
読者からのお便り
大学生(22歳・女)です。地黒に合うメイクはないかと、Twitterで「地黒」と検索して出てきた記事をたまたま読みました。思いがまとまっているわけでもなく、文章を書くのも得意ではないのですが感想を送りたい!と思ったので送ってみています。
私は地黒で、生まれた時からずっと人より肌の色が黒いです。かなり早い段階から白くなることを諦めていたのもあって小学校中学校は日焼け止めを一応は塗るものの反抗心?的な感じで運動部に入り真っ黒に焦げていました。
私に対して黒いねということがタブーとされているみたいで周りの友人は肌の色に全く触れず、学校の先生や大人は「(黒く焼けて)かっこいいね」と言うくらいに(笑)
(中略)
『白でも黒でも黄色でも、それぞれが美しい』と私より大人の方が言ってくださっているのを読んで、自分の地黒を生かしたいという考えを肯定してくれているような気がして嬉しかったです。
今でもやはり「美白」という言葉を見ると少し傷ついたりはするのですが、「美しい肌」の条件に「白い」が含まれないような時代が来たらいいなと願う日々です。そして私はまだ地黒を認められない部分があるのでもう少し大人になって自分を好きになれる日が来たらいいなと思いました。
本当に長くて自分語りで、筆者さんに届くかも正直わからないのですが笑、この記事を読んでよかったという私の気持ちが届けばいいなと思っています。読んでいただきありがとうございました。
(編集部注:このお便りは、「ランドリーボックスの記事内で紹介してもいいですか?」という質問に「はい」と答えてくださったため、ほぼ原文のままご紹介することにしました。)
前回の記事「地黒コンプレックスを抱えて過ごした「黒ギャル」時代。大人になった今思うこと はこちらから。
斉藤ナミからのアンサー
先日書いたエッセイにこんな素敵な感想をいただきました。文章を書くのが得意ではないとご自身はおっしゃっていますが、私の胸にはすごく響きました。きっと勇気を出して送ってくださったんだろうなぁと想像して、涙がにじむほど嬉しかったです。
同じように地黒で悩んできた方がいるだろうと想像はしていましたが、実際にこうやって直接の感想をいただいて、思っていた何倍も実感が湧きました。
肌の色で悩んで生きている人は、私だけじゃないんだな……。
私のように、直接的に黒いことをあだ名にされるのも辛いですが、触れられずにタブー扱いされたり、大人や先生に「かっこいいね(笑)」と言われたりするのも辛いですね。反抗心が湧いてくる気持ちもわかります。肌の色で悩んでいると思われたくないんですよね。
「(笑)」がついてるところ、読んでてグサッっときてしまいました。
この大人の人は、あからさまにからかっているニュアンスだったのかもしれません。もしくは、純粋に心から「かっこいいね」と思っていたのかもしれません。
どちらにしても、黒い肌にコンプレックスを持って生きてきた時間が、その言葉に「(笑)」が付いてるように受け取ってしまうんですよね。
きっと辛かったんだろうな…。あー、もう。この方のことを抱きしめたい!
私は本編で、「自分の息子たちにはそのままの自分を好きでいてほしい」、「白でも黒でも黄色でも、それぞれが美しい」と書きました。
書いて公開したこと、読んでいただいたこと、感想をいただいたことで、より一層その想いも強まりました。
肌が黒いけれど、無理して美白しようと努力している女性、白いけれど、無理して黒くしようと努力している男性、天然パーマを、からかわれたくないからという理由で無理してサラサラにしている人。容姿にコンプレックスをもつたくさんの方から声が届きました。
実は私、子どもが生まれたとき、「男の子でよかった」と思っちゃったんですよね。夫も肌が黒い人なので、私と夫の間に生まれる子どもは、ほぼ間違いなく色黒界のサラブレッド!(案の定、彼らは現在、まごうことなき伝説の色黒少年となっています)。
この先、彼らがどういう大人になっていくかはわからないけれど、きっと私ほど肌の色で辛い思いはしないだろうな…という思いから、ホッとしてしまいました。
そんなこと、思いたくもないんだけど、思ってしまった。そんな風に思ってしまうしかない日本の美白主義が、早くなくなって欲しいと思います。
お花屋さんに並ぶお花は、白でもピンクでも紫でも、新鮮でみずみずしく輝いていたらどの花でも美しいです。私たちの肌も、何色でも、考えることもなく当然に、それぞれが美しいことが当たり前だったら、色でからかわれることも、タブー視されることもないのにな。
見た目におけるいろいろなジャンルの少数派側にいて、平気なふりをしながらチクチクした思いを抱えている人のためにも、これからの子どもたちのためにも、日本の小麦肌のイメージをもっともっとよくしていきたいという使命感にかられまくっています。
私の肌の色も美しい、あの人の白い肌も美しい。
だからといって、自分の生まれたまま、そのままの姿を受け入れろ! とも思いません。
白い肌が美しいと、美白を追い求め続けるのもいいと思います。黒い肌が美しいと、日焼けをするのもいいと思います。身長を伸ばしたいと努力するのも、美しくなりたいとメイクをするのも、整形手術をするのもいいと思います。
どんな姿であれ、胸を張って、自信を持って、心から自分の好きな自分でいられることが一番いいと思います。
それを世間の価値基準でみて、他人の思う美しさを押し付けられたり、まわりの基準と比べて否定されている気持ちになったり、同じにならなければいけない気がしてしまうことが、悲しいことだなって思います。
私は30代後半になってようやく、私のこのままの肌も、なかなかいいんじゃない?と、心から思えるようになってきました。
それから、肌の色だけじゃなく、他の欠点も。シミも、しわも、目の下のたるみも、天然パーマも。全部、私とずっと一緒だったから。おれもおまえもよくここまで頑張ってきたな、なかなかいいじゃん? って。
大丈夫! 安心してください。
黒くても、白くても、黄色くても、きっと、あなたもいつか必ず、自分のことをもっともっと心から愛せるようになると思います。
読んでくださって、感想をくださって、本当にありがとうございました。