「これ知ってる?」
「多い日の安心感すごいよ」
「トイレに流せるから便利」
「使い始めたら手放せなくなった!」

SNSでじわりじわりと話題が広がり、人気商品になりつつある生理用品が『ソフィ シンクロフィット』。2005年に発売されたが、15年近く認知が広がらなかったマイナー商品だ。

Photo by Natsuki Hamamura / Laundry Box

「斬新すぎて使い方がわからない」「店頭で見かけない」と言われ続けても、熱いファンに支えられて生き延びてきた。

ユニ・チャームに入社した当初から、シンクロフィットに着目し、愛情を注ぎ続けたひとりの営業マンがいた。ユニ・チャーム株式会社のYさんは、地方の店舗営業を経て東京本社に異動。今ではシンクロフィットのマーケティングを担う。

担当Yさんのこれまでの歩みと、シンクロフィット復活の軌跡を紹介する。

「僕がシンクロフィットを売ります!」

ユニ・チャームに入社したYさん。新入社員研修で配布された資料の最後のページに少しだけ紹介されていたのがシンクロフィットだったと話す。

「当時から、売上はあまり高くないと聞いていました。でも同期の女性が『これめちゃくちゃいいよ』と絶賛していたんです。詳しく聞くと『トイレに流せる』、『使った人はみんないいと言ってる』と。そんなに製品力があるものが認知されていないってどういうこと?と思いました。それから新入社員の研修発表があるたびに『シンクロフィットを誰もが知る人気商品に育てたい。そのためにも日本一売ります!』と宣言していました」

シンクロフィットまでたどり着けない……。

Yさんが入社後、最初に配属されたのは地方の店舗営業だった。実際にシンクロフィットは売れたのだろうか。

「売るぞ!と意気込んでいたにもかかわらず、いざ営業マンとしての仕事が始まったら、正直、目の前の仕事で手一杯という感じでしたね。というのも、営業は売り上げを伸ばすミッションがある中で、ソフィブランドで主力となるのはナプキンの『はだおもい』や『超熟睡』です。数字で見たときに、シンクロフィットが全体で締める割合はどうしても少ない」

「自分の営業力のなさゆえ、なかなかシンクロフィットまでたどり着かなかったんです。一番大切な『必要としている人のために』という思いも、忘れかけている時期だったと思います」

チャンス到来!ドラッグストアの目立つ場所でドドーンと販売

それから2-3年が経ち、Yさんは某ドラッグストアを担当することになった。独特なローカルCMを流し、その地域の人なら知らない人はいないほど、地域に根付いた企業だった。

「消費者にとって本当に良い商品を紹介したい、という想いのある企業様で、バイヤーの方も『マイナーな商品でもいいから、お客様のためになるような魅力的な商品を持ってきてほしい』と言ってくださいました。そのとき、シンクロフィットを売り込むチャンス!と思いました」

Yさんは、ユニ・チャームのお客様相談センターに届いたシンクロフィット愛用者の声を集めた。「使っていなかった頃には戻れない」、「取り扱い店舗を増やしてほしい」という熱いユーザーの声が寄せられていた。

「商談を繰り返した結果『トイレにも流せるし、ユーザーからの評価も高い。ほかに代わるものがないとてもいい商品ですね。一緒に日本一売りましょう!』と言ってくださいました」

「店頭でも目立つ、特売売り場の横に大々的にシンクロフィットを置いていただけることになったんです。当時は全国的にシンクロフィットを取り扱っていない店舗が今よりもっと多く、シンクロフィットを大々的に売り出していただくことは大変珍しいことでした」


Illustration by アキワシンヤ / Laundry Box

「せっかくいただけたチャンスなので専用の販促什器を使った目立つ売り場を作りたかったんですが、シンクロフィット専用の販促グッズはなく、たまたま営業の誰かが使い残したほかの商品の販促用の材料をもらってオリジナルで作りました(笑)」

シンクロフィット愛用者でもある商品部の女性や、店舗スタッフが「私のおすすめ!」「シンクロフィットはここがすごい!」と顔写真つきの手書きポップを作ってくれたという。

「今の時代、顔出しのポップは難しい時代になっていると思うのですが、振り返ってみると、実際のユーザーの方の声が書かれた思いの詰まった手作り感がよかったのかもしれません」

1店舗あたりの「シンクロフィット」の売り上げ全国1位を記録

手作りポップが目を引き、売り上げは伸びた。全国チェーンの大手ドラッグストアには、トータルでは敵わないものの、シンクロフィットの1店舗あたりの売り上げは全国でぶっちぎりの1位になった。

「2015年頃でした。シンクロフィットの魅力を伝えられたことが何より嬉しかったです」

「生理はすごく大変」だから、少しでもストレスを減らせるような何かを提供したい

その功績が認められたYさんは地方の店舗営業から、現在所属するマーケティングの部署に異動した。生理を経験することのない男性のYさんが、マイナーな生理用品にこれほど情熱を注げる理由はなんだろう。

「ユニ・チャームに入社した理由でもあるのですが、学生のころ、同じサークルの女性が『生理しんどい』と話していたのがきっかけです。サークルの合宿やイベントがあったとき『生理だから無理』と嘆いていて。女性は生理で、痛くてつらい思いをして大変だし、同時に楽しい予定さえも制限されてしまうことを知りました」

「就活をしているとき、ふと大勢の人が行き交う交差点を見ていて、ここにいる女性の4人に1人は今生理なんだ、と思いました。こんなに大変なのに、男性は生理のことをよく知らないし不平等ではないか、とも感じていました」

生理が「不平等」という意見は、男性からはあまり聞かない意見だ。ユニ・チャームに入社する以前から、Yさんの女性に寄り添う考えが根底にあるようにも感じられる。しかし「そんなに褒められたようなことではないです」と彼は笑う。

「生理用品業界は難しいからこそ、やりがいや魅力を感じているところもあります。入社してから、生理についてお話を聞くたびに『女性にとって生理はとても大変なもので、みんな生理に何かしらの悩みを抱えている』と感じています。つらくてしんどいし、人にも言いづらい」

「基本的にネガティブに捉えられがちな生理だけど、『トイレに流せる』とか『モレにくい』とか、そういった側面から生理に関するストレスを少しでも減らすことができたらいいなと思っています。そのための商品やサービスを届けられないかと考えたりします」

生理を経験したことがない立場で、生理用品の販促を行うことに、難しさも感じているようだ。

「シンクロフィットは革命的な商材ですけれど、まだ知名度も低く、良さがちゃんと伝わっていない。そういう意味では宣伝や販売でやるべきことがたくさんある。めちゃくちゃ良い商品を開発の人がつくってくれたのに、それを活かしきれていなかった……。反省しなければと思っています」

「自分には生理がなくて試せないですが、『シンクロフィットを知らなかった頃には戻れない』と言ってくださるシンクロフィット愛用者の方の声を聞くたびに、シンクロフィットってそんなにすごい商品なんだなと思います。人によってシンクロフィットが合う、合わないはあると思うのですが、1人でも多くの女性に知っていただき、少しでも生理がラクになる方が増えたらいいな、と思っています」

Twitterでバズって、まさか「売り上げ2倍」の奇跡

シンクロフィットの知名度は決して高いとは言えないが、ユーザーがその魅力をSNSに投稿するなど、ほかの生理用品にはない愛されぶりだ。2018年には、とあるユーザーのツイートが広く拡散された。

「発売から13年経った頃でした。いきなり売上が2倍近くに伸び、それから少しずつシンクロフィットが売れるようになったんです。Twitterで話題になったら、こんなに売れるのか、とみんな驚いていました。SNSで紹介してくださるユーザーさんに本当に支えていただいています。心から感謝です」

その後も「#がんばれシンクロフィット」のハッシュタグをつけたユーザーからの投稿が絶えない。

「一方でユーザーの方の口コミのみで売上が伸びている状況は、いわば実質お客様が売ってくださっている状態で、マーケターとして何かしなければいけないと強く感じました」

「ですが、特にSNSでは、自分たちの想いだけを一方的に伝えるようなメーカー目線での発信は、あまり好まれないということをこの数年で学びました。たくさんのユーザーさんのリアルな声を、正直に伝える方がいい。今回の #がんばれシンクロフィット プロジェクトは、ファンサイトという建て付けにして視点をユーザーさんに置いています」

大手ドラッグストアで全国販売が決定

#がんばれシンクロフィット プロジェクトをマーケターとしての「集大成」とも表現するYさん。本プロジェクトをきっかけに全国展開の大手ドラッグストアを含む、数々の企業でシンクロフィットの全国配荷が決定した。この秋から、実際に多くの店舗にシンクロフィットが並んでいる。

「SNSやユニ・チャームのお客様相談センターに届く『近くのドラッグストアで売っていない』『なくならないか心配』という声を、営業部門からドラッグストアのバイヤーの方々に伝えて商談してもらいました。商談時、シンクロフィットのユーザーさんの熱量に驚かれているバイヤーの方が多く、取り扱い店舗拡大においてもユーザーの方々に感謝をしております」

「シンクロフィットを売っている店よりも売っていない店の方が多かった新入社員の頃を思うと、今回多くのお店で取り扱っていただけることになったのはとても感慨深かったです」

工場のメンバーとの絆

ランドリーボックス編集部にも「店頭で売ってるところ見たことがない」という声が寄せられることがたびたびある。また「シンクロフィットの大容量パックがほしい」、「エコの観点から箱はいらない」といった声も。

その声をぶつけてみると、Yさんは「さまざまなご要望をいただいており大変ありがたい」としつつ、シンクロフィットが抱える課題に触れた。

「今のパッケージ形状や入数のラインナップについても改善の余地があると思っています。すぐにでも作りたいと思っているんですが、費用面での問題もあり、そう簡単にはいかないのが正直なところです。シンクロフィットの売上を伸ばしていくことで実現できると考えていますので、それを次の目標にしたいです」

 今回のプロジェクトで、1009名のプレゼントとしても用意した特別パックは、一部の店舗で限定販売されている。箱形状ではなくパウチ(袋詰め)のタイプだ。

Photo by Unicharm

「実はパッケージの仕様変更は、相当な手間のかかる作業が発生するんですよ。工場でシンクロフィットを生産してくれる方々は、みなさん情に厚くていい人たちなんです。去年、工場のマネージャーの方と意気投合して、飲み会で『シンクロフィットいっぱい売って社長賞取ろうな!』って言ってくれたんです。マーケも営業も広報も工場も、みんなでがんばって社長賞取ろうって」

Illustration by アキワシンヤ / Laundry Box

 「パウチにするとものすごく大変だし、難易度も高いのですが工場の方が『いいよ。なんでも作るよ!』『ほかの工場メンバーには話しておくから』と快諾してくれました。『マーケと営業ががんばって売ろうとしているから、みんなで応援しよう』って工場のみなさんで話してくれたみたいなんです」

「マーケと工場の方がこのような話を直接することはあまりないのですが、シンクロフィットは特別で、私と工場の方でLINEで直接やりとりしています。サンプルが完成したときも工場の方が『頼んます!いっぱい売ってください!』とパッケージの写真をLINEで送ってくれました」

工場の機械は、回せば回すほど効率よく生産できる。シンクロフィットは売上があまり高くなく、稼働回数が少なかったとYさんは明かす。

「工場の方々とシンクロフィットについて話すときはいつも渋く苦いやり取りが多かったんです。『シンクロフィットの機械が全然回らん(稼働率が低い)。何とかならんか』『なんとかがんばります……』という感じで」

Illustration by アキワシンヤ / Laundry Box

「今は少しずつ売上が拡大してきたことで、ほかの商品に比べたら少ないのですが以前よりも頻繁に回せています。先ほどのパウチ形状とか、生産サイドからするといろいろと無茶なお願いをさせていただくことが多いんです」

「でもいつも工場の方は『生産は任せて』『売り上げ頑張って』といつも励ましてくださいます。泣いちゃいますよね。常に全面協力頂いている状況が本当にありがたいです」

ユーザーの方々に感謝を伝えたい

今回のインタビューでは、「ユーザーさんに感謝を伝えたい」と繰り返していたYさんの姿が印象的だった。

「シンクロフィットが売れるようになったのは、ユーザーの方の1通のツイートがきっかけです。これほどユーザーの方々に応援していただいている商品もめずらしいと思っています」

「生理用品のことをSNSでつぶやくのって、抵抗感があったりする女性もきっと多いと思うんですよね。そんな中でも、シンクロフィットのことを多くの方に知ってほしいという思いで、皆さんツイートしてくださっていると思うので本当に感謝しかないです」

「自身としても、今後も1人でも多くの方にシンクロフィットを知っていただけるようにがんばります。ユーザーの皆さまには、いつもおんぶに抱っこで支えていただいて申し訳ないのですが、今後もシンクロフィットをよろしくお願いします。いつも本当にありがうございます」

「1009(Thank you)キャンペーン」実施中 シンクロフィットを抽選で1009名様にプレゼントします

(12月14日追記:プレゼントの応募受付は終了しました)

ランドリーボックスでは「#がんばれシンクロフィット」スペシャルサイトを開設しました。

ハッシュタグ「#がんばれシンクロフィット」をつけて、この記事をTwitterで投稿してくださった人の中から、1009名様にソフィ シンクロフィットをプレゼントします。

スペシャルサイト内の記事の感想やシンクロフィットにまつわるエピソードをぜひ投稿してください。関連ツイートをリツイート、引用リツイートでもOKです。


<応募方法>

  1. ランドリーボックス公式Twitterアカウント(@laundryboxjp)をフォロー
  2. 「#がんばれシンクロフィット」のハッシュタグをつけて記事の感想やシンクロフィットにまつわるエピソードをTwitterに投稿、またはキャンペーン対象ツイートをリツイート、引用リツイート

(対象ツイート=@laundryboxjp のアカウントで #がんばれシンクロフィットとついている全ツイートのことです)

3.抽選で1000名様にシンクロフィットお試し品(8枚)、9名様にシンクロフィット3年分(12枚入り×30個)をプレゼント

<応募期間>

2020年10月9日(金)12:00~12月10日(木)23:59

※当選者にはランドリーボックス公式アカウントからDMにてお知らせいたします。

※応募に際しては、応募要項、利用規約を必ずご確認ください。

<当選賞品>

  • ソフィ シンクロフィットお試し品(8枚) 1,000名様
  • ソフィ シンクロフィット3年分(12枚入り×30個) 9名様

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