「セルフプレジャー」と聞いて、どんな印象を持ちますか?
セルフプレジャーは性的な欲求を解消するためだけにすると思われがちですが、実際に経験した人の声を聞いてみると「ストレス解消になった」、「睡眠の質が上がった」、「パートナーとのセックスで感度が上がった」、「自分の体のことがより理解できるようになった」など、得られたものは十人十色です。
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今回は、ランドリーボックスのアンケートにお答えいただいたSさん(20代後半)に、さらに詳しくインタビューさせていただきました。
6種類以上のアイテムを使用した経験があり、現在はパートナーと一緒にアイテムを使ってみたり、友人におすすめアイテムを聞いて試してみたりすることもあると話すSさん。
しかし、数年前までは「私は性的なことをしなくても生きていける」、「セルフプレジャーは女性には必要ない」、「性的なことはエッチでいけないこと」と思っていたそうです。
「セルフプレジャーをするようになってから私は変われた」と晴れ晴れとした表情で語るSさんが、どのように自分の体や気持ちに向き合ってきたのかじっくり話を聞きました。
悪いことなんかじゃないってみんなに知ってほしい
ーSさんは、セルフプレジャーのアイテムを何種類か使い分けているそうですね。今使っているアイテムを教えてください。
吸引系バイブのToycod taraと、吸引系バイブと舐めるのが一緒になったハート型のToycod「キスハート」!これ、見た目がすごくかわいいんですよ。
それから、ピンポイントで刺激できるsvakomのCOCO、吸引系と挿入が一緒になったsvakomのERIA。あとは彼氏と共有しているiroha SVRです。
ーーどれもデザインがおしゃれですね。セルフプレジャー用だけじゃなくて、パートナーと一緒に使うものもあるんですね。
そうです。私がアイテムを使っている話をしたら「じゃあ俺も買う!」って話になって。友達に相談して、彼氏と一緒に使うアイテムのおすすめを教えてもらいました。
ーーお友達とも性の話をされるんですね。
しますします。「実はこういうアイテム使ってて」って話をすると、意外とみんな使っているんです。でも、まだ性の話って話題にしづらい空気がありますよね。タブーっぽい感じがする。
でも、そうじゃないんだよ、自分にとっていいことなんだよって話すようにしています。私自身、セルフプレジャーを経験してみて良かったから、その良さをみんなに伝えたいんです。
ーー実は、ランドリーボックスのアンケートでも6割以上の女性が「セルフプレジャーをしたことがある」との回答がありました。過半数の人がしているはずなのに、なかなか話題にのぼってこないですよね。
そうなんです。いろいろ調べてみても、まだ性の記事は少ないし、オープンに話せる場も少なくて、話したいけれども話せないことが多くてもどかしいですね。
フェムテックの浸透によって「消費のエロ」から変わってきた
ーー初めてアイテムを買ったときは勇気がいりませんでしたか?
めちゃめちゃ勇気がいりました。
初めて購入したのは、彼氏と使うためのローションだったんですが、安心して購入できそうなサイトをとにかく調べましたね。当時は実家だったこともあり、ギフト風に包装してくれる女性向けの通販サイトを見つけて、最初はそこで買いました。
ーー最初は不安ですよね。そもそも、Sさんがアイテムを使用してみようと思ったきっかけは何だったんでしょうか。
私、美容メーカーで商品開発の仕事をしているんですが、最近仕事でも「フェムテック」とか「フェムケア」という言葉をよく聞くようになったんです。
今までは、企業側も「エロ」が前面に出た「消費としてのエロ」的な売り出し方をしていたと思うんですが、最近はirohaみたいな女性向けのブランドが出てきたり、「性はいいことなんだよ」というメッセージが出てくるようになってきましたよね。
しかも、今のプレジャーアイテムって、女性誌でも取り上げられるくらい色や見た目のデザインがおしゃれなものが多くあります。
そうして徐々に興味を持ち、実際に自分でも使ってみました。
ーーセルフプレジャーをするなら、アイテムを使ってみたいという気持ちが初めからあったんですね。
そうですね。自分の指で触ってみたこともあるんですが全然気持ちよくなかったので…。
実際にアイテムを調べてみるまではバイブくらいしか知らなかったんですが、いろいろと情報を見ていくうちに「吸引系」のアイテムも知って。これなら、今まで知らなかった「気持ちいい」って感覚を知れるかも?と思って買ってみました。
性的なことに関する苦手意識から、恋愛にも臆病になってしまった過去
ー「今まで知らなかった気持ちいい感覚」を知るために、アイテムを使ったセルフプレジャーを始められたんですね。実際にやってみるまでは、セルフプレジャーにどういったイメージがありましたか?
女性がセルフプレジャーをするイメージがなかったですね。男性は身体的に必要なんだろうけど、女性はしなくても別に大丈夫だと思っていて、意識して考えたことがなかったです。
ーー必要ないものだと思っていたんですね。
もともと、性的なことに対してマイナスなイメージがすごく強かったんです。
私、最初にセックスしたのが少し早めで中学生の頃だったんです。でも、それがあまりいい経験ではなくて……。お互い方法もよくわからないし、気持ちいいなんて感じたことがなかったです。相手のことも好きだし「彼氏が楽しそうだからまぁいっか」って思ってセックスしていた感覚でした。
ーー性に対する苦手意識があったんですね。
それから、恋愛もずっとうまくいきませんでした。
彼氏がいたら人生楽しいんだろうなとは思ったりもしたけど、付き合うとなると性的なことをする流れになる。そう思うと、一歩を踏み出せなくて。
それから彼氏もいたにはいたけど、すぐに別れてしまったり、変な人に引っかかっちゃったり……。
時間が経てば経つほど、セカンドバージンを迎えるのも緊張してしまって。もうすっかり嫌になってしまったんです。
ーー恋愛や、性的なことに踏み出すのが怖くなってしまったと。
そうです。高校生の頃、周りが性の話をするようになってからもう一度興味を持ったんですが、さっき話した通り自分で触ってみても全然気持ちよくなれなくて。
「私、なにしてるんだろう」っていう虚無感が勝ってしまいました。
気持ちよくないし、自分でする意味もわからないし、彼氏もいないからセックスすることもないし……。「私は性的なことをしなくても生きていける!」ってマインドが当時はありました。
心まで裸になれるパートナーができて、「この人とならセクシャルなことをしてみたい」と初めて思えた
ーーそこからセルフプレジャーをするようになるまでにはどんな経緯があったんですか?
去年、彼氏ができたのがきっかけです。
恋愛や性愛を拗らせてしまっていたから、彼氏や好きな人ができても、なかなか素が出せなくなってしまっていたんです。
でも、今の彼氏の前だと心が裸になれる感覚があって。この人とならセクシャルなことをしてみたいと、初めて思えたんです。
ーー信頼できる相手と出会えたことで、気持ちに変化があったんですね。
「どうしたら彼ともっと仲良くなれるかな」という想いがスタート地点だったかもしれないですね。
せっかく彼氏とセクシャルなことをするのに、お互いに気持ちよくなれなかったら嫌だったんです。
彼と出会うまでは、相手を気持ちよくさせようなんて思ったことがなかったし、男性の体をろくに触ったこともなかったので、正直どうしたらいいかわからなくて。
性に対する苦手意識が強かったのもあって、圧倒的に知識が足りなかったんです。とにかく調べてから挑もう!と思って情報を仕入れました。
ーー知識をつけたかったのは、自分が不安だからというより、彼に気持ちよくなってほしいと思ったからなんですね。
もちろん不安もありました。
でもそれ以上に、相手が自分を気持ちよくしようといろいろしてくれているのに、自分が返せないのがくやしくて。
例えば、彼が舐めてくれても私は返すことができないし、そもそも気持ち良さをちゃんと受け取れない。
それが嫌で解決するためにいろいろ調べていたら、たどり着いたのがセルフプレジャーだったんです。
ーーアンケート調査では、「セックスとは別で、自分のためにする」という声も結構あったんですが、Sさんは「彼と仲良くなるために」が始まりだったんですね。
そもそも、彼もそんなに経験があるわけじゃなかったんです。大学卒業してから初めてできた彼女が私で、お互いブランクがあって。
二人とも経験値がないからこそ、「お互いどうしたらよくなるか考えよう!」って空気があったのが大きかったですね。やっぱり、知識と経験は違うじゃないですか。
「こっちのほうが気持ちいい?どっちが好き?」って確かめながらやっていたら、お互い相談できるようになって、これまでタブーだと思っていた性への意識が変わってきました。
自分の身体を知って「気持ちよさ」を受け取るために、セルフプレジャーを始めた
ーー性に対して長年抱いていた苦手意識がだんだん和らいできたのですね。
そうなんです。でも、せっかく彼氏が「どうしたら気持ちいい?どうしてほしい?」と聞いてくれても、自分の身体で気持ちいい場所がわからないから何も答えられなくて…。
だから、「私、自分で鍛える!」って彼氏に宣言したんです。
そこから自分でアイテムを買って試してみるようになりました。
ーー自分を鍛えるために!実際にセルフプレジャーするようになってから、変化はありましたか?
する前と全然違いますね。濡れやすくなりましたし、今まではセックスをしても「あ、何か入ってるな……。まぁ彼氏が気持ちいいならいいや」くらいの感覚だったのに、自分も気持ち良さが受け取れるようになりました。
そのおかげで、「もうちょっとこうしてほしい」が言えるようになって、そこからさらに気持ちよくなれるようになって……。
ーー自分の「気持ちいい」がわかるようになったんですね。
なりました!今までは、「イク」感覚もわからなかったんです。「イクってなんなの?」って思っていました。でも、吸引系のアイテムに出会って、初めてイケるようになったんです。
彼とのセックス中も、「あ!吸うアイテムでやった感覚だ!」って、「イク」感覚が掴めるようになりました。
予習したことが本番のセックスで活きてきた瞬間でした。
セルフプレジャーは自分を愛すること
ーーパートナーは、Sさんがセルフプレジャーをすることや、性の話をすることをどう受け止めていますか?
最初は「ちょっとエッチな話」みたいな反応でした。
でも、性についての話を重ねていくにつれて「下ネタ」みたいな扱いじゃなくて、「お互いが好きだからやってることだよね」って意識に変わってきましたね。
例えば、セックスで彼がイケなかったときも、「イクことが目的じゃなくて、Sが好きでやっていることだからイかなくても僕はいいんだ」と言ってくれたり、彼氏がイったあとに私が物足りなかったら、アイテムを使ってみたり。
「どうしたらよりよくなれるか」二人で研究している感覚です。
ーー性との向き合い方も、お二人の関係性も、とても素敵ですね。
楽しいことを一緒にやろう!って感覚です。
一緒に出かけたり、テレビをみたりするのと同じで、セックスもセルフプレジャーも、特別なことじゃなくて切り取られた日常の一コマに過ぎないというか。
ーー改めて、Sさんにとって「セルフプレジャー」とはどういうものですか?
「自分を愛すること」です。
メイクするのと同じ感覚ですね。自分をよりかわいく見せたいからお化粧をする。セルフプレジャーも、自分の体をよりよく知って、もっと愛するためのものだと思っています。
自分を愛することができるようになれば、人にも優しくなれるし、パートナーともより仲を深めることができると思います。
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