前回は、出産後に乳腺炎になり体力的にも限界点だったお話をしましたが、同時に私は精神的にもグラグラしていました。HSP(注)はもともと環境の変化に過剰に反応する性質があり、薬や食べ物なども含め、外からの刺激に敏感な性質があります。
体の変化にも心が過剰に反応してしまったのか、私は産後のホルモンバランスの変化により、気持ちのアップダウンが激しくなりました。
感情を表に出すも、内に込めるも地獄のよう。
表に出せば身近な家族(主に夫)がイヤな思いをするでしょうし、内に込めれば「自分なんて!母親になれない」と自己嫌悪してしまいます。
私の場合は自己嫌悪でした。乳腺炎でフラフラだった私を見た夫が、慣れない家事を始めたからです。夫もがんばっているというのがわかっていたので、感情を相手にぶつけては「申し訳ない」と思い、なるべく我慢していました。
慣れない夫の料理にイライラが募り…
しかしながら、慣れない夫の料理。
ゆっくり体を休めるつもりが「醤油どこ?」から始まり「半月切りってなに?」と質問の嵐。
しまいには、定規を持ち出してレシピ通りに2センチ幅にきちんと野菜を切ろうと悪戦苦闘しているし…「そんなの適当にちゃちゃっとやればいいのに」と内心イライラしてきました。
そして最終的に私がブチ切れる出来事が…
その後も泣いたり笑ったり、感情が追いつかない! しかしながら「もういつか漫画のネタにしてやる~」と日々暴れる感情を客観視するように努めていました(無事こちらで放出することができて感謝です)。
「ホルモンバランスのせい」と言い聞かせ、睡眠を取りました
ホルモンバランスや感情の揺れに敏感なHSPさんは「そういう時期なんだ」「これは自分の感情ではなく、ホルモンバランスのせい」と自分に言い聞かせ、なるべく睡眠を取りましょう。
また、この時期を「育児日記」として記録していくのもいいかもしれません。
アウトプットは、気持ちを吐き出す方法のひとつです。WEBでは漫画に限らずブログなどでも、育児や夫婦関係のエッセイは大人気ですから、将来誰かの役に立つ可能性もあります。
HSPはクリエイティブな人が多いそうです。つらい出来事も新しい視点でふんわり包んで、表現できる人もきっといるはず。身近な人とのコミュニケーションがうまくいかないこともありますが、ユーモアを忘れず、いつかネタにするつもりで自分の感情を笑って許してあげてくださいね!
*注:どんな人であっても、その人の身体に“体質”があるように、心にも“気質”があります。HSPは、うつなどの心の病ではなく、気質です。もし「自分もそうかも」と思う人がいれば、HSPという“心の気質”を知ることで、環境への適応力が上がり、より生きやすく、より自分らしく過ごせるようになるのではと思います。(精神科医:鹿目将至)
著者プロフィール
おがたちえ
台湾とクルーズ船を愛するHSP漫画家。刺激追求型HSPゆえに、怯えつつも汚部屋掃除や事故物件などのルポ漫画も手掛ける。『フォアミセス』(秋田書店)にて『HSPの歩き方~ハッピー・センシティブ・パーソン!~』を連載中。著書に『繊細すぎて生きづらい~私はHSP漫画家~』(ぶんか社)、『なつかしい日本をさがし台湾』(ぶんか社)、『汚部屋掃除人が語る命の危ない部屋』(竹書房)などがある。
監修者プロフィール
鹿目将至
精神科医。1989年、福島県郡山市生まれ。日本医科大学卒業。現在、愛知県内の病院に勤務。『1日誰とも話さなくても大丈夫 精神科医がやっている猫みたいに楽に生きる5つのステップ 』や『「もうもたない…」折れそうでも大丈夫』を出版。「気軽に生きる」をモットーに活動中。