレにいけない仕事の人に知ってほしい

数カ月使ってみて、まずダンサーやアイドルなど人前で激しく動く職業の人には絶対におすすめしたい。

特にアイドルはワンマンライブともなると2〜3時間ステージ上にいることになる。早着替えなどで捌けたとしてもトイレでナプキンやタンポンを換えている時間はない。そんな状況でパフォーマンスをしなくてはいけないのはどれだけヒヤヒヤすることだろう。

そんな話を友人にしたら、美容師の彼女も元保育士の彼女も口を揃えて「もっと早く月経カップを知りたかった」と言っていた。

Photo by Oana Cristina on Unsplash

一日中立ち仕事の美容師も、何時間も子どもたちを相手にする保育士もみんなトイレに行くタイミングをなかなか取れなくて困っていたのだという。そう考えると月経カップが必要な職業って想像以上に世の中に多いのかもしれない

幼い子どもを抱える母親は、お風呂上がりに自分の体を拭く暇もないというので、月経カップはそんなお母さんたちにとっても便利かもしれない。

逆に経血量がそこまで多くなく、トイレにもすぐ行ける環境にいる人は無理に月経カップを使わなくてもいいのでは、とも思った。私も経血量の多い2〜3日目は吸水ショーツと併用してカップを使っているが、それ以外の日は吸水ショーツのみを穿いている。

はじめは吸水ショーツと併用することをおすすめしたいが、慣れてくるとソングタイプ(Tバック)のショーツでも一切漏れずに過ごせるそうだ。そうなるともう本当に「生理とは」と概念がひっくり返る気がする。

そのほかに、カップとの併用をおすすめしたいプロダクトが同じくEVEから出ている。フィンガーカバーだ。カップの着脱時はまず手指を清潔に洗うことが必須。トイレの個室に洗面台があるところはいいのだが、外出先だとそういう環境ばかりではないと思う。

その際にはこのフィンガーカバーを人差し指と親指に付ければ手洗いなしでも清潔にカップの着脱が可能なのだ。個別包装なのでポーチにいくつか忍ばせておきたい。

《良いところ》

  • 漏れの心配が圧倒的に少ないので、動けるし寝転がれる
  • トイレの度に交換しなくていい
  • シリコン素材で水に強いため、お風呂やプールでつけっぱなしでもOK
  • 経血のにおいがナプキンやタンポンほど気にならない
  • ゴミが出ない

《気になるところ》

  • 慣れるまでは着脱に戸惑う人がいると思う
  • 着脱時に手指に経血が付くのでトイレに手洗い環境がない場合はフィンガーカバーやウェットティッシュなどが必要
  • 経血が少ない場合は膣に入りづらい人もいると思うのでジェルなどを使うほうがいいかもしれない

「慣れるまではなかなか怖い、慣れれば超快適!」というところまで、まさにコンタクトレンズのような月経カップ。必要としている環境の人は、思った以上に周りにいるのかもしれない。

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