Photo by Yohei Ono / Laundry Box

風邪をひいても「市販薬を飲んで放っておけば治る」と考える人もいる中、私は昔から体調不良があればすぐに専門医にかかってきました。

だから、今までにかかった病院・出会ったお医者さんは数え切れません。

私がこの「病院巡り」で得た経験が、みなさんのお役に立てたらいいなと思い、今回もコラムを書かせていただきます。

いくつもの病院を回っても、つらい生理痛が改善しない

私は以前にもお話したように、初潮を迎えたときから生理痛がひどく、つらい生理生活を送っていました。中学校に上がっても生理が来るたびに何度も早退し、フラフラになりながら帰宅しては自宅で気を失うことがしょっちゅうありました。

私が中学生だった15年ほど前は、生理痛で病院を受診する人が周りに少なく、情報もあまりなかったため、母とインターネットを使っていろいろな病院を探しました。

手始めに行ったのは近所の婦人科でしたが、生理痛がひどくて病院に行っているのに、「婦人科に行くなんて何かやましいことがあるのでは」と周りの人たちに噂された経験もあります。そういう時代だったんですね。

さて、初めて生理痛の悩みで婦人科に行ったときのことです。

ご年配の女性の医師に「子どもを産めば楽になるよ」と気の遠くなるようなことを言われ、中学生の私はわかりやすく落胆してしまいました。それまでにあと何回生理がくるというのか…。

次に行ったのは、大きな総合病院の婦人科。こちらにはかなり期待をしていました。ですが、「つらいですよねえ〜」という労いの言葉はありつつ、ボルタレンと座薬を処方する以外のケアは難しいとのことで、私の生理痛はあまり改善されませんでした。

このように何度かの挫折を経て、私は「病院に行っても生理痛は治らない」と思い始めてしまいました。「誰も私の気持ちなんて分かってくれない」と、投げやりになっていたと思います。

いろいろなお医者さんが私のために尽くしてくれましたが、私は身体の痛みとともに心も傷ついてしまっていたのだと思います。

そんなとき、事件が起こってしまったのです…。

病院の先生に対する不信感を抱いた高校時代

高校2年生のとき、授業中に生理痛に耐えられなくなり、学校の近くの病院まで担任の先生が連れて行ってくれました。その病院にお世話になるのは2回目で、私には男性医師が「また君か〜」という顔をしたように見えました。

痛くて、悲しくて、弱り切ってしまった私は看護師に座薬を入れられた後、泣きながらその先生に「先生、私もう耐えられないんです。次に生理がきたら死にたいです。どうしたらいいですか?」と聞きました。今思うと精神的ケアも含めて必要なタイミングだったでしょう。

しかし、その男性医師は「君さ、大げさだよ。病気じゃないんだから」と言いました。

私は「そうですよね」と弱々しく吐き出してその場を後にしました。

最寄り駅までなんとかたどり着いて、母に泣きながら電話しました。母は激怒し、「クレームを入れてやる」などと言っていましたが「そんなのはもういい、私は疲れた」と言って帰宅しました。

帰宅してからは、部屋を真っ暗にしてこの世の全てを恨んだ気がします。「病院の先生は優しくない。私のことを決してわかってくれない」と思いました。

思春期外来の先生との出会いで救われた

けれど、そんなときも母は諦めないでいてくれました。国内の論文に限らず外国のものにいたるまで調べつくし、”思春期外来”という病院に行くことを提案してくれたのです。

いつだって母が私に選択肢を与えてくれて、私はその手を掴むだけでした。

当時出会った思春期外来の先生は「僕は男性だから君たちのつらさがどうしてもわかってやれない。だから全部話して、なんでも納得いくまで質問してくれよな!」と話してくれる、とってもオープンな人でした。

これまでかかった病院には問題を先送りにされているように感じていた私は「わかってやれない」とハッキリ言う先生の姿勢に救われました。

その病院では婦人科と心療内科が併設されていました。当時月経で不安定になっていた私に、婦人科の先生が心療内科も一緒に受診するようすすめてくれました。

初めてピルを処方されたのもこの病院でした。

当時私はピルを避妊のためのものとしか認識していなかったので驚きましたが、生理に関連した不調にも効果があると教えてくれました。ピルにもいろいろな種類があるのですが、自分に合うものが見つかるまで通い、先生も根気強く付き合ってくれました。

関連記事:ピルを服用する8つのメリットと飲み方。気になる副作用もチェック(医師監修)

写真=本人提供

大事なのは病院や医師に求めるものを決めておくこと

その後、痛みの原因が子宮腺筋症・子宮内膜症であったことがわかり、ピルでは根本的な解決が難しいことから別の病院を探すことになりました。

しかし、思春期外来で救われた経験から、もう妥協することはしませんでした。何件も何件も病院を周り、納得いくまで先生と話し合い、自分に合う病院を探しました。

相変わらず理解のないお医者さんもいたので、ときには傷つくことも言われましたが、そんなことを気にしている余裕も時間ももったいないと思うようになっていました。「お腹の痛みを解決したい」という目標を達成したいだけと思うようになってから、少し楽になれたのです。

世の中にはさまざまな病院、またさまざまなお医者さんがいます。

それぞれが全力で患者さんのために尽くしてくれていると思いますが、やはり人間同士の波長や病気に対する専門的な知識の深さ、それぞれの得意分野には違いがあります。そう割り切って、「お医者さんの態度や言い方をいちいち気にするのをやめる」ことでかなりの労力と時間を省くことができるようになりました。

要は解決してくれそうなら通い続け、無理そうなら次を探す。それだけでよかったのです。

私が出会ってよかったと思うのは「優しい先生」ではなく「絶対治してくれる先生」でもなく、「解決策を提案してくれる先生」でした。

自分が弱っているときにクールな先生やシステマチックな先生に当たると傷ついたりむなしくなったりすることがあるのもとてもよくわかります。ただ、「目的を達成するための最短距離を目指すために病院を”使う”」と考えて、自分自身もシステマチックになるととても楽になります。

質問はあらかじめメモ書きを用意してから受診し、先生の言っている意味がわからないときには「わかりやすい言葉で説明してください」というときもあります。その点は妥協しませんが、先生が私に対して優しいかどうかについて追求することはやめました。

現に、今私が通っているいくつかの病院の先生は、特段優しい言葉をかけてくれるわけでもなく、とてもクールでシステマチックな方だったりします(笑)

もちろん悪態をつくような先生は論外ですが、大事なのは病院やお医者さんに求めるものを自分の中で決めておくことだと思います。

「治してほしい」と「励ましてほしい」。この2つでもだいぶ違いますし、「治してほしい」も細かくわければ、いくつかの病院にわけてかかった方が効率的だったりもします。

お医者さんが症状について「可能性」「確率の問題」「傾向」で話をすることもあると思います。それにすがりつくのではなく、こちらは言葉通り「治る可能性もあるのか、じゃあどのくらいの確率なのかを聞いて、良さそうだったらそのプランでいこうかな」程度に考えるのが、私が長年の病院通いで学んだ病院や医師との付き合い方です。

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