「痛い…痛い、痛い、痛い…生理痛マジで死ぬ。」

普通だと思ってた生理痛は、病気のサインでした。

月経困難症のツイートがバズった

先日、こんなツイートをしました。

ピル飲んでるって、
淫らな性交渉してるビ◯チだ

ってほんとに言われるんだね…

低容量ピルを貰っているのは、月経困難症の治療と子宮内膜症の予防のためです。なので、保険適用されています。飲まないと辛いんです。飲まないと、不妊になるかもしれない。大切な薬なんです…もう偏見やめようよ…

?Ellen?@ウェルネス女子大生 (@ellen_wellness) May 13, 2020


5/16時点では、9万人もの人がLikeを、2.5万人もの人がRTをしてくれています。リプライを見ていると、

「ピルが治療薬だなんて、知らなかった…」
「過去に治療薬と理解されずに、誹謗中傷された」

というものが多くあります。治療薬としての経口避妊薬への理解が進んでおらず、差別された経験を持つ女性は思いの外多いんですね。

また、DMではこんな相談を受けたりもしました。

「本当は生理痛が気を失うほど辛くて、婦人科行きたいけど恥ずかしい」
「月経で悩んでいるが、ピルは避妊のイメージで抵抗がある」
「副作用が怖い」

そもそも、避妊でピルを飲むこと自体恥ずべきことではありません。女性が主体的にバースコントロールするのは当然の権利です。(参考記事:ピルの基礎知識

でも、ピル=避妊=淫らな性生活という偏見は存在します。私はこんなことを言われました。

「ピル飲んでるってことは、淫らな性交渉をしているんですね」
「気持ち良いですか?」

(大分オブラートに包んでるけど、もっと酷い言い方でした)

このような偏見があるから、病気や治療の経験を話す人が少ないのだと思います。

イメージだけで婦人科やピルといった選択肢を避けて欲しくない、と私は考えています。というわけで、今回は月経困難症がどんな症状だったのか、どうやって婦人科を選んだかなど、治療の実体験を書こうと思います。

そもそも月経困難症って何?

月経困難症の症状は、生理中に下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気などが起きる。便秘や下痢、寒気や発熱、貧血を伴うことや、生理の量や期間に異常を感じることもある。

女性なら、「それ、割と誰でもあるやんww」と、思うかもしれません。

実際、800万人以上の人が月経困難症である、と言われています。でも、実は子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症といった深刻な病気が原因である可能性もあるんです。

なのに、治療しているのはたったの10%

理由として

  • 月経困難症や、付随する病気が知られてない
  • 月経困難症の治療方法、経口避妊薬への抵抗がある
  • そもそも婦人科への受診がし辛い

などがあると考えられます。詳しくはこちらを見てみてください!

【体験談】月経困難症に気づいた日

【体験談-1】月経困難症の症状〜生理痛で失神した話〜

ちょうど、受験の天王山と言われる高3の8月、だいぶ周期とは外れた生理がきた。いつも通りイライラしたし、いつも通りチョコレートを貪った。ただ、夏の生理は冷房で体が冷えて重くなりがちだったから、いつも使ってる鎮痛剤(バファリンルナi)とは別の鎮痛剤(ロキソニン)も買って準備していた。

私は、基本的に生理1日目と2日目が重い。

1日目、夕方に生理がきて、即いつもの鎮痛剤(ルナi)を飲み、夜ご飯を食べた。「今回余裕かも?」ってくらい最初は軽くて、なんともなく夜中まで勉強し、そろそろ寝るか…と、布団に入って目を瞑る。

(…痛い、これは寝れない。鎮痛剤、切れたんかな?)

もう1錠ルナiを服薬した。(きっと、これで鎮痛剤が効いてくれば寝れるでしょ)

効かなかった。むしろ、痛みは増していった。(もしかして、鎮痛剤に慣れて効かなくなったのかも)

今度は、新しく買ったロキソニンを2錠服薬した。

無駄だった。痛みは増すばかりで、冷や汗が止まらなかった。椅子に座ろうにも痛すぎて無理で、誰もいないリビングのソファで横になりながら唸っていた。

薬を大量に飲むのがダメなのはわかってる。でも、もうどうしたらいいかわからなくって、あと3錠は鎮痛剤を飲んでしまった。合計7錠。絶対真似しちゃダメ。

そして、いつの間にか気を失っていた。

【体験談-2】親に「婦人科に行きたい!」って言うには?

この生理痛は尋常じゃない、と悟った。

お医者さんに診てもらいたい…怖い…

でもきっと、行かせてもらえないだろう…


今までに生理痛で動けなくなることは何度かあったけれど
「みんな我慢してるんだから、生理痛くらい我慢しなさい」
「ママもバーバも、生理痛は我慢できるくらいだった」

とかいって、鎮痛剤すら高校生になるまで飲ませてもらえなかったんだから。生理痛で婦人科に行きたいなんて到底受け入れられないだろう、と思った。

でも、1日ずつ刻々と9月の生理が近づいてると思うと、その恐怖が蘇ってきた。確実に痛みは進行していて、鎮痛剤も効かなくなってしまった。鎮痛剤すら効かないあの痛みに耐えられる自信がない…

生理中に起きた症状をネットで検索して「月経困難症かもしれないから、検査したい」と伝えた。

母同伴でレディースクリニックに行けることになった。自分のからだに何が起きているのか、ちゃんと向き合わないといけないと思った。私はほかにも難聴を抱えていて、気づくのが遅いと辛さが増すこともわかっていたから。
 

【体験談-3】高校生が婦人科選びする時の本音

婦人科選びで重視したことは、下記の5つ。

1. 家からも学校からも近いこと
2. 婦人科疾患がメインであること
3. 女医さんが「必ず」見てくれること
4. 入っていくのが見えにくい立地であること
5. 夕方〜夜の時間や土日にも診療してもらえること

多い? だって怖かったんだもん…
めっちゃ考えたので、本音の理由もそれぞれ書いてみる。

1. 家からも学校からも近いこと
せっかく婦人科に行くなら、定期的に検診や検査に行けるような場所がいい!と思って条件にした。頸がんワクチンや、ピルの処方でお世話になることになったので、近場にして本当によかった。

2. 婦人科疾患がメインであること
「産婦人科」とか「レディースクリニック」で検索して出てくる病院のHPを見てみるとわかるのだけど、病院によって推してるものが違う。「不妊治療」とか「産科」とか。HPで婦人科疾患を推し出してるところを選んだ。

3. 女医さんが「必ず」見てくれること
私は、男性に内診されるのはかなり抵抗があった。だから看護師さんもお医者さんも女性であることを条件にした。

4. 入っていくのが見えにくい立地であること
高校のセーラー服で婦人科に行くって、物凄く抵抗があるし、偏見の目で見られるんじゃないか、と不安で不安で…。超駅前の病院ではなく、駅近だけど死角になってる病院を選んだ。やっぱり、どうしても恥ずかしいのは拭えないので、少しでも抵抗なく通えるところが良いと思った。

5. 夕方〜夜の時間にも診療してもらえること
部活帰り(17:00以降)でも診療していたり、土日の診療があるところだと、とっても安心。自分の都合に合わせられるし、ライフスタイルが変わっても通い続けられそうなところを選んだ。

そんなこんなで、こじんまりした婦人科にお世話になることにした。

【体験談-4】はじめての、婦人科

自分でネットから予約した。問診票は事前に書いていく方式だった。

問診票には下記のような項目があった。

  • 家族構成
  • 生理について/妊娠歴
  • 治療中の疾患/服用中の薬/手術歴
  • 受診の理由

とくに生理の項目は詳しくて、初経とか覚えていないから、家で書く方式なのは、ゆっくり書けられるのでよかった。性交の有無を聞かれる項目があると聞いていたが、私が受診したクリニックの問診票にはなかった。

【体験談-5】そして、当日

学校の帰りに母とクリニックに向かった。マジで怖かったし、緊張してた。前日は、何度も何度も「婦人科 受診 経験談」で検索した。

婦人科の待合室はとっても穏やかで、別にセーラー服だからって変な目でみられることもなかったし、受付の看護師さんはすごく優しくて、
「生理痛辛かったね」と声をかけてくれた。

問診票を先に書いていたおかげで、スムーズに診察室に呼ばれた。ちゃんと女医さん!!そこでは症状を聞かれた。超辛かった生理LIFEの愚痴を思う存分ぶちまけた。お医者さんも後ろにいる看護師さんも女性だったから、すごく話しやすかった。

ここで、「じゃあ今日は内診と血液検査をしましょう」と言われた。血液検査はいいよ。でも内診とか絶対無理だと思った。

とはいえ、内診台に乗っちゃえばもう何もできないので…ちょっと最後は痛かったけど、目を瞑って別のこと考えてたら何とかなったって感じだった。超緊張したけど…。そのあと、血液検査。これは普通の血液検査。


(※内診がどうしても無理!って人は、お医者さんに相談してみるといいかもしれません。「抵抗がある人は内診なしでも大丈夫」って書いてある婦人科もあるし、書いてなければ電話で聞いてみるのもアリだと思います)
 

その後、もう1回、診察室に呼ばれた。

「あ、お母さんは待っててください」

先生と一対一に。ここで性交経験の有無を聞かれた。ほかにも低気圧で起きる頭痛の悩みとか、最近朝起きられないこととか、進路のこととか、病気のこと以外もいっぱい話した。親がいなかったから、悩んでることを話しやすかった。

そして、検査の結果「月経困難症ですね。内膜症に進行してしまう可能性があるので、ピルで治療をしましょう」と言われた。

ここからの説明は、母も一緒に。「月経困難症は子宮内膜症の予兆であることがあります。このまま放っておくと、もっと生理痛がひどくなったり、不妊になる可能性もあります」

「不妊…?」別に、「将来絶対赤ちゃん産みたいっ!!」て思っていたわけじゃないけど、もし病院に来てなければ、ライフプランから選択肢が1つ自動的になくなっていたかもしれないと思うと、かなりショックを受けた。

実際、不妊症の20%位が子宮内膜症が原因といわれているらしい。婦人科が怖いから、ピルが嫌だから…って先送りにしてたら、手遅れだったかもしれない。


「治療に使用するピル(経口避妊薬)ですが、避妊で使うのは知ってるよね。でも実はそれだけじゃなくて、生理痛が軽くなるし、内膜症の進行を止めることもできます。それに、排卵によって卵巣が傷つくのを防いで、卵子の質の低下も防ぐ可能性があるの」

いや、ピルの可能性無限大すぎませんか!?

そしてピルを3カ月分と、低気圧頭痛に効く薬をもらって帰った。今でもそのピルを服用している。

帰りも看護師さんは優しくて、「またね〜」って送り出してくれた( ; ; )

Photo by Chika Ellen / Laundry Box

【体験談-5】ピルって結局どうなん?

科学的に効きます!!と言われても、やっぱりピルを飲むことを不安に思う人もいるかもしれない。というわけで、「ピル飲んでるよ!」と言うとよく聞かれる質問に答えようと思う。

ちなみに、ピルにはたくさん種類があって、私の場合はルナベルLD錠を2年近く服用している。


1. 飲み忘れない?
2. 副作用大丈夫?太らない?
3. 値段、高くない?
4. 本当に治った?

1. 飲み忘れない?

ピルといえば、毎日決まった時間に服薬しなきゃいけなくて、めんどくさいイメージですよね。飲み忘れはよく聞きます…。

開けるとこんな感じ。

Photo by Chika Ellen / Laundry Box

飲み忘れないように、いつ飲み始めたか、どの列を飲めば良いのかわかるようになっています。ほかにも、ルナベル服薬日記といって、飲み忘れを防いでくれるアプリもあるから便利。

最後の4週目はルナベルは休薬期間になるのだけど、そこも把握しやすいように、めくるとキャラクターが出てくる仕様になっています。

Photo by Chika Ellen / Laundry Box

ちなみに、1〜7日目まで全部イラストが違うんですよ!カワイイ!!

私は飲み忘れないために、キッチン(水を汲みやすいところ)の見えやすい場所に置いて、寝る前に服用することにしています。今月は1回も飲み忘れなかった!
 

2. 副作用大丈夫?太らない?

「太る」は、女の子にとって気になるポイントでもありますよね。

ちなみに、私は体重の変化はありませんでしたし、体重の増加に関係はないと言われています。「浮腫む」説はありますが、私はほかの病気の治療で浮腫をとる薬を飲んでいたので、あまり影響はありませんでした。

副作用は頭痛、吐き気、上腹部痛、不正性器出血、希発月経(月経周期が39日以上)、月経過多、下腹部痛、過少月経(月経の出血量が極端に少ない)、頻発月経(月経周期が24日以内)、乳房痛、乳房不快感、発疹、薬疹、顔面浮腫とされています。

私が経験した副作用は、不正出血だけですね。副作用が出たら、すぐにお医者さんに相談してください私は、相談後様子見していたら、不正出血はなくなりました。今はなんの副作用もなく服用しています。

血栓症の副作用は気をつけてください。私は、ピルを服用し始めてから1度手術をしていますが、手術の2カ月前から服用を中断しました。手術後は同じ姿勢で寝続けることになり、血栓症になるリスクがあるからです。

3. 値段、高くない?

3シート5000円程度で購入しています。月経困難症の場合、保険が適用されて負担が減るので、避妊目的でピルを購入するよりはずっと安いです。

4. 本当に治った?

月経痛は本当に軽減されました。ただ、私は月経痛がまだあります。なので、鎮痛剤と併用している形です。鎮痛剤7錠で効かなかった時と比べたらずっとマシです。

PMS/PMDDについても軽減されました。今までは情緒不安定で生理前は大号泣が恒例でしたが、ピル飲んでからは鬱々とはするものの、感情のコントロールをしやすくなったと感じています。
 

まとめ

ネットにはたくさん情報があるけれど、高校生や大学生にとって婦人科疾病はどこか遠い話になっている気がします。

そうじゃなくて、ただの生理痛は、実はあなたの人生の選択肢に硬く結びついているんだと伝えたいと思います。婦人科やピルに抵抗があった方が、私の経験談を読んで少しでも婦人科の受診や自分の生理のことについて考えていただけたら嬉しいです。

<参考文献>
妊娠せずに排卵し続けるリスク(日経doors)
月経困難症について(ワタシのカラダ相談室)
子宮内膜症(茶屋町レディースクリニック)
ルナベル服薬日記(日本新薬)
治療薬としての低用量ピル(杉並区医師会)

※今回は治療薬としてのピルの認知度にフォーカスしましたが、もちろん、避妊目的でピルを服用する方を否定するものではありません。治療薬としてのピルの認知度向上も、女性主体の避妊の理解も同様に重要だと考えていますが、都合上2つの論点ではなく1つの論点に絞らせていただきました。ご理解のほどよろしくお願いいたします。

(本記事は、2020年5月18日note掲載「セーラー服で婦人科に行った話〜月経困難症に気づいた日〜」を一部改変し転載したものです)

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