月経前、月経中、卵胞期、排卵期、黄体期という異なるフェーズで、女性のカラダは常にホルモンの影響を受けて変化しています。その変化にしたがって、身体にはさまざまな症状があらわれます。
ですが生理がタブー視される風潮の中では、痛みなど日常生活に支障をきたすレベルのものを除いては、公に語られる機会はあまりないかもしれません。
月経時に見られる症状には、いたって正常なものもあれば、病気の可能性をはらむものもあります。
2016年に月経周期管理アプリの「Clue」がユーザーを対象におこなった調査では一週間で4000件もの回答が寄せられ、生理中のさまざまな症状が明らかになりました。
生理中のお悩みトップ3
第1位「ニキビが増える」(50%)
2人に1人が悩まされているのは、ニキビ(尋常性ざ瘡)の存在。
ニキビは生理周期のホルモンに関連して最も多くみられる症状の1つです。プロゲステロンの影響で、皮脂が過剰に分泌されることが原因となり、生理前と生理中の10日間に発生します。
また、ニキビは特定の生活習慣と密接に関係している場合があります。ホルモン系のピル服用によって、ニキビの吹き出物が減る人もいます。
注意が必要なのは、ニキビは思春期に多く見られるだけでなく、しばしば多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の人にも見られることです。生理周期の乱れだけでなく、なかなか治らないニキビがある人は一度診察を受けてみてもいいかもしれません。
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第2位「頭痛、めまい、フラフラする」(49%)
ニキビと同じく約半数の人が経験しているのが、頭痛。生理前〜生理中によく見られる症状です。頭痛の主な原因として考えられているプロスタグランジンは、子宮内膜を剥がすために子宮の収縮を助けるホルモン物質です。
人によっては月経前の症状として片頭痛が現れることもあり、エストロゲンレベルの変化が原因で初めての生理から経口避妊薬の使用や、妊娠、閉経などを経て、片頭痛の感じ方も変わる可能性があると言われています。
ホルモン剤による避妊やホルモン補充療法などによって余分なエストロゲンを摂取すると、片頭痛が悪化する可能性があるとも言われています。
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第3位 体重の増加(42%)

生理前に体重が増えてしまうのは、エストロゲンとプロゲステロンというホルモンの影響が関係しています。生理前はこれらのホルモンが増えることにより、水分を溜めこみやすくなると言われています。
健康のために減量したい場合は、月経が終わった直後の卵胞期が、減量に適した期間とされています。
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手足は冷えるし、足腰も痛む。消化器の不調や排泄の悩みも
そのほかにも多くみられたものに「疲労感を感じる」(40%)、「手足の冷え(39%)」、「腰痛・足の痛み(37%)」などがありました。
体内ですさまじいホルモン変化が起こっている生理中、身体はヘトヘト。ただただ眠気に襲われる人や、身体中で起こる痛みに疲れ果ててしまい、動けなくなる場合もあります。
無理をせず、周期に合わせた心と身体のケアを心がけましょう。
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また「下痢や吐き気を感じる(26%)」「便秘になる(22%)」 といった消化器系に不調をきたすことや、「排便時に痛みをともなう(18%)」「頻尿になったり、排尿時の違和感があったりする(13%)」 など排泄にまつわる悩みも寄せられました。
これも生理に関係するの?
月経困難症として広く知られている上記のような症状のほかにも、20%以下ではありながら、次のような意見が集まりした。
- 「爪がもろくなったり、髪が抜けたりする」(18%)
- 「心拍数の増加や息切れを感じる」(15%)
- 「髪が伸びるのが異常に速くなる」(13%)
倦怠感や直接的な痛みだけではない、このようなマイナーな体調変化はこれまであまり明るみに出ることのなかった事実かも知れません。それらの症状を感じている人が決してごく一部のマイノリティという訳でもなく、全体の10%以上いることも注目されるべきだと言えるでしょう。
つらさを誰かに伝えるのは、本当に難しいから
「生理がつらい」と一概に言っても、カラダに現れる症状は人それぞれ。
「痛み止めを飲めばいくらでも動ける」「1日休めば”治る”だろう」「自己管理ができていないからなのでは」など、月経の症状に悩む人が周囲に相談しづらくなるような言葉の数々がいかに見当はずれなのか。生理中、全身のあちこちに出現する症状をまとめた今回の調査からはっきりしました。
どうせ分かってくれないからと閉口してただただ耐えるのではなく、少しずつ周囲と対話を積み重ねていくこと。そして周りは他人のつらさに寄り添い、ベストなパフォーマンスをさせられるよう必要なサポートをできる限りすることが、大切です。
このような調査が一般的になることで、少しずつでも男女関係なくこの認識が広く浸透していくことを期待したいです。