ネット検索して調べてみても、正しい情報なのか判断が難しいところ。間違ったまま自己流のケアを続けると、身体に悪影響を及ぼすこともあります。

そこでランドリーボックスでは、「なおえビューティークリニック」の婦人科医・喜田直江先生を直撃。デリケートゾーンの臭いの原因と対策について、詳しく話を聞きました。

デリケートゾーンの臭いの原因と対策

—— 人にいえない悩みとして、デリケートゾーンの臭いがあげられます。どうして臭うのでしょうか。普段のケアはどうすればいいでしょう?

臭いが発生する場所は、膣外と膣内があります。もっとも大きな原因は、外側がきちんとお手入れできていないこと。デリケートゾーンをしっかり洗えていたら臭いを改善できるというパターンがほとんどです。

基本的に膣の中は自浄作用があるので、洗わなくてもいい場所です。外側のお手入れがしっかりできているにも関わらず臭う場合は、膣の中が原因と考えられます。ただ膣の中が問題になってくる多くの場合は、更年期に入ってからですね。膣内の潤いがなくなり自浄作用が働かなくなってくるので、臭いが発生しやすくなります。

—— 外側がケアできていれば、改善できることがほとんどなんですね。具体的にはどうしたらいいのでしょうか。

まずはどこが汚れているのか、鏡を使って自分の目でしっかり確認してください。女性器には溝が多いのできちんと洗えていないことが多いのです。目で見たこともないものを、きちんと洗えるはずはありませんよね。どこが汚れているのか、どこに汚れが溜まりやすいかを把握できればいいので、お風呂場でなくても大丈夫です。

—— 自分のデリケートゾーンをちゃんと見たことがない人もいそうですね。

そうなんです。みなさんなかなか見ないようなので「見てくださいね」って伝えています。自分で見ていないものを、パートナーさんに見せても平気なのかなって思いません?

—— 確かに(笑)。 最近は、デリケートゾーン専用ソープがあります。どういうものなのでしょうか? 普通のボディーソープとの違いや、選ぶ基準なども教えてください。

デリケートゾーンを洗うときはできるだけ専用のソープを使っていただきたいですね。成分の確認をしていただき、できるだけ余分なものが入っていないナチュラルなものを選ぶといいと思います。また、デリケートゾーンは酸性に保たれているので、酸性のものがいいです。

あとは実際に使ってみて判断してください。ものによって肌に合わない場合もあるので、使ってみて刺激のないものを使っていただきたいですね。リキッド状がいい人もいれば泡状がいい人もいますし、香りも好みがありますよね。

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—— まずは試してみることですね。

お風呂場で、ボディソープと洗顔ソープの横に、デリケートゾーン用ソープの3つが並んでいるとベスト。 デリケートゾーンケアの第一歩は専用ソープを使ってきちんと洗うことからと覚えてください。

また、日頃のケアのために、脱毛もおすすめしています。外陰部に毛量が多いと汚れが残りやすく、当然臭いやすくなりますからね。

脱毛するだけでかなり違う

—— VIO脱毛ですね。

Vは前の部分、Iは性器周り、Oは肛門周りですね。中でもIOゾーンは毛はいらないところなんですが、モシャモシャとなっている方も多いです。Vゾーンは温泉などで、毛がないと恥ずかしいと思われる方もいらっしゃるので脱毛はご本人次第ですが、毛量は減らしたほうがいいですよ。

生理中には毛に血液がついたままになりやすいですし、便が残ったりなど衛生的とはいえません。ムレて臭いのもとにもなります。

—— エチケットとしての脱毛だけでなく、医師の視点から衛生面でも陰毛は不要ということでしょうか。毛は必要だから生えているのではないか、という感じもしていました。

そうですね。下着がない時代なら毛が守ってくれたかもしれませんが、今は下着でちゃんと守られているので、隠毛はなくても大丈夫です。

正常なデリケートゾーンの状態について

—— 先ほど膣の中の自浄作用のお話がありました。また、酸性の専用ソープを使うといいということだったのですが、そもそも正常なデリケートゾーンのコンディションとはどういう状態なのでしょうか。

外が清潔に保たれていて、膣の中が弱酸性(pH3.5-4.5)に保たれていることです。それで雑菌の繁殖や膣内の侵入が防げるので、結果的に臭いの発生も防げます。膣内を弱酸性にしているのは、膣の中にいる乳酸菌の働きによるものです。

—— 腸の中の乳酸菌を意識することはありますが、膣の中にも乳酸菌がいるんですね。

そうなんです。その乳酸菌が出す乳酸によって膣内が弱酸性に保たれ、雑菌から守ってくれているんです。

最近は市販のビデで膣洗浄をしすぎる女性も増えています。雑菌だけでなくいい菌も洗い流してしまうのでpHが崩れてしまい、強い痒みをともなうカンジダ膣炎になってしまうケースもあります。

—— 魚が腐ったような臭いがしたら「細菌性膣炎」(※)の疑いがあるという情報もありますが、“良くない臭い”の基準がいまひとつ分かりません。

(※細菌性膣炎とは、膣の自浄作用の低下によって起こる常在菌感染症の総称。魚介類が腐敗したような臭いのほか、痒み、発赤などを伴う場合がある)

臭いの原因になっているのは繁殖している雑菌なのですが、どんな菌かによって臭いも変わってきます。ふだん感じている臭いがその人にとって普通の臭いであればいいのですが、いつもと違う臭いだと感じたら異常が起きている可能性があります。感染症の疑いがありますので婦人科で診てもらい、適切な治療をしましょう。

更年期にはいったらどうしたらいい?

——私はいわゆる更年期に入ってから、とくに臭いを気にするようになりました。自分なりに調べたり婦人科にかかったりして、加齢による膣内環境の変化ではないかという結論に至りました。そこで膣内に乳酸を補充する「インクリア」というジェルにたどり着き、自分なりに効果を感じています。更年期からのケアや、そういったアイテムの是非についても伺いたいです。

年齢に関係なく外側はケアしたほうがいいのですが、更年期に入ると、女性ホルモンが低下することで、膣内が乾燥してくるんです。膣内の潤いがなくなると人によっては痛みや痒みを伴うこともあります。

膣内の乳酸菌の餌になるグリコーゲンも減るので、乳酸菌も減ってしまい自浄作用が低下、雑菌が増え臭いの原因になります。

洗って清潔に保つだけでなく、内側と外側の保湿も大切になってきます。人によってはオイルを塗っている方もいらっしゃいます。インクリアのような膣内専用ジェルを使うのは良いと思いますよ。

生理中のケアについて

—— 生理中のケアについても教えてください。

生理中は、子宮の壁が剥がれ落ちている状態なので、非常に敏感になっています。雑菌が子宮のほうに入ってくると問題ですが、生理中のケアは外側を清潔に保つくらいで十分です。

—— 生理の終わり頃に臭いが気になる人が多いみたいですが、なぜですか?

血液自体に栄養が豊富なので、雑菌が繁殖しやすいんです。経血の多い日はナプキンの交換頻度が高いと思いますが、生理の終わり頃になると量も減りナプキンの交換頻度下がる。そうすると臭いが発生しやすくなります。生理の終わり頃、経血量が減っても、こまめにナプキンを取り替えてください。

—— 生理中の性交渉についてはどうでしょうか。

性交渉はしないほうがいいです。子宮の中はまさに壁が剥がれて傷だらけの状態なので、性交渉によって雑菌が持ち込まれてしまうリスクを考えると、避けたほうがいいでしょう。

まとめ

女性同士でもなかなか共有できないデリケートゾーンの悩み。今回、貴重なアドバイスをたくさんいただきました。なかにはもっと早く知っていたら! と思うものも。

臭いが気になる人は

 1.デリケートゾーンを確認して把握する
 2.専用ソープで外側を清潔に保つ
 3.更年期なら膣の保湿と乳酸の補充

毎日を快適に過ごすために、ぜひ参考にしてみてください。もしもデリケートゾーンに異変を感じたら、専門医に相談しましょう。

お話を聞いた方

喜田直江(きだ・なおえ)

平成13年 京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。平成15年 形成外科医として、形成外科の基本から縫合の技術まで幅広く習得。平成18年 大手美容外科にて美容外科・美容皮膚科全般を習得。とくに婦人科系の美容手術は、日本でも有数の症例数を誇る。平成23年10月、東京銀座でなおえビューティークリニックを開院。


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