いよいよ受験シーズンを迎えるこの時期。人生の重要な分岐点となる人も多いはずだ。
生理日管理アプリ「ルナルナ」を展開するエムティーアイが、10代以上の女性ユーザー3,155名を対象に「【受験×生理】 親と子の意識調査」を行った。
参考記事:生理を「早める」「遅らせる」。大事なイベントと重ならないよう生理日を移動させる方法は?ピルの服用タイミングや注意点(医師監修)
受験日と生理が重なった場合の不安はさまざま
調査によると、約9割近くの人が、受験日と生理のタイミングが重なった場合に「不安」だと回答。
具体的にはどのような不安を感じるかを質問したところ、体調面の悩みでは、「生理痛や体調不良への不安」が88.8%と最も多い結果となった。
そのほかにも、第5位には「鎮痛剤などを服用することへの不安」が25.7%でランクイン。生理痛をはじめとした体調不良を抑えるために服用する鎮痛剤は、薬によっては眠たくなる成分が入っていたり、薬の副作用によって体調が悪くなる可能性もある。鎮痛剤を服用する場合は、医師に相談したり、市販薬を選ぶ場合は薬剤師に相談すると安心だ(参考:ルナルナプレスリリース)
「すべてを諦める気持ちになる」受験と生理が重なって大変だったこと・不安なこと
「受験と生理が重なったことがある」というユーザーからは、以下のような経験談が寄せられたほか、生理中特有の症状に悩む不安な声も届けられた。
- 試験中に急に腹痛がひどくなり、退席が出来る時間まで約30分我慢して受験しました。結局、トイレに駆け込んだら生理が予定日でないのに来ていて、試験結果も散々でした。
- 生理痛のせいで試験に集中できず、全てをあきらめる境地になる。
- 慣れない路線や駅、建物を利用するためトイレの場所がわからない。緊急時に助けを求める相手がいない。
- 試験中に寝てしまったり倒れたりするのではないかという不安。
約過半数が、生理と受験の不安について「誰にも相談しなかった」
調査結果では、受験と生理の不安について相談しなかったと回答したのは約過半数に上った。
しかし、ルナルナによると、10代の女性は「家族に相談した人が約5割」、「友人に相談した人が3割弱」と、相談する割合が高かった一方、20代から40代にかけて「誰にも相談しない」と回答した割合が高かったという。
少し前の受験生に比べて、今の10代は少しずつ生理について相談しやすい雰囲気になっているのかもしれない。
対策面は、生理用品関係がもっとも多い結果に
では、受験日に備えて、ユーザーはどのような対策を行ったのだろうか。
1位、2位にランクインしているように、生理用ナプキンなどの生理用品の対策が最も多い結果となった。
3位は「お腹などが冷えないようカイロを持っていった」の53.1%。受験会場の教室が広いために体が冷えてしまったり、ブランケットを使えない場合などを考えると、カイロは持っておくだけでも不安が軽減されるかもしれない。
しかし、生理対策を行わなかった人の理由としては、「我慢するしかないと思ったから」35.4%が1位となった。受験という重要なイベント場面において、生理による不安やストレスの解消を諦めている人も少なくない。
受験と生理に関して、あったらいい配慮や環境
調査では、受験と生理に関することで望む環境についても聞かれた。
- 受験会場のトイレにナプキンがあったらいいと思う。
- 直前になって慌てることがないように、学校側から事前に、受験と生理が重なるかもしれないこと、受験日に突然生理が来るかもしれないこと、生理が重くて不安な人はあらかじめ婦人科に通って生理日を調整することも選択肢としてあることなどを、教えてもらえたらありがたいと思った。
- 試験会場が暖かい空間であることや制服でない服装でも受験できること。真冬の生理中にスカートは身体が冷えるし制服を汚したくないため。
- 私の場合、生理痛は冷えからくるので、体を温めるグッズなどが置いてあるととてもありがたいです。膝掛けやカイロの貸し出しがあると助かります。
受験対策には低用量ピルも選択肢のひとつ
調査によると、受験対策のひとつとして、低用量ピルを服用して生理日を移動させることについては、「とても良いと思う」25.0%、「良いと思う」45.3%と、合わせて7割以上の人が低用量ピルの選択をポジティブにとらえていることが明らかになった。
ただし、低用量ピルの服用は、事前に産婦人科での受診や服用による副作用の恐れもあるため、あらかじめの準備が必須だ。
ピルを服用した場合の生理日の移動(早める、遅らせる)にかかる費用や注意点は、以下の記事で詳しく解説しています。
参考記事:生理を「早める」「遅らせる」。大事なイベントと重ならないよう生理日を移動させる方法は?ピルの服用タイミングや注意点(医師監修)
産婦人科医のコメント
今回の意識調査にて、受験という人生の大事な場面においても生理を我慢するしかない問題と考えている女性が少なくないことにショックを受けました。これは、女性が自分の能力を最大限発揮して活躍する世の中を目指すにあたって解決すべき課題だと改めて強く感じます。
(中略)ピルは、婦人科を受診して医師と相談しながら服薬すれば、多くの受験生を生理の不安から解放でき、受験生ご本人はもちろん、受験生の保護者の皆さまにも大きなメリットがあると思います。
ピルの服薬に限らず、受験の時に慌てないためにも、普段から自分のカラダをきちんと把握・管理できるよう、普段からかかりつけの婦人科を作って何でも相談してください。生理に振り回されず、すべての受験生が万全の体調で100%実力を発揮できることを願っています。
(東京大学 大学院医学系研究科 産婦人科学講座 准教授 医学博士 甲賀かをり先生)